運転席に座り、走り出す前にダイナミックモードを設定する。オフロード/エコ/コンフォート/スポーツ/インディビデュアルの5つのモードから選択する。スタートはコンフォートモードから。エンジン/ダンパー/ハンドル/ESPで、レベルを選べる。これはすべてコンフォートモードを選択。
走り出しは、アクセルの動きから一瞬、間がある。いきなりダッシュするというような下品な動きはしない。「EQS SUV」の重量は2.9t近いのだが、システム出力360PS、最大トルクは800Nmもあるので、重さを感じさせない加速を体感させてくれる。試しに0→100km/hの加速を計測したところ、6秒台前半という好タイムをたたき出した。わずかな加速音を発しながら全開走行する「EQS SUV」は、新世代のSUVだといえる。
室内は3列シートの7人乗り。しかし、ホイールベースは3210mmと「GLS」より長く、フロントにエンジンを搭載していないにもかかわらず、3列目は2列目シートを前進させても広くはない。7人乗車の場合、3列目は小柄な乗員に限られる。2列目をゆったり確保し、3列目はフラットにして、ラゲージスペースと割り切ったほうがよさそうだ。
走行中に気になったのが、アクセルオンの音。それはドロドロと低く、V8エンジンのようだった。理由は室内への音のチューニング。3タイプの音を室内に向けて発生させているのだ。もちろん、音を消すこともできる。スポーツモードにして、音を出してみたが、せっかくEVの静かさを楽しめるのに、この音は「EQS SUV」の高級感と未来感のある雰囲気を損なうような気がする。
欲を言えば「EQS SUV」のスタイリングは「EQSセダン」ほど未来的ではないのが残念だ。もっとEVを生かしたデザインの新世代EVを期待したい。
■関連情報
https://www.mercedes-benz.co.jp/passengercars/models/suv/eqs/overview.html
取材・文/石川真禧照 撮影/萩原文博