「ローマ」そして、その後継車である「アマルフィ」と、フェラーリが都市名を車名に採用しているが、有葉よつばさん(ペンネーム)の所有するアルファロメオ「モントリオール」が都市名を車名に用いたパイオニアかもしれない。1970年~1977年に生産されたアルファロメオ「モントリオール」は、車名の由来が1967年にプロトタイプがモントリオール万博に出展されたことによるもの。
1970年にジュネーブショーで発表された「モントリオール」は、1750/2000GT系をベースとしたシャシーに、ベルトーネのマルチェロ・ガンディーが手がけたクーペボディーを採用した。エンジンは、ティーポ33用の2.6L、V8エンジンを搭載し、最高出力230PS、最大トルク270Nmを発生する。組み合わされるトランスミッションは5速のMT。足回りはGT系の流用ではあるが、パワフルなエンジンを搭載しているため、ブレーキは4輪ともベンチレーテッドブレーキに強化されている。
「モントリオール」は7年間で約3700台生産され、当時国内正規ディーラーだった伊藤忠オートにより、日本には10台ほど輸入され、価格は770万円ほどだった。アルファロメオは、機械ではなく有機物のような生き物と面白い表現をする有葉よつばさん。
アルファロメオとの出会いは「156ツインスパーク」だった。回せばまわすほど楽しいエンジンの虜になったという。アルファロメオ熱が高まり、アルファロメオ「4C」の購入を考えていた時にこの「モントリオール」に出会った。イタリア車のイベントで見かけたこの「モントリオール」が、自分も通っているショップを利用していて、オーナーと仲良くなり、購入に至ったという。
購入後、エンジンの調整やヘッドライトの修理を行った以外は順調だが、不満に思っているのはガソリンタンクが40Lと小さいため、頻繁に給油をしなければならないこと。現在、この「モントリオール」のほか1970年~2000年代の各世代のアルファロメオを5台、さらに2台のクルマを所有しており、ガレージハウスを作って7台を横一列に並べることが夢だと話す。自分の愛車を並べたミュージアムで過ごす生活は、マニアにとっては至福の時間に違いない。
取材・文/萩原文博