0→100km/hの加速タイムを計測した時は、6.15Lエンジンはレッドゾーンに突入し、6500回転まで上昇し加速した。タイムは3秒台後半。スーパースポーツを名乗るのにふさわしい実力を見せてくれた。4輪ダブルウィッシュボーン、4輪ベンチレーテッドディスクブレーキ、前245/35ZR19、後305/30ZR20という組み合わせの足まわりは、低速域ではやや重めの操舵力と、硬めの乗り心地で、目地ではドンッという音と振動を発生するものの、車速を高めていくと重めの操舵力に、切り込んだ時のクイックな反応が加わり、スポーツカーらしい俊敏な動きが体感できる。高速域での直進時の安定感の高さと、段差などでの突き上げの吸収力の高さは、見事。
しかも、こうした動きは、ドライバー自身がスイッチなどでコントロールするのではなく、クルマが自然に動いてくれるもの。アメリカ人のクルマの運転は、イージードライブが基本で、それは、たとえミッドシップのスーパースポーツでも同じこと。唯一、走行中にドライバーに操作を要求するのは、街中で大きな段差を乗りこえたりする時の、フロントのリフトアップ。このスイッチを押すと、3秒以内にフロントが約40mm上昇するので、フロント下をこすることなく通過できる。
安全性に関しても2024年モデルから歩行者/自転車対応の低速時自動ブレーキ、前方衝突車前警告、車線内走行アシスト、車線逸脱警告、ヘッドライト自動切り替え、前方車間距離表示などが追加され、機能が充実した。ミッドシップスーパースポーツでありながら、車体後部の荷物スペースにはゴルフバッグが2セットが入り、前部にも深さ450~560mm、奥、左右幅550mmの荷物スペースが備わる実用性も備えている「コルベット」は、ビギナーでも運転できる2シータースポーツ。唯一のウィークポイントは、リッター4~6kmという伝統的なアメリカンV8エンジンを支える燃費だけかもしれない。
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https://www.chevroletjapan.com/corvette
文/石川真禧照 撮影/藤岡雅樹