GTモードでの乗り味は、COMFORTモードより引き締まった、ロールを抑えたマセラティの世界観に合致した快適性とスポーティを見事にバランスさせたものになる。さらにSPORTモードでは、車体がより軽く、小さく感じられるほどの人車一体感ある、前後重量配分のバランスの良さを一段と実感できる切れ味鋭い操縦性が顔を出す。それでいて、乗り心地は優秀。首都高の継ぎ目などを乗り越えても、無粋な突き上げ感はないに等しいフラットさを保ってくれるのだ。
今回は横浜みなとみらい周辺の一般道、首都高のみの試乗だったが、ちょっと気になったのは電子パーキングブレーキを採用していながら、今や軽自動車の一部にも付いているオートブレーキホールド機能が未搭載なこと(ヒルホールド機能は完備)。聞けば、課題として取り組んでいるそうで、今後、アップデートで装備されるかも知れないとのことだった。
2023年1月から国内のデリバリーが始まったグレカーレは、GTグレードで1000万円を切る価格もあって、マセラティ ジャパンとしてはこれまでのマセラティで取り込めなかったユーザーの獲得に意欲的な1台だ。現時点での乗り換えモデル(前車)はメルセデスベンツ23%、ポルシェ12%、BMW11%、トヨタ9%、レクサス&マセラティ8%とのこと。2023年中に約1000台のデリバリーを予定しているというのだから、グレカーレの存在は、日本おけるマセラティブランドを一気に押し上げる効果も期待できそうだ。
とくにポルシェ・カイエンとマカンの中間的位置づけとなる室内空間、後席居住空間のゆとり、そしてラゲッジスペースの広さ、使い勝手を含め、ハイブランド輸入SUVを求めるファミリーユーザーにも大いに響きそうだ。
マセラティ・グレカーレ https://www.maserati.com/jp/ja/models/grecale
文・写真/青山尚暉