ボルボの新しい電気自動車「EX90」が、サウスカロライナ州チャールストンの組み立てラインから全米の販売店へと出荷されている。この「EX90」は、将来的な機能向上および先進的な安全装備と機能を顧客が得られるよう、250 TOPS(Tera Operations Per Second)を超える能力を持つNVIDIA DRIVE Orin システムオンチップ(SoC)を搭載している。
NVIDIA DriveOSを実行するこのシステムは、まさに切手サイズのパッケージで、自動車グレードの安全機能を備えた高速処理を実現。このコアコンピューティングアーキテクチャは、安全運転支援機能の実現から自律走行機能の開発支援に至るまで、すべての車両機能に対応しながら、安全で快適なユーザー体験をもたらす。この最先端のSUVは、車輪のついたインテリジェントなモバイルデバイスともいえるもので、レーダー、LiDAR、カメラ、超音波センサーなど、同社の先進のセンサースイートを搭載。NVIDIA DRIVE Orin は、リアルタイムで冗長性のある高度な360度サラウンドセンサーのデータ処理を可能にし、安全性に対するボルボの揺るぎないコミットメントをサポートする。
ボルボは、将来を見据え次世代のNVIDIA DRIVE Thorコンピューターに移行する計画であることも発表した。このコンピューターは DriveOSを実行し、将来の車両に搭載される予定となっている。ボルボは、10年以内にNVIDIA DRIVE Thorに移行する予定だ。1,000TOPSを誇るこのSoCは、処理能力をDRIVE Orin SoC 1基の4倍、エネルギー効率を7倍に向上している。
最新のNVIDIA Blackwell GPUアーキテクチャを組み込んだ次世代の自動運転車用プロセッサDRIVE Thorによって、車両の内部および周辺における可能性と能力を新たな領域へと広げることができる。この先進的なプラットフォームは、安全な先進運転支援システム (ADAS)と自動運転機能の展開を促進し、生成AIを活用した新時代の車内体験に向けて道を開く。ボルボCEOのJim Rowan氏は、同社がNVIDIAの次世代プロセッサに移行することを強調し、次のように述べている。
「将来、当社の車にNVIDIA DRIVE Thorを搭載すれば、製品ラインナップ全体で自社開発のソフトウェアの拡張性が高まり、継続的な車の安全性の向上とクラス最高の顧客体験の提供が可能となり、ひいては利益の向上にもつながるでしょう」
ボルボとそのソフトウェア子会社であるZenseactは、クラウドでのAIモデルのトレーニング用に、NVIDIA DGXシステムに投資している。これにより、将来的に、最も高度で十分にテストされた、AIを活用した安全機能を車両に搭載できるようになる。次世代のAI搭載車両を安全にトレーニングするために必要な大量のデータを管理するには、データセンター並みのコンピューティング能力とインフラが必要となる。
NVIDIA DGXシステムは、これまでにない効率でAIモデルをトレーニングするために不可欠なコンピューティング性能を提供。輸送関連企業は、このシステムを利用して、費用対効果に優れた、容易に展開可能な方法で自動運転技術の開発を加速している。
北欧にあるボルボとZenseactのAIトレーニング拠点では、このシステムを利用して、さまざまな側面からADASおよび自律走行ソフトウェアの開発を促進しようとしている。その主な利点は、物体を分類して認識するための識別とラベリングを必要とする時間のかかる作業であった、データアノテーションプロセスが最適化されること。DGXシステムのクラスターは、安全性を保障するために必要なデータの処理も可能なため、パフォーマンスを2倍に高めながら市場投入までの時間を半減できる可能性がある。
ボルボでエンジニアリングおよびテクノロジー責任者を務めるAnders Bell氏は、以下のように話している。
「NVIDIA DGX AIスーパーコンピューターは、私たちのAIトレーニング能力を飛躍的に向上させ、この社内のAIトレーニングセンターを北欧最大級のものにしています。NVIDIAのテクノロジーを活用し、データセンターを設置することで、高性能なAIを迅速に実現するための道を開き、最終的に製品の安全性と性能を向上させるのに役立ちます」
ボルボとZenseactは、車両内部とクラウドでAIの頭脳としてNVIDIAのテクノロジーを活用することで、道がどこに通じていようとも顧客が安心して運転できる安全な車を提供していく。