マクラーレンは、2026年5月4日、FIAハイパーカーの「MCL-HY」を発表した。このスポーツカーは、2027年からル・マン24時間レースをハイライトとするFIA世界耐久選手権(WEC)に出走する。また、これをベースにしたカスタマー向けサーキット専用モデルの「MCL-HY GTR」は、現在、Project:Enduranceプログラムを通じて、マクラーレンのVIPオーナーにオファーされている。
MCL-HYは、2026年も厳しいテストプログラムで開発が進められ、来冬のホモロゲーション取得に備えて準備している。公開された鮮やかな 2026年テストリバリーは、McLaren M6Aをインスピレーションとしたものす。かつてレーシングドライバーでありチームオーナーでもあったブルース・マクラーレン氏は、M6AをベースとしたM6GTによるル・マン参戦を夢見ていた。MCL-HYは、そうしたヘリテージを受け継ぐ決意表明といえる。マクラーレンのDNAには、スポーツカーレースが息づいている。1960年代後半から 1970年代初頭にかけてCan-Am(カナディアン-アメリカン・チャレンジカップ)を席巻し、1995年にはMcLaren F1 GTRがル・マン24時間レースで伝説的優勝を遂げた。
マクラーレンにとってル・マンの最高峰クラスへの復帰は、モータースポーツのトリプルクラウン(モナコGP、インディ500、ル・マン24時間レースの優勝)を再度達成することに向けた挑戦の始まりでもある。マクラーレンはすでにF1とNTTインディカー・シリーズの頂点で戦っているため、MCL-HYによって、マクラーレンにしか成し得ない大きな目標達成のための最後のピースが揃ったことになる。
そしてマクラーレン・ハイパーカー・チームは、2027年のWECデビューに向けて、2026年5月よりサーキットにおけるMCL-HYのテストプログラムを開始する。このテストでは、カスタマー向けサーキット専用モデルの開発もレーシングカーと同時に行われる。2026年のテストプログラムは、マクラーレン・ハイパーカー・チームのワークスドライバーであるミケル・イェンセン選手が担当し、マクラーレン・ドライバー・ディベロプメント・プログラム(DDP)のグレゴワール・ソーシー選手とリチャード・フェルシュホー選手の両ドライバーもサポート。加えて、ユナイテッド・オートスポーツのドライバーであるベン・ヘンリー選手も参加して、マシン開発の貴重な経験をチームにもたらす。
ACO/IMSAのLMDhレギュレーションに則って設計されたMCL-HYは、カーボン・ファイバー製モノコック構造による軽さと比類ないバランスを兼ね備える。レース仕様のツインターボV6エンジンとMGUハイブリッドシステムが総最高出力520kW(707PS)を発生し、後輪を駆動。車重は最低重量の1,030kgで、高効率のパワーウェイトレシオを誇る。圧倒的なパフォーマンスと耐久レースで求められる効率性のバランスを追求して開発され、FIA世界耐久選手権と過酷なル・マン24時間レースをトップレベルで戦えるよう設計されている。マクラーレンのFIAハイパーカーは、密接なコラボレーションによって形づくられた。マクラーレン・レーシングによる世界クラスのエンジニアリングと高度なエアロダイナミクスを応用し、マクラーレン・オートモーティブが誇る設計ノウハウを活用して、マクラーレンならではの設計 DNAを体現している。
さらに、カスタマー向けサーキット専用モデルであるMCL-HY GTRのような形で、マクラーレン・レーシングとマクラーレン・オートモーティブがコラボレーションするのは初めてのこと。MCL-HYGTRは、レーシングカーと並行して設計されたが、FIAハイパーカーで義務づけられているLMDhハイブリッド・システムをあえて搭載しない仕様で開発された。2.9リッターのツイン・ターボチャージャー付きレーシングエンジンのみで駆動されるため、重量が抑えられている一方で、およそ730PSの最高出力を発揮。これには、オーナーがサーキットにおいて、より純粋にドライビング・エクスペリエンスを楽しめるというメリットがある。本物のハイパーカーのパフォーマンスと感触を、システムの複雑さを気にせず体感できるシンプルなオーナー体験が実現する。
さらにMCL-HY GTRを所有する魅力は、マシンそのものにとどまらない。マクラーレン・オートモーティブは、マクラーレン・レーシングによる世界耐久選手権の活動に触れられる、今までにないエクスクルーシブなプログラムを準備している。Project: Enduranceを通じて、マシン開発やテスト、2027年ル・マン24時間レースのドラマまで、すべてをチームの一員のように体験できる。
加えて、MCL-HY GTRのオーナーは、トップクラスの国際的なサーキットで2年間に6回開催される走行プログラムに参加でき、これには、所有するマシンを、サーキットイベントの「PURE McLaren」でドライブする機会も含まれる。それぞれのオーナーに対して、プロによるドライビング指導と、専任のピットクルーやレース・エンジニアによるサポートが付き、何の準備もなく参加できるオールインクルーシブのプログラム。このサーキット専用モデルMcLaren MCL-HY GTRのデリバリーは、2027年末に始まる予定となっている。
マクラーレン・レーシングCEO ザック・ブラウン氏は、次のように語っている。
「数年前からの準備が実り、ついにMCL-HYを世界に発表する日がやってきました。いまやマクラーレン・レーシングには、Formula1、インディカー、WECという世界最大のモータースポーツ・シリーズで戦う3種類のマシンが揃いました。つまりマクラーレンは、そのパートナーやファンとともに、モナコGP、インディ500、ル・マン24時間レースのトリプルクラウンに挑戦できるのです。私たちにしか成し得ない、複数のシリーズにまたがるユニークなストーリーが始まります」
さらにマクラーレン・オートモーティブ CEO ニック・コリンズ氏は、以下のように話している。
「マクラーレンの歴史に残る胸躍る瞬間を迎えました。この新たな旅を、Project: Enduranceプログラムによって始められることを、大変うれしく思います。MCL-HYGTRは、FIAハイパーカーを体験するという画期的なチャンスを、サーキット走行のエンスージアストに提供するマシンです。この旅に参加するオーナーの皆様に、マクラーレンの最善の姿をお見せし、これまでにも増して、マクラーレンの未来がレース・ヘリテージによって形づくられていくことを実感していただけるでしょう」
関連情報:https://cars.mclaren.com/jp_ja
構成/土屋嘉久