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2026.04.21

ロールス・ロイスのコーチビルド・コレクション第1弾「プロジェクト・ナイチンゲール」

ロールス・ロイスは、「コーチビルド・コレクション」の第1弾として「プロジェクト・ナイチンゲール」を発表した。「ナイチンゲール」の名は、フランス語の「ル・ロシニョール」に由来し、ヘンリー・ロイスの冬の別荘があるコート・ダジュール近くのデザイナーとエンジニアの家にちなんだもの。この特別な2シーターのオープンモデルは、ロールス・ロイスのデザイン表現に新たな境地を切り開くものとなる。壮麗なプロポーションを持ち、完全電動のドライブトレインによる独特の静かなオープントップ体験を実現している同コレクションは、1920~30年代の華やかさと自信に満ちた時代の精神を色濃く反映しながら、現代的なデザインを貫いている。創造的なビジョンは完全に具現化されており、わずかに残るデザインの細部には、現在開発中の新しい製造技術の導入が見込まれている。世界で100台のみが製作され、すべてグッドウッドのロールス・ロイス本拠地で、卓越したクラフツマンシップにより手作業でコーチビルドされる。

このプロジェクト・ナイチンゲールおよびコーチビルド・コレクションのプログラムは、美を愛し、生活の中でそれを感じることを大切にする、真の審美家のために構想されました。これらのオーナーは、ロールス・ロイスのデザインの重要性、世界で最も考え抜かれた自動車の価値、そしてロールス・ロイスだけが提供できる特別な体験への深い理解という共通の価値観で結ばれている。現在、同コーチビルド・コレクションのオーナーは、ロールス・ロイスがキュレーションする数年におよぶ集まりや特別な瞬間を体験するプログラムに参加しており、その中で自身の車の創造的・技術的な形成過程に触れるとともに、世界各地で開催されるプライベート・イベントへ招待されている。

流線型の美しさ、スピード、そして純粋でモノリシックな美の規律

17EX

この車のデザインは、アール・デコ後期のストリームライン・モダンの原則に着想を得ており、装飾よりも正確なラインと途切れのないフォルムが力強く表現されている。 こうした精神を受け継ぎ、ロールス・ロイスのクリエイティブ・チームは、純粋で一体感的なボリューム感を追求した。そして、もうひとつの着想源は、1920年代にロールス・ロイスが製作した実験車「EX」モデル。これらは 赤いバッジが特徴で、プロジェクト・ナイチンゲールにも同様のバッジが装備されている。ブランドの歴史の中でも特に希少で魅力的な車であり、その中でも特に 16EXと17EXが重要な参考モデルとなっている。

17EX

これらのモデルは、ジャズエイジの最盛期、アール・デコ様式が名付けられてからわずか3年後の1928年に製作された。ヘンリー・ロイス氏と彼のエンジニアたちは、2台の強力な ファントム(Phantom) のシャシーを軽量アルミニウム製ボディで包み込み、新たな最高速度を追求した。 16EXと17EXは、時速90マイル(約145km/h)を超え、その大胆なトーピード形状(torpedo-shaped)のフォルムは当時のロールス・ロイスの野心を象徴する存在だった。堂々とした存在感、長いボンネット、浅く傾斜したフロント・スクリーン、そして乗員を深く包み込むキャビンを特徴とするものであった。

17EX

この歴史的背景から、コーチビルドのデザイナーたちは 、プロジェクト・ナイチンゲールを形づくる3つの原則として、力強い直線から優雅な曲線への移ろい(Upright to flowing)、滑らかに繋がる中央ライン(Central fuselage)、そして翼のような躍動感(Flying wings)を抽出した。プロジェクト・ナイチンゲールは、ロールス・ロイスの物語に精通する人々には馴染み深く、それでいて大胆な現代性を備え、これまでにない新しい形でこれらの原則を見事に体現している。

特徴的なフロントデザイン

全長5.76mのプロジェクト・ナイチンゲールは、ロールス・ロイスを代表するサルーンであるファントムとほぼ同じ長さでありながら、2シーターのコンバーチブルとして設計されている。電動パワートレインにより、内燃エンジンに必要とされる大型の冷却用の吸気口が不要となったことで、フロント・ウイングの最外端とパンテオン・グリルの間に、これまでにない広く途切れのない面を実現した。グリルは、ロールス・ロイスを象徴する最も知られたアイコンのひとつを大胆に再解釈したものとなる。幅約1メートルにおよぶ堂々としたフレームは、まるでステンレススチール製の塊から彫り出されたかのような存在感を放ち、その奥には24本のバーが刻まれている。グリル上部のわずかにくぼんだ部分にスピリット・オブ・エクスタシーが配され、そのラインは後方へと流れ、まるで像が水面をかき分けながら進む姿を思わせるかのような印象を与える。

グリル下部には、両下端から45度に広がった構造的なセクションがあり、そこから垂直に下がり、カーボンファイバー製のエプロンが前方へ突き出している。その周りには優雅なクロームのベルトが施され、これにより、グリルがまるで構造的な台座の上に載っているかのような効果が生まれる。これは、最上部の装飾的なフロアが、その下にある堅固な幾何学的な構造に支えられてそびえるアール・デコ様式の高層建築を彷彿とさせる。そしてフロント・ウイングの最外端には、プロジェクト・ナイチンゲールの最も先進的なデザイン要素のひとつである、細身で縦長のヘッドライトが配置されている。このデザインは、ヘッドライトの下端からテールランプまで、車体の全長にたって走るポリッシュ仕上げのステンレススチールの帯によって際立っている。

滑らかに繋がるトーピード形状の側面

側面から見ると、プロジェクト・ナイチンゲールのドライバーを中心に据えたトーピード形状のデザインが鮮明に際立つ。伸びやかなボンネットは、鋭く傾斜したフロントガラスへとつながり、その両側には ファントム・ドロップヘッド・クーペに着想を得た、ステンレススチールのフレームに囲まれた繊細なクォーターライト・ウィンドウが配置されている。さらにその後方には、ボディの奥深くに配置された2名乗りのコンパクトなキャビンがあり、リアデッキは低く傾斜して細く絞り込まれている。ボンネットとテールによるこの大胆な構成により、2シーターのキャビンは、ボディの堂々としたボリューム感と対照的な、親密で特別な空間となっている。

プロジェクト・ナイチンゲールでは、ヨットの船体と上部構造を分けるラインに着想を得た、フロントからリアまで途切れることなく続く1本の船体ラインがある。このラインは、ロールス・ロイスの伝統的なデザインをさりげなく参考にした、フロント・ウイングの彫刻的な「Pinnacles(ピナクル)」から始まり、リア・エッジへまで滑らかに流れている。意図的に高い位置に設定されたこのラインは、車内の奥深くに包み込まれるような感各を生み出す。ヘッドレストの後方にそびえる立ち上がった部分は、立て襟のように、ドライバーと同乗者を風や雨などの外部要素から守り、ヘッドレストの高さを車体の彫刻の一部として一体化している。また、ボディ下部には、中央胴体を強調するように立体的な凹みが施されており、それを支えるカーボンファイバー製のシルがバランスをとっている。このサイドシルは、ロールス・ロイスの伝統的なランニング・ボードを控え目に連想させるデザインとなっている。

さらに、リアには控えめな装飾として、後輪中央の少し後ろにポリッシュ仕上げのステンレススチールの細い帯がもう一つ加えられており、その位置とプロポーションはヨットの航跡に立つ穏やかな白波を思わせる。

外観は、まるでひとつの固い塊から彫り出されたかのように見えるよう、表面の仕上げに最新の注意が払われている。視覚的な雑音を最小限に抑えるため、コーチドアのハンドルには目立たないロック機構と控え目なインジケーター・ランプが組み込まれています。また、ロールス・ロイスの象徴である「バッジ・オブ・オナー」は、洗練されたステンレス製の「ダブルR」モノグラムとして、フロント・ウイングの両側とラゲッジ・コンパートメントの中央に控えめにあしらわれている。

そしてこの静謐さと対照的に、ロールス・ロイスでは最大サイズとなる24インチのホイールが、計算されたコントラストを生み出している。ホイールのデザインは、水面下から見たヨットのプロペラに着想を得ており、車が停止していてもあたかも動き続けているかのように見える。表面には繊細な加工によるストライプ模様が施されており、ワイヤーホイールのスポークが高速で回転しているかのような印象を与える。またブラック仕上げの中にアルミニウムのフレークが散りばめられており、ホイールが回転するたびに繊細な輝きを放つ。

存在感あふれるテールデザイン

リアに向かって、ボディの表面はリア・ホイール・アーチ周辺で張り出し、全体の優雅さとバランスをとる安定した印象を与えています。 その上に広がるデッキは意図的に水平に保たれており、精緻に設計された2つのリアランプが上面からほぼ直角に落ちるように配置され、アクセントとなっています。この印象的なデザインは、グランドピアノの開閉を彷彿とさせる片持ち式で横方向に開くピアノ・ブートによってさらに強調され、機能的な動作を特別な到着の瞬間へと昇華させる。

リア中央には、1本の縦長のブレーキランプが配され、ストリームライン・モダン様式のスピードストライプを想起させる。その下には、時計のベゼルのように精功に仕上げられたクローム製のナンバープレート枠が埋め込まれており、細部にまでこだわった特別なデザインとなっている。その下部には、同様の精密さがエンジニアリングにも反映されている。大胆なデザインのリア・ディフューザー「エアロ・アフターデッキ」は、排気菅が不要な完全電動パワートレインの採用によって実現された。このカーボンファイバー製の一体成形パーツが、スポイラーを追加することなく高速走行時の安定性を確保し、プロジェクト・ナイチンゲールの優雅なシルエットの流れを妨げることなく、滑らかなラインを維持している。

オープンエアの静寂、クローズドルーフの迫力

プロジェクト・ナイチンゲールは、ルーフを下げることで穏やかで開放的なドライブ体験を実現する。一方、ルーフを上げると雰囲気が一変し、堂々としたクーペのような存在感を放つ。ルーフには、カシミア、ファブリック、高性能複合素材を組み合わせた独自の防音素材を採用している。電動パワートレインがもたらす卓越した静粛性と相まって、ソフトトップのルーフが開いていても閉じていても、卓越した静粛性を実現。一方で、キャンバスに降り注ぐ雨音など、ドライビングの情緒を引き立てる音はあえて残すように配慮されている。

この驚くべき静けさが、プロジェクト・ナイチンゲールのインテリアの中心的なデザインの着想となった。初期のプロトタイプでの試乗中、ロールス・ロイスのデザイナーたちは、鳥のさえずりが驚くほど鮮明に聞こえることに気づいた。この体験に魅了され、この車の名前に敬意を表して、ナイチンゲールの鳴き声の録音を研究し、その独特の音波パターンを分析した。こうした研究から、鳥のさえずりのリズムを視覚的な形に変換し、車内にいる人々を包み込むデザインのアイディアが生まれた。

その結果として生まれたのが 「スターライト・ブリーズ・スイート」。 これは、微妙に異なる3つのサイズの1万500個の星で構成された、流れるような星座のような照明です。ナイチンゲールの歌声が持つ穏やかな風の動きにちなんで名付けられたこの光のパターンは、デザイナーたちが研究した音波の形から着想を得ている。各ドアの前方から運転席と助手席を囲むように広がるこの照明は、乗る人々を自分だけの天空の世界に包み込み、メロディーを光で表現している。このスターライト・ブリーズの光は、「ホースシュー」と呼ばれる彫刻的なインテリアの形状に組み込まれており、シートの後方から立ち上がり、乗員を包み込むような建築的なデザインとなっている。

さらにドアの内張のレザーは、精巧につくられたサドルを思わせる立体なパーツが重ねられており、このデザインはセンター・コンソールのレザー製サドル型アームレストへとつながっている。このアームレストは、ボンネットの全長にわたり、キャビンを通ってリア中央のブレーキランプまで続くコーチラインと正確に位置を合わせている。そしてコーチドアを開くと、アームレストが自動で後方にスライドし、スピリット・オブ・エクスタシーの回転式コントローラーが現れる。このコントローラーは、ハイジュエリーを思わせる4本の溝が刻まれた触り心地の良いステンレススチール製のリングで操作する。溝の内側は多面的にカットされ、その後ガラスブラスト処理が施されており、光沢を抑えた繊細な仕上げとなっている。この宝飾品のような装飾はインテリア全体にわたって、ギアセレクタ―や他の回転式コントローラーにも施されており、その数は5つに厳選されている。さらにボタンを押すとアームレストが後方に動き、個人用のコンパートメントが現れます。 アルミニウム削り出しのカップホルダーは宝石のようなアクセントを加え、シート後方には手荷物を収納できる隠し棚があり、ゆったりとした長距離の旅を想定した、細やかで実用的な工夫が施されている。

プロジェクト・ナイチンゲールのビスポーク表現

ロールス・ロイスは、プロジェクト・ナイチンゲールのために、全く新しいカラーと素材のパレットとビスポーク要素を開発している。これらは、ほかのロールス・ロイス車に使用されることはない。100台すべてが、オーナーの個性や嗜好、ビジョンを反映するよう、細部にわたり丁寧にキュレーションされる。今回発表されたこのEXモデルは、プロジェクト・ナイチンゲールのデザインの精神を反映している。エクステリアのペイントは、1928年の実験的な17EXからインスピレーションを得ており、 そのデザインを単に再現するのではなく、新たな解釈を加えている。コート・ダジュール・ブルーと名付けられた淡いソリッド・ブルーの色あいには、光の当たり方によって微かにレッド・フレークが輝き、かつてEXモデルに付けられていた赤いバッジをさりげなく表現したものであり、プロジェクト・ナイチンゲールが生産コンセプトであることを示す象徴として用いられている。

そのエクステリアは、シルバーのコンバーチブル・ソフトトップ・ルーフで仕上げられている。インテリアの色彩は、コート・ダジュールの穏やかな雰囲気を感じさせる。シートは、柔らかなパステル調のチャールズ・ブルーで仕立てられ、グレース・ホワイトとの組み合わせにより、やさしく陽光が差し込む落ち着いた空間を演出。深みのあるネイビーのシート・インサートがコントラストと奥行きを加え、フェイシアの周りやヘッドレストにはリヴィエラの野花に着想を得たピオニー・ピンクのアクセントが添えられている。全体の配色は、V字型に上方へ広がるオープンポアのブラックウッドで締めくくられ、視線を自然と空へと導く。

このプロジェクト・ナイチンゲールは、ブランド独自の完全電動パワートレインを搭載している。静かで滑らかな動力伝達は、100年以上にわたりロールス・ロイスの体験を形作ってきたすべての要素をより際立たせ、このパワートレインの特徴は新たなデザインの可能性を切り開く。そして世界各地でのテストと開発を進める中で、さらなる技術的詳細は順次公開される予定となっている。プロジェクト・ナイチンゲールは、コーチビルド・コレクションの幕開けを告げるモデル。このプロジェクトにインスピレーションを与えたのは、より大胆で妥協のないロールス・ロイスのデザインを求める情熱的な顧客たちの広がるコミュニティ。ヘンリー・ロイス氏の実験的な精神と、アール・デコ時代の華やかさを受け継ぎながら、常に未来を見据えてきたブランドの確固たる姿勢を示す車となる。コーチビルド・コレクションへの参加は招待制で、納車は2028年より開始される予定となっている。ロールス・ロイス・モーター・カーズ 最高経営責任者のクリス・ブラウンリッジ氏は、以下のように語っている。

「世界中の最も審美眼の高いお客様から、これまでで最も野心的な作品を求める声が寄せられました。私たちはこれに応えるため、ブランドとしてこれまで共存しなかった3つの要素を融合させました。それは、コーチビルドによる完全なデザインの自由、力強く静粛な完全電動パワートレイン、そしてこの技術だけが実現できる比類なきオープントップのドライビング体験です。プロジェクト・ナイチンゲールは、1920年代に共同創設者のひとりであるサー・ヘンリー・ロイスが実験的なEXモデルで示した大胆な精神を受け継ぐ、現代のロールス・ロイスが可能とする最高峰の表現です」

さらにロールス・ロイス・モーター・カーズ デザイン・ディレクターのドマゴイ・デュケク氏は、次のように話している。

「プロジェクト・ナイチンゲールは、ロールス・ロイスの本質を形づくるデザイン原則、つまり壮麗なプロポーション、完璧な表面の仕上げ、そして細部まで研ぎ澄まされた明確なラインを基盤としながら、それらを全く新たな領域へと昇華させるものでもあります。私にとって、この画期的な車は必然でありながらも予想外の存在でもあり、今後のロールス・ロイスのデザインの方向性を示すものです」

関連情報:https://www.rolls-roycemotorcars.com/ja_JP/bespoke/coachbuild-collection/project-nightingale.html

構成/土屋嘉久

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