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2025.12.05

歩み続けて111年。トライデントが輝く新たな節目を迎えたマセラティ

ワンオフモデル「メッカニカ・リーリカ」の余韻と、「グラントゥーリズモ」および「グランカブリオ」の生産が歴史あるヴィアーレ・チロ・メノッティ工場へ復帰した歓喜もまだ色濃く残る中、2025年12月1日、マセラティは創業111周年を迎え、イタリアのモーターバレー最も長い歴史を持つブランドとして、この記念すべき日を祝福する。

このふたつの出来事は、マセラティが世界におけるイタリアン・ラグジュアリーの象徴であることを改めて示すものであり、ブランドは、トライデントのエンブレム誕生100周年と、モータースポーツ初参戦から100年となる“トライデント・センテナリーイヤー・2026”へと歩みを進めている。1926年、トライデントをボンネットに掲げた最初のレーシングカー「ティーポ26」がタルガ・フローリオでクラス優勝を果たし、マセラティのモータースポーツの歴史が幕を開けた。しかし、“メイド・イン・イタリー”の象徴であるマセラティの物語は、さらに10年前、1914年に遡る。アルフィエーリ・マセラティと兄弟のエットーレ、エルネストは、ボローニャ中心部のビア・デ・ペポリの1A番地に「アルフィエーリ・マセラティ」を設立し、12月1日付の個人事業申告書により正式に操業を開始した(申請書類の提出日は14日)。

4CL(1939年)

マセラティ兄弟は、機械への深い情熱とスピードへの愛情を胸に、自らレースカーを操ることも楽しんでいた。また、兄弟のひとり、マリオはボローニャの“ネプチューンの噴水”から着想を得てトライデントのエンブレムを描き上げ、ビンドは1932年、アルフィエーリの死を受けて「オフィチーネ・マセラティ」に加わった。前述の通り、トライデントを纏った最初のマシンは「ティーポ26」で、1926年のタルガ・フローリオでデビューを果たし、アルフィエーリが操縦する1.5リッター以下クラスで優勝を飾った。これを皮切りに、インディ500の連覇(1939年・1940年)、タルガ・フローリオ4連覇(1937~1940年)、フォーミュラ1での9勝、そしてフアン・マヌエル・ファンジオとともに1957年のフォーミュラ1世界選手権制覇など、輝かしい記録が続く。

ティーポ26

近年では、「MC12」が2005~2010年にかけてFIA GT国際選手権を6連覇し、プロダクションカーをベースとしたGTレースにおける頂点を示した。2023年以降、マセラティは、「GT2」によって再びクローズドホイールレースに戻り、世界20以上の選手権で勝利を重ねている。

MC12

1939年末、オルシ家の支援を受けてマセラティはモデナへと本拠を移し、1940年1月1日にヴィアーレ・チロ・メノッティ工場が開設されて以来、トライデントの聖地としてその役割を果たしてきた。1947年には、マセラティ兄弟とブランドの協働が終了し、初の市販車「A6 1500」が誕生。さらに1963年には「クアトロポルテ」を発表し、高性能ラグジュアリーセダンという新たな市場を切り拓いた。

A6 1500

その後、ロエン時代(1968~1975年)には、現代的な生産プロセスが導入され、続くデ・トマソ時代(1975~1993年)にはブランドの象徴でありベストセラーとなる「ビトゥルボ」を生み出し、商業的成功を収めた。確固たる歴史と産業基盤を礎に、マセラティは近年、新型モデルと革新的技術を次々と発表している。2007年には第5世代「クアトロポルテ」がデトロイト・モーターショーでデビューし、続いてジュネーブ・モーターショーでは、象徴的な「グラントゥーリズモ」が登場した。さらに、2009年に「グランカブリオ」、2013年には第6世代「クアトロポルテ」と「ギブリ」が続き、2016年にはブランド初のSUV、「レヴァンテ」が誕生した。

ギブリ

2020年、ブランドの新時代を象徴する「MC20」の生産ラインの導入に伴い、ヴィアーレ・チロ・メノッティ工場は大規模なリニューアルを実施した。社内塗装工房の整備に加え、国際特許を取得した、100%マセラティ製の革新的なネットゥーノエンジンの開発・組立専用エリアも新設された。その2年後には、新型SUV「グレカーレ」が登場し、マセラティの卓越したパフォーマンスと優雅さを兼ね備えた、唯一無二の走りを実現した。

グレカーレ トロフェオ

2023年には、公道走行可能なスーパースポーツカー「GT2 ストラダーレ」が登場し、マセラティのエレガンスとレーシングのふたつの世界を融合。翌年には、限定62台のサーキット専用モデル「MCXtrema」が発表され、730psを発揮するV6ネットゥーノエンジンを搭載した究極の“ビースト”として注目を集めた。

GT2 ストラダーレ

2025年は、マセラティとモデナ工場にとって歴史的な年となり、3つの重要な節目が刻まれる。まずは、マセラティの真髄であるエネルギーとパフォーマンスを極限まで体現する「MCプーラ」の生産開始。次に、アルファロメオとマセラティの創造力を結集する革新的プロジェク「BOTTEGAFUORISERIE(ボッテガフォーリセリエ)」の発表。そして、「グラントゥーリズモ」と「グランカブリオ」の生産が、かつての世代が誕生したモデナに帰郷する。マセラティCOO のサント・フィチーリ氏は、次のように述べている。

「ブランドの心臓ともいえるこの街で、マセラティの創立111周年を祝えることを大変光栄に思います。『マセラティ メッカニカ・リーリカ』の祝賀に続き、私たちの誕生日に、ここモデナに受け継がれる卓越した技術力を改めて称えられることは大きな誇りです。1世紀以上にわたり、この地はパフォーマンス、デザイン、クラフトマンシップにおける独自のビジョンを育み、イタリアン・ラグジュアリーの真髄を体現してきました。マセラティの社員、ディーラー、そしてすべての関係者に感謝いたします。今年の一連の出来事は、マセラティとモデナの強い絆、そしてブランドが未来に向けた挑戦を着実に進める決意を改めて示すものです」

関連情報:https://www.maserati.com/jp/ja/shopping-tools/maserati-111th-special-content-202508

構成/土屋嘉久

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