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2025.10.15

フェラーリがフル電動モデル「Elettrica」のシャシーおよび主要コンポーネントを公開

フェラーリは、「キャビタル・マーケット・デイ2025」において、ブランド史上初となるフル電動モデルの量産仕様シャシーおよび主要コンポーネントを初公開した。このモデルは、内燃エンジン、HEV およびPHEV パワートレイン、そして今回新たに加わるフル電動駆動を包含する、フェラーリのマルチエナジー戦略における重要な節目を象徴している。

このまったく新しい革新的なアプローチから生み出された新型「Ferrari Elettrica(エレットリカ)」は、最先端のテクノロジーと卓越したパフォーマンス、そしてすべてのフェラーリに共通する比類なきドライビングプレジャーを融合している。フェラーリが誇るエンジニアリングとクラフツマンシップの伝統に忠実に、このモデルの主要コンポーネントは、すべて社内で開発・製造されており、フェラーリならではの卓越したパフォーマンスと独自性を確実に実現している。

また、このモデルは、2009年のF1マシンに採用されたハイブリッド技術を起点とする、フェラーリの電動化に関する長年の技術研究の集大成といえる。2010年の599HY-KERSプロトタイプ、2013年のLaFerrari、そしてマラネッロ初のプラグイン・ハイブリッドモデルであるSF90 Stradaleや296GTB、さらに最近発表された849 Testarossaへと至るまで、フェラーリはその過程で、あらゆる側面で卓越した性能を発揮する電動モデルを開発するためのノウハウを着実に築き上げてきた。

フェラーリがブランド史上初の電動モデルの開発に向けて掲げた戦略は、当初から明確であった。それは、「フェラーリの価値観にふさわしい卓越したパフォーマンスと真のドライビング・エクスペリエンスを実現できる技術が確立した段階でのみ、そのモデルを世に送り出す」というもの。今回、その構想はついに量産段階へと到達し、60件を超える独自技術特許を有している。

シャシーおよびボディシェルには、初めて75%リサイクル・アルミニウムを採用し、1台あたり6.7トンのCO2削減という驚異的な成果を実現。アーキテクチャは、短いオーバーハング、フロントアクスルに近い先進的なドライビングポジション、そしてフロア全面に統合されたバッテリー構造を特徴としている。

そしてバッテリーモジュールは、前後アクスル間に配置され、その85%が車体の最も低い位置に搭載されることで、重心を大幅に低下させ、優れたドライビング・ダイナミクスを実現している。とりわけ注目すべきは、Ferrari Elettricaの重心が同等の内燃エンジンモデルと比べて80mmも低い位置に設定されている点であり、そのことが際立った運動性能をもたらしている。さらにリアには、フェラーリ史上初となる独立サブフレームが採用された。これは、キャビン内で感じられるノイズや振動を低減しつつ、マラネッロのクルマに期待される剛性と運動性能を確保するよう設計されている。さらに、Purosangue で初搭載され、F80で進化した第3世代の48Vアクティブサスペンションシステムは、乗り心地、ボディコントロール、車両運動性能をさらに高め、コーナリング時の力を4輪に最適に分配する。

またフェラーリ初のフル電動モデルには、前後2軸の電動アクスルが搭載されており、いずれも社内で開発・製造されたもの。各アクスルには、同期型永久磁石モーターと、F1技術に由来するハルバッハ配列口ーターが採用され、量産向けに最適化されている。フロントアクスルは、出力密度3.23kW/kg、ピーク出力時の効率は93%を実現。リアアクスルは、出力密度4.8kW/kgで同じく高いピーク効率を誇る。フロントインバーターは、最大300kWを発揮でき、アクスルに完全統合され、重量はわずか9kgに抑えられている。マラネッロで設計・組み立てられたバッテリーは、エネルギー密度約195Wh/kgを誇り、これは電気自動車として世界最高水準。さらに、熱分布と性能を最適化する冷却システムが採用されている。

レンジ、ツアー、パフォーマンスの3つのドライビングモードにより、エネルギーの使い方、出力、トラクションの制方法が決まる。またステアリングホイールのパドル操作により、ドライバーは5段階のトルクと出カレベルを順次選択できるため車との一体感を味わうことができる。車両制御ユニット(VCU)が取得する動的パラメータは、1秒間に200回更新され、サスペンション、トラクション、ステアリング機能を予測制御する。これにより、比類なき俊敏性、安定性、精密なハンドリングが実現されている。

新型Ferrari Elettricaの公開は、2026年初頭にインテリアデザインの雰囲気や感触をいち早く体験できるプレビューへ続く。その数か月後、来春にはワールドプレミアが開催され、テクノロジーとデザインが融合したこのモデルの全貌が明らかにされる。

技術諸元

■パフォーマンス
0-100km/h:2.5s
最高速度:310km/h
出力:>100cv in boost mode
航続距離:>530km

■サイズ&重量
ホイールベース:2960mm
重量:約2300kg
重量配分:47%フロント/53%リア

■フロントEアクスル
アクスル出力:210kW
ホイールトルク:3500Nm
エンジントルク:140Nm in Performance Launch mode
出力密度:3.23kW/kg(効率93%)
エンジン回転数:30,000
インバーター最高出力:>300kW
重量:65kg

■リアEアクスル
アクスル出力:620kW
ホイールトルク:8000Nm
エンジントルク:355Nm in Performance Launch mode
出力密度:4.80kW/kg(効率93%)
エンジン回転数:25,500giri/min
インバーター最高出力:>600kW
重量:129kg

■バッテリー
セル数:210(14セル構成モジュール15個)
総出力密度:195Wh/kg
セル出力密度:305Wh/kg
総容量:122kWh
最高電圧:800V
最大充電出力:350kW

関連情報:https://www.ferrari.com/ja-JP/auto/elettrica

構成/土屋嘉久

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