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2023.01.02

原点回帰を果たしたラグジュアリーなロードスター「メルセデスAMG SL」と過ごす軽やかな日常

メルセデス・ベンツと言えば、フォーマルな佇まいのサルーンを数多く生み出す、世界でも有数のラグジュアリーブランドというイメージが一般的だ。実際、その確かな作りと快適性、安全性は常にトップレベルにあり、多くのセレブリティに愛用されている。また、その一方でレーシングフィールドにおける強豪として数々の勝利を収めてきた側面があることも見逃せない。そこで培われた技術を市販車に落とし込んだ象徴的なモデルが、フラッグシップオープンスポーツの「SL」。その最新作が日本に上陸した。

アスリートのような強靭な体幹

スポーティかつ軽量であることを示す“Super Light”の頭文字を車名に戴くSLクラスは、1954年に登場したレーシングカーベースの“300SL”からその歴史が始まった。以来、時代ごとの最新技術をふんだんに盛り込んだ、メルセデス・ベンツのスポーツイメージを牽引するモデルとして現代まで連綿と作り続けられている。7代目に当たる最新型も同様の手法で仕立てられているのはもちろん、そのうえで新型SLはメルセデスAMGの名の下に、これまで以上にスポーツ性能を高めたモデルに生まれ変わった。

まず挙げられるトピックは、プラットフォームがアルミスペースフレームによる最新型にアップデートされたこと。これはオープントップボディの剛性強化と軽量化を狙ったものであり、骨格は先代よりも18%強靭に、ホワイトボディの重量は270kgと軽く仕上げられたという。同時に足回りも前後ともに総アルミ製の5リンク式サスペンションに改められるなど、体幹のしっかりとしたボディが構築された。

基本骨格を見直してさらに強靭になった新型SL。ロングノーズのスタイルはそのままに、ホイールベースを延長して後席スペースを確保している。

F1由来の技術がもたらす高性能

今回、日本に導入されたモデルは2ℓ直列4気筒ターボを搭載するSL43の1グレードとなる。これまで大排気量ユニットでならしてきたSLがダウンサイジングターボ?といぶかる方もいるかもしれないが心配無用。このエンジンもただの2ℓ直4ターボではない。

ハイライトはF1由来の技術を用いた、量産車では世界初採用の電気ターボを搭載した点にある。「エレクトリック・エグゾーストガス・ターボチャージャー」と呼ばれるこれは、排気側タービンホイールと吸気側コンプレッサーホイールの同軸上に電気モーターを追加したもの。この働きにより低回転域から常に過給圧を高められ、ターボラグを発生させず幅広い回転域にわたって過給圧を保ち続けるという。このユニットが発生する381PSと480Nmのパワーとトルクは従来型の3ℓV6ターボを上回る数値を誇り、0-100km/h加速4.9秒、最高速275km/hという事実からも、類稀なるパフォーマンスを発揮することがわかる。

アグレッシブな顔つきの新型SL。このモデルの始祖である300SLが勝利を収めたロードレースでの仕様を再現した“パナメリカーナ”グリルがAMGモデルの象徴。この奥に新型の2ℓ直4ターボエンジンが収まる。迫力ある佇まいながら、ダウンサイズターボとBSG(ベルトドリブン・スターター・ジェネレーター)を用いたマイルドハイブリッドの採用など、燃費性能の向上にも配慮が行き届いている。

新型のボディはこれまで以上にワイド&ローに仕立てられ、ラグジュアリー指向にあった先代と比べてもその高性能を隠しきれない様子。ルーフがこれまでのリトラクタブルハードトップからソフトトップに置き換えられたことも、そのスポーツ性を強調する要素のひとつと言えるだろう。また一方でホイールベースが延長されており、プラス2のリアシートスペースを設けることに成功し、実用性が高まっている点も見逃せない。

リアシートはスペースが限られており、乗員は身長150cm以下が推奨されている。もっともゴルフバッグを始めとする荷物置きとして重宝するのは間違いない。
ラゲッジスペースはルーフオープン時で213ℓ、クローズ時で240ℓを確保。リアバンパー下に足を差し出して開閉できるフットトランクオープナー機能も備わる。

ラグジュアリー・ロードスターとの豊かな生活

15秒で開閉が可能なソフトトップを開け放ち、ワインディングロードに繰り出してみると、この新しいロードスターはAMGモデルらしいソリッドでシャープな走りっぷりを披露してくれた。何より印象的なのが、コンパクトな2ℓ直4ターボを搭載したことによるノーズの軽さだ。クイックかつ正確な電動パワーステアリングの操舵に即応するようにクイクイと向きを変えるその様は、ライトウェイトスポーツカーのようというと大袈裟かもしれないが、とにかく意のままに操れる軽快感に富む。ターボエンジンはレスポンスに優れるためにピックアップも鋭く、ドライバーの思うとおりのパワーが瞬時に得られるのがいい。

そんなスポーツドライビングを楽しめるパフォーマンスを備えながらも、オープンコクピットは至極快適な環境が整えられていて、オートエアコン、ステアリング&シートヒーター、そして首元を暖めるエアスカーフなど、冬のオープンエアドライブでも寒さ知らずでいられるのがありがたい。60km/h以下なら走行中でも作動できる3層構造のソフトトップを閉じれば、メルセデス製サルーン並みの静粛性の高いコクピットに早変わりできるのも嬉しい。オープンスポーツと言いながらも、その高い快適性や先進運転支援システムを満載するなど、ラグジュアリー度の高さはやはりメルセデスのそれである。

運転に集中できる環境が整えられたコクピット。センターコンソールには11.9インチの縦型モニターが備わり、様々な機能が集約される。ステアリングスポーク脇にはドライブモードセレクターが備わる。

どのようなシチュエーションにも変幻自在に、スマートに対応できるのが新しいSLの魅力であり、アグレッシブさとエレガントさを両立した仕立てに惹かれる方も多いだろう。そんな躍動感に溢れるキャラクターは、オン/オフをしっかりと切り替えながら積極的かつ精力的に自分の世界を切り開いていくセレブリティの格好のパートナーとなるはずだ。

15秒で開閉できる3層構造のソフトトップを閉じた状態もエレガントな新型SL。

<SPECIFICATIONS>
メルセデスAMG SL43
ボディサイズ:全長×全幅×全高:4,700×1,915×1,370mm
車重:1,780kg
駆動方式:RWD
トランスミッション:9速AT
エンジン:直列4気筒ターボ 1,991cc
エンジン最高出力:280kW(381PS)/6,750rpm
エンジン最大トルク:480Nm/3,250〜5,000rpm
モーター最高出力:8/10kW
モーター最大トルク:58Nm

問い合わせ先:メルセデス・ベンツ 0120-190-610

TEXT:桐畑恒治(AQ編集部)

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