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2024.09.05

歴代モデルで最もパワフルなV12エンジンを纏ったアストンマーティン「ヴァンキッシュ」の破壊力

018年に生産終了となったアストンマーティンのフラッグシップモデル「ヴァンキッシュ」。2024年9月2日、約6年ぶりに約111年というアウトンマーティンの歴史の中で最もパワフルなフラッグシップモデルとして復活した。

新型「ヴァンキッシュ」のボディーサイズは、全長4850mm×全幅1980mm(ミラー含まず)×全高1290mm。ホイールベースは2885mmで、旧型の「ヴァンキッシュSクーペ」より、全長は+120mm、全幅+70mm、全高−5mmというワイド&ローのフォルムとなった。

新型「ヴァンキッシュ」のサイドビューを見ると、ホイールベースが長くなったのが一目瞭然。先代モデルより80mm延長され、ロングノーズ・ショートデッキのクラシカルなスポーツカースタイルを一段と際立たせている。

新型「ヴァンキッシュ」の外観デザインは、フロントエンジン部分の比率が大きくなったことで、爽快なスピードとパワーを感じさせ、そのティアドロップ形状はフロントからリアへと押し出される推進力を表わしている。

新型のデザインの中で、最もドラマチックな要素がアストンマーティンV12モデルで初めて採用されたパノラミック・ガラスルーフだ。光透過率6%のティンテッドガラスは低放射率コーティングにより、有害なUV-A、UV-Bの紫外線から乗員を守ってくれる。

新型「ヴァンキッシュ」のデザインにおいて、リアスタイルで最高潮に達する。幅広い、強力なリア部とデッキリッドスポイラーと一体になった、急なカムテールが空力バランスを実現している。

そして「ヴァンキッシュ」のインテリアは、「クラフトマンシップ」と「精度」がテーマ。2シーターのスーパーGTとして設計された新型「ヴァンキッシュ」のインテリアは、ドライバーを楽しませることと、その官能的な体験を1名の同乗者だけに共有することにフォーカスされている。

本革とカーボン素材を使用したインテリアは、センターコンソールを水平面に下げることで、明快さ、広々としたスペース、ラグジュアリー感を生み出している。タッチスクリーンを多用するインテリアが多い中で、新型「ヴァンキッシュ」は、最新のテクノロジーと手による操作を融合することでラグジュアリー感と運転時の直感的な使いやすさを追求している。

これにより、主要な操作機器類は、すべて中央に集約され、ドライバー中心のインテリアの明快さとシンプルさを強調している。新型「ヴァンキッシュ」のシャシーは「DB12」や「ヴァンテージ」と同様に接着アルミシャシーを採用。

高いダイナミクスを実現するため、アンダーボディは剛性を強化する部材により、前フラッグシップモデルの「DBS770アルティメット」と比べて、横剛性が75%向上している。これにより、フロントがダブルウィッシュボーン式、リアはマルチリンク式というサスペンションが非常に効率的に仕事をしてくれる。

また、約80mm長くなったシャシーには、剛性の高いエンジンクロスブレースを採用することで、フロントサスペンションタワー間の横剛性を向上。これにより、新型「ヴァンキッシュ」で採用された専用のキャリブレーションを施されたビルシュタインDTXダンパーの取り付け剛性が向上し、ダンピング性能の効率化と微調整の強化を実現した。

新型「ヴァンキッシュ」が搭載しているエンジンは、アストンマーティンが新開発した5.2L V型12気筒ツインターボエンジン。マイルドハイブリッドなどの電動化は全くないピュアガソリンエンジンとなっている。

最高出力は835ps、最大トルクは1000Nmとクラストップレベルのパフォーマンスを発揮。これまでのアストンマーティンが開発したV 12気筒エンジンとしても、160ps/Lという高い出力を実現。最高速度は345km/hとなっている。

この歴代最強を誇るV12ツインターボエンジンには、新たにブースト・リザーブ機能を採用。この新技術は、出力アップに対するレスポンスを高めて、特に追い越し時やダイナミックな運転時に力を発揮するというもの。ブースト・リザーブ機能は、スロットルがパーシャルの状態でも、通常必要とされるターボブースト圧より高く圧力をキープし、フルスロットルが必要となった場合にすぐに応答できるというもの。ターボラグのようなドライバーのペダル操作に対するレスポンス遅れを感じさせなくなっている。

また、新型「ヴァンキッシュ」は、アストンマーティンのフロントエンジンV12エンジン車として、初めて、ZF製の8速ATとエレクトロニック・リアLSD(E-diff)を採用。E-diffは、ESP(横滑り防止装置)に統合され、車両の動的挙動に直接リンクするため、ホイールのスリップなどにリアアクスル全体で対応し、あらゆるコンディション下で、トラクションを最適化することができる。

ちなみに、E-diffは従来の機械式LSDとは異なり、フルオープンから100%ロックまでわずか135ミリ秒で移行することができる。さらに最新のESP技術と組み合わせることで、動的能力が大幅に向上し、低中速のコーナリングでの敏捷性や高速でのレーンチェンジ時のコントロール性も向上する。

ESPはセンターコンソールに設置されたボタンで操作可能で、あらかじめ用意された「On」「Track」「off」「Wet」からドライバーの好みや走行シーンに応じて選択可能。

最高出力835psというハイパワーを路面に伝えるため、タイヤはアストンマーティン専用の21インチのピレリ 「P-ZERO」 を装着。その大径ホイールの中には、フロント410mm、リア360mmのディスクを採用したカーボンセラミック・ブレーキ(CCB)を標準装備している。

新型「ヴァンキッシュ」には、エンジンサウンドにもこだわっており、ドライブモードの切り替えや専用のエキゾーストボタンを使用することで、V12サウンドを段階的に変えることができる。

発表会に登壇したヘッド・オブ・Q・スペシャルプロジェクトセールスのサム・ベネッツ氏は、電動化全盛期のこの時代に、ピュアなV12エンジンにこだわった理由として、V12エンジンというのは、アストンマーティンブランドを具現化しているものである。だから今後もV12エンジンを作り続けていきたいと語った。

また、この新型「ヴァンキッシュ」に搭載されたV 12エンジンは最後のエンジンになるのか。という質問には、将来的な製品プランについては多くを語れないが、できる限りV 12エンジンを作っていきたいが、将来的にはハイブリッドのようなものも必要になるだろうと話す。

そして、ユーザーから新型ヴァンキッシュに対してどのようなリクエストがあったのかという質問には、これまでのモデルよりラグジュアリーで最高出力、最大トルク、最高速度すべての数字が上回るスーパーラグジュアリーモデルという声を頂いた。そうしたリクエストに対して応えられるようなモデルに仕上がっていると胸をはった。

最後に価格という質問に対しては、先代の「ヴァンキッシュS」(約3500万円)よりは高くなるはずと明確な価格についてはコメントを避けた。「ヴァンキッシュ」という名前は、「叩き潰す」という意味があるが、個人的にはライバル車を叩き潰すというのではなく、これまでの常識を叩き潰すという想いが込められているのではないかと考えている。

■関連情報
https://www.astonmartin.com/ja

■関連動画
The New Aston Martin Vanquish | An Icon Returns (youtube.com)

取材・文/萩原文博

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