変革を進めているジャガーは、新しいブランドアイデンティティのデビューに続き、独創的で予想外、かつドラマチックなジャガーを具現化したDESIGN VISION CONCEPT「TYPE 00(タイプ ゼロゼロ)」を公開した。この「TYPE 00」は、ジャガーのクリエイティブな哲学「Exuberant Modernism(活気あふれるモダニズム)」を体現している。
6日間にわたり南フロリダがアートの中心地となるマイアミ・アートウィークでデビューした「TYPE 00」は、創業者ウィリアム・ライオンズ卿の信念「Copy Nothing」まで立ち戻るものであり、さらに今後の展開を示唆するものとなる。
JLR最高経営責任者(CEO)のエイドリアン・マーデル氏は以下のようにコメントしている。
「人々を魅了するJAGUARの魔法のような力は私にとってとても大切でかけがえのないものです。ヘリテージや、芸術性、そしてエモーショナルな魅力をもち、比類のないオリジナルのブリティッシュ・ラグジュアリー・ブランドでした。それこそが私たちが目指すJAGUARであり、『E-TYPE』のようなアイコニックなモデルと同じような感動を生み出したいと思っております。私たちの変革の旅は、『Copy Nothing』というJAGUAR本来の信念に導かれてスタートを切りましたが、その結果はすばらしいものになると確信しています」
また、JAGUAR担当マネージング・ディレクターのロードン・グローバー氏も以下のようにコメントした。
「私たちはブランドのDNAに忠実でありながら、未来を見据えて際立った個性を備え、大胆でクリエイティブな新しいJAGUARのキャラクターを創造したのです」
「TYPE 00」は、ジャガーの新たなクリエイティブな哲学「Exuberant Modernism(活気あふれるモダニズム)」を体現したモデル。名称に使用している「TYPE」は、ブランドの起源ともいえる「E-TYPE」といったモデル名に由来し、ひとつ目のゼロは、排出ガスゼロを意味し、ふたつ目のゼロは、新生ジャガーにとってのゼロ号車両であることを表している。そして先見性のあるデザインは、EVの常識を覆すものであり、長いボンネット、流れるようなルーフライン、23インチのアロイホイール、ファストバックのプロファイル、ボートテールなどが、洗練されたモダンなサーフェスを備えたドラマチックなシルエットを生み出している。このデザインは、独自の専用アーキテクチャであるJEA(Jaguar Electrical Architecture)によって実現した。
そして今回、チーフ・クリエイティブ・オフィサー プロフェッサー・ジェリー・マクガバンOBE氏も以下のようにコメントしている。
「『TYPE 00』は、JAGUARの新しいクリエイティブな哲学をピュアに表現したものであり、際立った存在感を放ちます。これは、勇敢で制約のない創造的思考と揺るぎない決意の結果と言えます。私たちが最初に具現化し、これまでに見たことのないような外観をもち、新しいJAGUARファミリーの礎石となるでしょう。まさに、最高レベルの芸術作品を目指したビジョンなのです」
この「TYPE 00」は、ジャガーブランドの精神とエッセンスを最大限に再現した、新世代ジャガーの序章となるもので、デザインとエンジニアリングの両方を白紙の状態からスタートさせた。そして「TYPE 00」のドラマチックなデザインを実現するために、全く新しい独自のアーキテクチャである、JEAをゼロから開発した。
この専用テクノロジープラットフォームによって、魅力的なドライビングエクスペリエンス、卓越したハンドリング、そして模範的かつ快適な乗り心地を実現。最新の電動化テクノロジーと驚異的なデザインにより、ますます均質化が進むEV市場において、将来のジャガーは際立つ存在になることを目指す。
最初のプロダクションモデルは4ドアGTで、2025年後半に発表予定となっている。1回の充電で、WLTPモードで770km(478マイル)、 EPAモードで692km(430マイル)の最大航続距離、さらにわずか15分で最大321km(200マイル)分の急速充電を実現することをターゲットにしている(メーカー推定値)。
自信に満ちた新しいフロントマスクは、垂直なフラッシュサーフェスと、その中央に配した新しいジャガーのデバイスマークを組み合わせたデザインを採用している。特徴的で精緻なフロントライトシグネチャーが車両のコーナーを強調し、幅広さと安定感をもたらす。
サイドは大胆なプロポーションが特徴で、車体の両側には手仕上げの真鍮インゴットにレーザーエッチングしたジャガーの「leaper(リーパー)」が描かれている。このインゴットは格納式となっており、必要に応じてリアビューカメラが出現。充電ポートやフロントエアインテークと同様に、必要な時までは隠れた状態になっている。
さらにリアにも大胆な演出が施されている。ガラスのないテールゲートと、ボディと調和したパノラミックガラスルーフが、まるで彫刻のようで、リアエレベーションは独特な水平のStrikethrough(ストライクスルー)グラフィックを採用している。ドラマチックなフルワイドテールライトを隠すことで、「TYPE 00」のパワフルさとスケールを強調している。
ジャガーは、1961年のジュネーブモーターショーで2台の「E-TYPE」を発表した時と同じように、「TYPE 00」も対照的な2台のDESIGN VISION CONCEPTを披露した。ひとつは、「サテンロードンローズ」という色を纏ったモデルで、マイアミのアイコニックなアールデコ建築のパステルカラーにちなんで「マイアミピンク」と呼んでいる。これは、真鍮が経年変化し独特なローズカラーになることからインスピレーションを得ている。もうひとつは「インセプションシルバーブルー」のエクステリアカラー。「ロンドンブルー」と呼ぶこのカラーは、1960年代のオパールセントシルバーブルーに着想を得たもので、ジャガーのルーツである英国のイメージを反映している。
また、ジャガー担当チーフ・エクステリア・デザイナーのコンスタンチノ・セギ・ジラベルト氏は以下のように話す。
「ジャガーは特別なものであり、平凡な存在であってはなりません。新しいジャガーを初めて目にするときに、今までにないような驚きを感じさせるものであるべきです。『TYPE 00』は、過去のすばらしいジャガーと同様に注目を集めるでしょう。ドラマチックな存在感を放ち、英国のクリエイティビティとオリジナリティを反映した独自の精神を表現しています。まさに、アートを称え、『Exuberant Modernism』の神髄を具現化したものになっています。」
ドラマチックなバタフライドアと「パンタグラフ」テールゲートを開けると、エクステリアと同様の豊かなプロポーションを誇るモダンなインテリアが現れる。荘厳な室内には、手仕上げの3本の真鍮のラインがフロントからリアに沿って配置され、中央には長さ3.2mの真鍮の支柱があり、フローティングインストルメントパネルを分割する。
そして落ち着きのあるトラバーチンストーンは、フローティングシートと中央の支柱を支える台座としての役割を担う。また、インテリアの豊かなレイヤード色調のインスピレーションともなっており、織り込まれたテキスタイルが、クラフトマンシップを感じさせる。手織りの糸からインスピレーションを得た、触り心地の良いウール混紡素材が、2つのシート、サウンドバー、床材を包み込んでいる。さらに「TYPE 00」は、感覚を刺激する。ボディと調和したガラスルーフは、インテリア素材の繊細な模様を映し出し、テクスチャに命を吹き込んで、一日を通してその特徴を変化させる。
ジャガーのデザインチームは、インテリアをより魅力的にする新しい方法を模索した。乗員は、独自のプリズムケースを使用することで、気分に合わせて室内をカスタマイズできる。この機能の目的は、乗員が車両と関わることで、カスタマイズとパーソナライゼーションの概念を拡張させることだった。プリズムケースは、ボディサイドにある精巧な電動ドアを備えたボックスのなかに収納されおり、真鍮、トラバーチン、アラバスターの3つの天然素材のトーテムが入っている。センターコンソール内にトーテムのひとつを配置すると、インテリアの雰囲気を調整することができる。アンビエントライトや独自のサウンドスケープ、カスタマイズされたスクリーングラフィックまで、すべてが選択したトーテム素材の特性を反映したものになる。ビスポークの香りが素材と相互作用することで、これまでにないパーソナライゼーションが実現する。そしてディスプレイスクリーンにも、感覚を刺激する豊かでアーティスティックなアプローチを採用している。光と影を使って立体的なオブジェクトを表現する「キアロスクーロ」という独創的な技法を使ってアニメーションを作成した。
関連情報:https://www.jaguar.co.jp/copy-nothing/
構成/土屋嘉久