「GT-R」シリーズとしては第3世代にあたる現行の「R35」は、2007年に登場して以来、フルモデルチェンジは受けていないので、今年でデビュー16年目を迎えることになる。しかし、毎年のようにクルマには手が加えられ、アップデートしているので、その性能は、動力、快適ともに向上している。さすがに、2021年末あたりから販売を終了する地域もではじめ、今年で最後、という噂も流れていた。
しかし、2023年春に突然、2024年モデルが発表された。今回、試乗したのは、特別仕様車として開発された「Premium edition T-spec」だ。「NISMO Special edition」も同時に発表されたが、メーカー発表の資料には、「Pure edition」から「Track edition engineered by NISMO T-spec」まで全6グレードの車両本体価格が記載されていたのだ。価格帯は1375万円~2138万700円まで。試乗車は1896万700円だ。
突然、現れた2024年型「GT-R」だが、当然のように進化を遂げている。ボディはホイールベースなどの基本型は同じだが、スタイリングも手が入っている。フロントとリアのバンパー形状が変わった。リアウイングも含めて、空力性能向上のためにデザインを新しくしている。空気抵抗を増やさずダウンフォースを増加させた。
タイヤの接地性やハンドリング性能も高めているが、それはあとで実感することになる。パワーユニットはデビュー以来、変わらずV6、3.8ℓツインターボだが、最高出力はデビュー当時の480PSから600PS、トルクも588Nmから652Nmにアップしている。ミッションは6速AT。このあたりのスペックは時代を感じさせる。
今回はこのスペックは変わらずに、走行中のノイズや振動を低減する新車外騒音規制対応の新構造マフラーを新たに開発し、装着した。さらにサスペンションセッティングと専用のカーボンセラミックブレーキなどを特別装備している。
同時に公開された「NISMO」は、リアウイングのデザインを新しく、大きくし、前輪のメカニカルLSD追加に合わせて4WDの制御を最適化し、前後のトルク配分の制御でコーナリング性能も向上している。室内では専用のRECARO製カーボンバケットシートも新しくなっている。さらにパワーユニットのパーツもバランス重視にするなど、精度を高めている。