4月12日から14日までの3日間、千葉県幕張メッセで「AUTOMOBILE COUNCIL 2024」が開催された。今回のテーマは、「クルマを超えて、クルマを愉しむ Classic Meets Modern and Future」。副題が「ヘリテージカーを中心に、音楽、現代アート、フード&ドリンクetc。“多趣味な、自動車好き”が集う3日間」という欲張りなものだった。
自動車メーカーやインポーターなどが最新型から往年のレーシングマシンやコンセプトカーなどを展示するのをはじめとして、さまざまな業者たちがクラシックカーやレアなクルマを展示・販売を行なっていた。クルマに関連するグッズ類や書籍、カタログ、アートなどを販売する業者もたくさん出展。コンサートやトークショーなども開催され、大人の幅広い楽しみ方が用意されているのが、毎年恒例「オートモビルカウンシル」ならではの特徴だ。
幕張メッセの渡り廊下から会場へと降りていくと、まず目の前にはポルシェのブースが登場。発表されたばかりで、まだほとんど路上で遭遇することのない「911 Dakar」や「911Turbo」(1989年)、「Taycan GTS」などが並んでいた。
この会場で新たに発表されたのが、初代「911ターボ」のシートのチェック柄を引用したアパレルコレクション「Turbo No.1 コレクション」。ハットからシャツ、ジャケットなどまで豊富に揃っていた。
ポルシェの左隣がブリストル研究所。聞き慣れない学術団体ではなく、埼玉県の加須市で長年、ワクイミュージアムを主宰していた涌井清春氏が昨年から始めたブリストルの販売店だ。
この日は「ブリストル400」(1949)、「同401」(1953)、「同406」(1960)、「同410」(1968)とブリストルを4台も並べていた。
壮観で、意外性があり、前を通り掛かったすべての人々が足を止めていた。「ブリストル」が4台も並ぶのはこのイベントに限らず、日本で初めてことではないだろうか。中でも「401」はあえて塗装前の状態で展示していた。銀色に輝く地肌を見せるボディはアルミニウム製だ。
「戦前戦中と、主にイギリスの軍隊向けに航空機を製造していたブリストルが戦後にその技術と志を活かして自動車を造り始めました。日本では馴染みの薄いクルマでしたが、これからその魅力を発信していきます」(涌井清春氏)
ブリストル研究所は、いち早くイギリスのブリストル専門業者と業務提携を結び、彼の地の在庫車を照会し、個別の探索などにも応じている。今後の展開が楽しみだ。
さらに左隣のDUPROという業者のブースにも、興味あるクルマが並べられていた。エンジ色の巨大なボディが遠くからでも目立っている。パネルを確かめると、パッカードの「スーパーエイトリムジン」(1935年)。パッカードといえば、ある年代の人々にはアメリカの高級車の代表格のように思われていた。戦後に入ってもその評判は衰えず、有名な小林旭の『自動車ショー唄』(作詞・星野哲郎)の一節にも、以下のように歌われているほどだ。
「あの娘をペット(トヨペット)にしたくって、日参(日産)するのはパッカード~」。
聞けば、このスーパーエイトリムジンは戦前から日本にあったクルマだ。当時の輸入販売元であった三和自動車(ポルシェジャパン以前のポルシェやサーブ、その昔はランボルギーニなどの輸入販売業者)の捺印がある貴重なカタログもガラスケース内に展示されていた。
90年近く日本に存在し続けていることにもビックリしたが、DUPROには他のパッカードも複数あって、レストアが進行中だというからさらに驚かされた。こういうエピソードに触れることができるのも、このイベントの醍醐味のひとつだろう。