メルセデス・ベンツは、新型「メルセデスAMG GT 4ドアクーペ」を発表し、1月20日より予約注文の受付を開始した。なお、オーナーへの納車は本年2月頃を予定している。
「メルセデスAMG GT 4ドアクーペ」は、メルセデスAMG社の独自開発による新たなスポーツカー。メルセデスAMGのアイデンティティである、究極のハイパフォーマンスを持ちながら、官能的なデザインと広い室内空間および4ドアの利便性を兼ね備えており、パフォーマンスやデザイン性を求めながらも、日常生活での使い勝手にも妥協をすることができないユーザーの要望に応えるモデル。
メルセデス AMG GT 4 ドアクーペのシャーシの開発には、モータースポーツの分析およびシミュレーションの手法が採用され、最大のパフォーマンスを確保すべく、適切な箇所に補強を実施した。フロントセクションは非常に剛性が高く、正確なステアリングとフィードバックをドライバーにもたらす。中央部からリアエンドは、ガセットやクロスメンバーを追加、ラゲッジフロア部にCFRPを採用するなど軽量、高剛性を実現している。
「GT 43」と「GT 53」には、直列6気筒エンジン「M256」と「インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター(以下ISG)」が搭載される。ISGはエンジンとトランスミッションの間に配置された、最高出力21PS(16kW)、最大トルク250Nmを発生する電気モーターで、オルタネーターとスターターの機能も兼ねている。
この電気モーターと「48V電気システム」により、従来のハイブリッド車のような回生ブレーキによる発電を行い、約1kWhの容量のリチウムイオンバッテリーに充電する。エンジンが低回転時には、その電力を利用して動力補助を行うことで、高い効率性と、力強い加速を実現。スターターが従来より高出力な電気モーターとなることで、エンジン始動時の振動を抑え、エンジンスタートおよびアイドリングストップの際の再スタートの快適性を向上した。
また、アイドリング時には、電気モーターの充電電流を調整することで、エンジン回転数を低回転で安定的に保つことを可能にし、効率性、快適性および静粛性に寄与。さらに、このモーターはシフトチェンジ時にも使用され、エンジンが理想的回転数に達するまでの時間を最小限に抑えるためのアシストも行なう。これにより、シフトチェンジに必要な時間が短縮され、スムーズでタイムラグの少ないシフトチェンジを実現する。
「M256」エンジンは、直列6気筒レイアウトの採用によりエンジン左右のスペースに補器類を配置することが可能になったことに加え、従来はエンジン回転を動力源としていたエアコンディショナー、ウォーターポンプなども電動化されたため、エンジン前部のベルト駆動装置が不要となり、よりコンパクトなエンジンとなった。
また、エンジン近接型の触媒を採用し、より効率的な排出ガス処理を可能にしている。さらに、12mmオフセットされたシリンダーや、シリンダーウォールにスチールカーボン材を溶射コーティングするNANOSLIDE摩擦低減加工を施すことで、フリクションロスを低減しており、高回転まで伸びやかな加速と振動が少ないという特徴を実現している。
加えて、排気によるターボチャージャーが効果を出しづらい、低回転域で過給を行う「電動スーパーチャージャー」を搭載することにより、ターボラグを解消している。この「電動スーパーチャージャー」と「ISG」による動力補助および排気ターボチャージャーとの組み合わせで、あらゆる回転域で俊敏なエンジンレスポンスを実現している。
「GT 43」は最高出力367PS(270kW)、最大トルク500Nm、「GT 53」は最高出力435PS(320kW)、最大トルク520Nmを発揮する。
従来のマルチチャンバーを備えたAMG RIDE CONTROL+エアサスペンションに、新たにダンパーの外側に2つの圧力制御バルブを追加した。1つはホイールのリバウンドで発生するリバウンドダンピングを制御するバルブ、もう1つはホイールが収縮する際に発生するコンプレッションダンピングを制御するバルブとなる。
これにより、ホイールのリバウンドと収縮のステージをそれぞれ別個に制御することが可能となった。最小減衰力と最大減衰力の特性差を広げ、マップデザインの柔軟性をさらに高めることで、快適性を高める一方で、スポーティなドライビングダイナミクスの両立を実現した。
駆動系では、高性能エンジンのパワーを四輪に最適配分するメルセデスAMGが開発した四輪駆動システム「AMG 4MATIC+」を搭載している。前後トルク配分が50(前):50(後)から0(前):100(後)の範囲で可変トルク配分を行うことで、ハイパワーを四輪へ最適に配分。発進時はもちろん高速走行、ハイスピードコーナリング、そしてコーナーの立ち上がり加速などにおいて絶対的な安定性を誇り、思いのままのドライビングを楽しむことができる。
ドライブモードは「GT 43」と「GT 53」で 5 モード用意されており、センターコンソールのAMG DINAMIC SELECTおよびAMGパフォーマンスステアリングのスイッチで様々な状況に最適な制御を選択することができる。
各ドライブモードでは、エンジン、トランスミッション、サスペンション、エグゾースト、ステアリングの制御が変更可能な他、各モードに自動選択される「ベーシック」、「アドバンスト」、「プロ」、「マスター」の4つのモードがあり、四輪駆動システムやESPの制御を変化させる。
例えば、ドライブモード「レース」 「マスター」モードは、ヨーレートの引き上げや、アクセルペダル、ギアシフトシステム、リア・アクスルステアリング、リアの電子制御リミテッド・スリップ・デフ、あるいは四輪駆動システムのブレーキ力配分のレスポンス高速化などを行なう。
また、ドライブモードとは独立して、マニュアルシフトへの切り替えや、車高およびエグゾーストサウンドの調整などがセンターコンソールの液晶表示ボタンで操作することができる。
「メルセデスAMG GT 4ドアクーペ」は、快適な後席環境や積載性を確保する一方、メルセデス・ベンツの「Sensual Purity(官能的純粋)」というデザインの基本思想にのっとって、官能的なスタイリングに仕上げられている。また、AMG GTファミリーであることが、はっきり分かるようなスポーティさを兼ね備えている。
フロントは、伝統的なクーペの構造的特徴であるロングボンネットと二つのパワードームを採用。さらに、上下方向に細く、幅の広いデザインのマルチビームLEDヘッドライト、AMGのトップモデルが纏う、縦にルーバーが入ったAMG専用ラジエターグリル、逆スラントした「シャークノーズ」、流麗な「A ウイング」デザインなど、AMG GTファミリーならではのパフォーマンスを感じさせるデザイン要素をふんだんに盛り込んでいる。
リアにも上下方向に細いLEDリアコンビネーションランプやリトラクタブルリアスポイラーなどAMG GTファミリーの特徴が表現されている。さらに「GT 43」と「GT 53」には円形のデュアルエグゾーストエンドが採用されている。
サイドはサッシュレスウィンドウと後方に向けて大きく傾斜した上下方向に細いウインドスクリーンを採用し、4ドアの利便性を持ちながら、クーペの流麗なルーフラインも保っている。ワイドなリアのショルダー部は「メルセデスAMG GT 4ドアクーペ」のアスレチックでスポーティな志向を表現するとともに、リアトレッドの拡大に寄与している。
インテリアの大きな特徴は、乗車定員が5人であること、そして高い積載性。リアシートは大人であっても十分な空間が確保されている。また、ラゲッジスペース容量は最大で456リッター、さらにリアシートを格納した場合、最大1,324リッターまで広がる。
インテリアデザインは高級感がありながら、パフォーマンスの高さも感じさせるデザインとなっている。面積が広く、流れるようなデザインでワイドさを強調するインテリアトリムやタービンエンジンを想起させるエアアウトレット、2つの高精細12.3インチワイドディスプレイを一枚のガラスカバーで融合したコックピットディスプレイなど、基本デザインを最新のメルセデス・ベンツモデルと共有している。
さらに、ステアリングホイールから手を離さずに走行モードを変更することができる「AMGドライブコントロールスイッチ」が装備される。右側のスポークの根元に位置するボタンはAMG DYNAMIC SELECTの走行モードなどを選択することができ、左側はエグゾースト、サスペンション、マニュアルモード、ESPなどの調整を行うことができる。
加えて、手のジェスチャーで様々な操作が可能なMBUX インテリア・アシスタントを全モデルに標準装備。例えば、Vサインによって、お気に入りの機能のショートカットをメディアディスプレイに表示したり、ルームミラーの下で手を上下させることでリーディングライト、助手席シート上方に手を伸ばしてサーチライトのオン・オフや利便性が向上している。
ホームスクリーン、メディア、ナビゲーション、シート調節では選択項目をハイライトまたは拡大表示することで、より操作しやすくなるよう配慮されている。また、360°カメラシステムの映像を車両の前後左右、俯瞰などを任意に切り替えることができるので、駐車の際などに大変便利。