ランドローバーのラインアップの中で、最も硬派なモデルが「ディフェンダー」だ。初代「ディフェンダー」は1990年に登場しているが、そのルーツはランドローバー創業の直後1949年に登場したモデル。その後、ランドローバーという車名で販売されてきた。
しかし、レンジローバーの成功や「ディスカバリー」の追加などで、1990年からランドローバーは「ディフェンダー」という車名が付けられた。その後、マイナーチェンジを受けながら生産を継続したが、2015年末で生産を中止することを発表し「ディフェンダー」の歴史は幕を下した。しかし、熱心なマニアからの願いもあり、2018年と2021年に台数限定の特別仕様車が発売された。
一方で、時代の流れに合った新しい「ディフェンダー」を望む声も高まり、2019年のフランクフルトモーターショーにて2代目「ディフェンダー」が公開された。それが現行モデルだ。当初の「ディフェンダー」は5ドア5人乗りの「110」シリーズと3ドアショートホイールベースの「90」シリーズの2シリーズだったが、2022年6月にホイールベースはそのままに「110」の後輪からうしろのボディーを340mmも長くした「130」を発売した。
その「130」シリーズが2023年モデルとしてラインアップしたのだ。全長5360mm、全幅2010mm、全高1970mm、ホイールベース3020mmというサイズは長く、高い。幅は2mなのであまり広いとは感じない。ボディーもどちらかというと幅よりも2m近い高さが目につく。その印象は、ハンドルを握っても変わらなかった。3列シートになった「130」のチェックは、当然だが、そのシート配列の居心地からだ。
2列目への乗りこみは、Bピラーにグリップがあり、サイドステップも使えるので乗りこみやすい。着座位置は高めで、床面はほぼフラットなので、3人掛けの中央でも足元、頭上の余裕がある。2列目シートは、レバー操作による手動で前後に動かすことができる。3列目シートへの乗り降りは、2列目を動かして行なう。しかし、2列目シートは重く、動きも限られているので、スムーズに乗り降りするのはコツが要る。常時、3列目シートを使うことは、あまりすすめられない。
しかし、3列目シートも一度座ってしまえば、足元のスペースも広く、高めの着座位置にもかかわらず、頭上にも空間は確保されている。天井はスライディングパノラミックルーフに、3列目の頭上にも2つ目のサンルーフを標準装備している。身長170cmクラスでも十分に3人掛けができるほどに余裕がある。試しに、170cmクラスの人間を運転席からタンデムに3人座らせてみせたが、長時間の移動でなければ不満の声は出ないと思えるほどだった。
この3列目シートも背もたれは前方に3分割で倒すことができるが、荷室とは9cmほどの高さの差があるので、平らにはならない。荷室は3列目を使用した状態でも、奥行き約360mm、左右幅900~1140mmある。荷室の高さだが、エアサスペンションを荷室にあるスイッチを操作することで、路面からの開口部を802mm~960mmまで変えることができた。
乗り出す前のシートインプレッションが長くなってしまったが、いよいよ試乗だ。P/R/N/DのポジションだがDからシフトレバーを動かすとSモードも選択できる。8速ATはパドルレバーがないので、シフトレバーでマニュアル操作する。