複雑化する現代社会において、ビジネスパーソンにとって必須のスキルと言えるのが「フレームワーク思考」です。 フレームワークを効果的に活用することで、問題解決能力やアイデア創出力、戦略的思考力を高め、ビジネスを成功に導くことができます。本記事では最新のフレームワークを網羅した書籍から3冊を厳選してご紹介します。
著/安岡寛道、富樫佳織、伊藤智久、小片隆久
SBクリエイティブ 2200円
「私がかなたを見渡せたのだとしたら、それは巨人の肩の上に乗っていたからです」というアイザック・ニュートンの言葉が本書の冒頭で紹介されています。私たちが直面する課題は新しくとも、それを解決するフレームワークはすでに偉大な先人によって確立されているのですから、それらを学び、実践することがビジネス成功の早道になります。本書では55の多様なフレームワークを【基本】【図解】【事例】の構成で、体系的かつわかりやすく解説しています。さらに、ジョブ理論やアート思考、コミュニティ共創法など比較的新しいフレームワークに加え、リーン・スタートアップやビジネスモデルキャンバスなど起業に役立つフレームワークも取り上げられています。イノベーションや新規事業創出など難しい課題に取り組むビジネスパーソンにも大いに参考になる一冊です。
著/徳本昌大、松村太郎
時事通信社 1980円
フレームワークに苦手意識があり、学び方がわからない人も多いのではないでしょうか? しかし、若いうちにフレームワークを身につけ、活用することでビジネスの課題解決能力が飛躍的に向上します。本書は、Appleの成功事例を通じて、主要なビジネスフレームワークをわかりやすく解説し、実践的なスキル向上を目指しています。マトリクス分析、クロスSWOT分析、キャズム理論、集合天才など多様なフレームワークをAppleのリアルケースから実践的に学べ、成功の手かがりを得られます。さらに、ジョブズの後継者ティム・クックがCEOとして時価総額3兆ドルを達成した要因を詳細に分析していますAppleと言えば、ジョブズのリーダーシップ経営に注目が集まりがちですが、本書を通じてクックの共創型経営の素晴らしさを実感できます。
著/永田豊志
SBクリエイティブ 1870円
生成AIの急速な発展により、ビジネス環境は劇的に変化しています。AIが解答を提供する時代において、適切な結果を得るには正しい問いを立てる力が不可欠になっています。著者はフレームワークを身につけることでこの問いの力を養えると指摘します。本書では、5フォース分析やTAM/SAM/SOMなど125のフレームワークが紹介されています。これらを学ぶことで、読者は生成AIを効果的に活用し、様々な課題に対処できるようになります。有名なフレームワークがほぼ網羅されているのも本書の魅力です。人間とAIの協働によって生産性を高める時代において、フレームワークを用いて的確な問いを立て、AIの能力を最大限に引き出すことで、時間を有効に使えます。これにより、ビジネスだけでなく、プライベートのライフスタイルの改善にもつながります。
〈選者〉ビジネス書評ブロガー 徳本昌大さん
広告会社でコミュニケーションデザイナーとして働いた後、経営コンサルタントとして独立。多数のベンチャー企業の社外取締役やアドバイザー、情報経営イノベーション専門職大学(iU)の特任教授を務める。
撮影/黒石あみ
※本記事はビジネストレンドマガジン「DIME」から転載したものです。