ランボルギーニは、ウラカン・ステラートをベースにAd Personam部門が特別に開発した独自の3層クリスタルエフェクト塗装を施したワンオフモデル「Opera Unica(オペラ・ウニカ)」を発表した。ランボルギーニは、デザイン、革新的なテクノロジー、高性能へのこだわりを持っており、色というもうひとつの魅力的な分野でも常に限界を模索している。
ランボルギーニは、特別に制作した動画 「Beyond Colour – No Colour Is More Mysterious than Blue(色を超えて-青ほど神秘的な色はない)」のために、世界的に有名な美術史家であるジェイムズ・フォックス氏をイタリアのサルディーニャ島に迎えた。島の有名な青い空と透き通った海は、新車の塗装にインスピレーションを与えた。そして、人類と色との関係についてのフォックス氏の洞察は並外れたものであった。
フォックス氏は、次のように説明した。
「本質的に、色は非常に神秘的な現象であり、これまで私たちが 決して答えることのできなかったあらゆる種類の複雑な哲学的問題を提起します。長い間、人々は色を物体の客観的な特性(空は青、木は緑など)だと考えていましたが、やがて、色とは物体の特性ではなく光の特性であり、世界中で私たちの周りを飛び回って跳ね返る光と光子の波長の一部であると考え始めるようになりました」
ジェームズ・フォックス氏ほど、色が自然、芸術、科学の交差点に位置することを説明するのにふさわしい人物はいないだろう。41歳の彼は現在、ケンブリッジのエマニュエル大学で美術史研究のディレクターを務めており、自身も 2002年に同大学を卒業している。
その後、ハーバード大学とイェール大学の両大学で奨学金を獲得し、現在は学界と放送・印刷メディアでの輝かしいキャリアを両立させている。BBCやCNNで芸術と文化に関するドキュメンタリー番組を12本以上制作しており、2021年に出版された近著「The World According To Colour:A Cultural History(色で読み解く世界:文化史)」も好評を博している。
彼は、次のように続けた。
「私たちは色を、そこに存在するものとしてではなく、私たちの頭の中に存在するものとしてとらえ始めています。色は、私たちの脳、つまり後頭部にある一次視覚野が作り出すものです。ですから私たちは、色を圧倒的に主観的な経験として考えることが増えています。そして、本当に興味深いことは、 色体験は一人ひとり異なるということです。色は常に動いており、ダイナミックです。色は光の速度で運ば れるため、世界で最も速いものであり、光がなければ色は存在しません」
ランボルギーニが設立60周年を祝う中、同社の色に対する先駆的な関心は高まる一方だ。オペラ・ウニカは、最新かつ最もドラマチックな事例であり、Blu Amnis、Blue Grifo、Blu Fedra という3つの異なる青を特徴としている。
インテリアでは、シート、ドアパネル、センターコンソールが Blu Delphinus、細部は Celeste Phoebeで仕上げられている。その結果、他に類を見ない車が誕生した。
「初めてウラカン・ステラートを見たとき、私は本当に驚きました。それは単なる車ではなく、絵画であり、芸術 作品だったからです。すべての色が奇跡であり、小さな爆発です。物理的な 世界とそれを見る人々が衝突したときにのみ起こる小さな爆発なのです。それは、科学と詩の融合です」
ランボルギーニは、マシンに個性を吹き込む手段として、色の可能性を実証してきた。この最新のワンオフモデルでは、第一印象として、青は華やかさに欠ける色の選択のように思えるかもしれない。しかし、フォックス氏が説明するように、青は誰もが思っている以上に謎めいた色合いなのだ。
「すべての色は神秘的ですが、青ほど神秘的な色はありません。青は私たちの周りに溢れていますが、永遠に手の届かないところにあります。それはどこにでもあり、どこにもないのです。サルディーニャのような島にいると、あらゆる方向で青を見ることができます。頭上には真っ青な空が広がり、周囲には青い海が広がっています。
しかし、それらの青は現実のものではありません。目の錯覚なのです。実は、昼間でも空は真っ暗なのです。青く見えるのは、太陽光が大気中を通過する際に起こる目の錯覚なのです。大気中の分子が青い波長の光を散乱させ、私たちに空を青く見せているのです。そして海が青いのは、空の青さの錯覚を反射しているからに他なりません」
フォックス氏はさらにこう続ける。
「青は一般的に深みに存在し、遠方に存在し、高い空や遠い水平線、海の深みに存在しています。掴むことも、到達することも、触れることもできません。そして、青についてもうひとつ言えることは、考えてみれば、自然界には青いものはほとんど存在しないということです。
非常に多くの言語に、青を表す言葉が存在しませんでした。それほど青は神秘的な色であり、私たちの世界には存在しないものなのです。そして今日でも、青を表す言葉を持たない言語はたくさんあります」
フォックス氏は、青の力とランボルギーニの故郷であるイタリアの魅力との間に明確な類似点を描いている。
「イタリアは、青の国だと思います。この国は、最も偉大な青色顔料、ウルトラマリンの産出国です。ジョットやティツィアーノを生んだ偉大な青い絵画の国です。そして面白いことに、世界中で青は私たちを落ち着かせるという研究結果がある一方で、イタリアでは青は人々を興奮させます。心臓を高鳴らせ、血圧を上げ、脳の電気的活動を活発化するのです」
サンタアガタからサルディーニャのコスタ・ズメラルダまで、そして世界中で、ランボルギーニは色を含むあらゆる領域で、限界を超えることに尽力している。フォックス氏がこの重要な新しい短編映画で説明しているように、色は、私たちの多くが十分に理解している以上に、強力な感情の引き金となっているのである。
「色とは、アイデンティティです。色は私たちそのものであり、私たちは色なのです。色は私たちの内側で作られ、私たちにとって大きな意味を持ちます。そして、私たちが身につける色、家の塗装に選ぶ色、車のペイントに選ぶ色、これらすべてが、私たちが誰であるかについての深い洞察を明らかにしてくれます。
色は、私たちの国の伝統、背景、文化、個人的嗜好、家族、そして私たちの最も深い願望や希望について教えてくれます。色とは、私たちが何者であるかを完璧に表現するものなのです」