「12チリンドリ」のインテリアは、ローマなどにも採用されているデュアルコクピット・アーキテクチャーを採用。ほぼ左右対称のキャビンはドライバーとパッセンジャーの2個のモジュールから形成され、快適性やドライビング・エクスペリエンスを高次元で両立している。また、3枚のディスプレイで構成された新しいヒューマン・マシン・インタフェースを「12チリンドリ」から導入。主な機能はすべてドライバーだけでなくパッセンジャーからも手が届く、中央の10.25インチタッチスクリーンで操作可能だ。
ドライバーには15.6インチ、パッセンジャーには8.8インチのディスプレイを採用。ドライバーにはドライビングとビークル・ダイナミクスに関するすべての情報。そしてパッセンジャーはドライビング・エクスペリエンスに関与でき、コ・ドライバーのような感覚を味わえる。
「12チリンドリ」に搭載されている6.5L V12自然吸気エンジンは、フェラーリの魂を最も純粋に表現した最新バージョン。最高出力は830cv、そして最大トルクは678Nmを発生。組み合わされるトランスミッションは8速DCTで、最高速度は340km/h、0-100km/h加速は2.9秒というハイパフォーマンスを発揮する。
このハイパフォーマンスを支えるため、ブレーキ・バイ・ワイヤをはじめ、ABS Evo、6Dセンサー、サイド・スリップ・コントロール(SSC)8.0、そして、四輪独立操舵(4WS)といった電子デバイスを搭載している。
装着しているタイヤはフロントが275/35ZR21、リアは315/35ZR21というサイズで、ミシュランのパイロットスポーツS5かグッドイヤーのイーグルF1スーパースポーツが採用されている。
エンツォ・フェラーリが、マラネッロの伝説の礎となったのはV12エンジンと語り、その最新バージョンを搭載する「12チリンドリ」。最後のV12気筒エンジン搭載車というウワサも流れており、フェラーリV12エンジンの集大成と考えれば、5,674万円からという価格は高くはない。
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取材・文/萩原文博