ポルシェジャパンは、フル電動モデルとなった新型「カイエン・エレクトリック」および「カイエン・ターボ・エレクトリック」の予約受注を開始した。新型カイエンは、ポルシェによる新時代の幕開けとなる。フル電動化されたこのSUVには、ポルシェのDNAと先駆的なテクノロジーが融合されており、最高出力850kW(1,156PS)、0-100km/h加速タイム2.5秒、最大充電電力400kW、最大航続距離642kmを実現している。史上最もパワフルなポルシェの市販モデルであると同時に、これまで以上に多用途で、公道ではダイナミックに、オフロードでは自信にあふれ、長距離の旅でも快適だ。
カイエンは、ポルシェがスポーツカーブランドの伝統をまったく新しい市場セグメントに移した最初のモデル。2002年9月のワールドプレミアからすぐ、このスポーツオールラウンダーは世界的な成功を収めた。そして今回、フル電動モデルのカイエンによって新たな時代が幕を開けようとしている。ポルシェAG取締役会会長のオリバー・ブルーメ氏は、次のように述べている。
「新しいカイエンは、モータースポーツで培った革新的な技術によって、まったく新しい次元のパフォーマンスを発揮します。走行特性だけでなく充電の面でも、SUVセグメントに新たな基準を打ち立てます。卓越した電気性能と現実的な日常の使い勝手の良さ、優れた長距離快適性と妥協のないオフロード性能を兼ね備えています」
ポルシェは、世界で販売するスポーツカーの約36%を電動化し、2025年に最も急速に変貌を遂げた自動車メーカーのひとつ。フル電動化されたカイエンは、このサクセスストーリーの次のマイルストーンであり、パワートレインを完全にフレキシブルに選択できるというポルシェの精神に基づき、既存の内燃エンジンモデルとプラグインハイブリッドモデルのカイエンを補完する。
新しいカイエンファミリーとして今回デビューするカイエン・エレクトリックおよびカイエン・ターボ・エレクトリックは、いずれも4WDで、電子制御ポルシェトラクションマネジメント(ePTM)が装備されている。カイエン・ターボ・エレクトリックの0-100km/h加速タイムは2.5秒、0-200km/h加速タイムは7.4秒、最高速度は260km/hに達する。このパワフルなeパフォーマンスは、ローンチコントロールを作動させると最高出力850kW(1,156PS)、最大トルク1,500Nmを発生する新開発のドライブシステムによって実現。
ターボモデルは、リアアクスルの電気モーターを直接オイル冷却することで、高い連続出力と効率を確保する。これはモータースポーツに由来する革新。通常走行モードでは、最高出力630kW(857PS)が利用可能。プッシュ・トゥ・パス機能により、ボタンを押すだけで130kW(176PS)を10秒間追加で作動させることができる。
なおカイエン・エレクトリックのエントリーモデルは、通常作動時に最高出力300kW(408PS)、ローンチコントロールを使用すると最高出力325kW(442PS)、最大トルク835Nmを発生し、0-100km/h加速タイムは4.8秒、最高速度は230km/hに達する。さらに新しいカイエンのエネルギー回生は、フォーミュラEと同レベルの最大600kWの回生出力を達成。日常生活ではすべてのブレーキ操作の約97%を電気モーターだけで処理できるので、機械式摩擦ブレーキが介入する必要はほとんどない。カイエン・ターボ・エレクトリックには、ポルシェセラミックコンポジットブレーキ(PCCB)もオプションで用意されている。
この新型カイエンの多用途性の多くはシャシーによるもの。ポルシェアクティブサスペンションマネジメント(PASM)を備えたアダプティブエアサスペンションが両モデルに標準装備される。さらにターボモデルには、ポルシェトルクベクトリングプラス(PTVプラス)リミテッドスリップリアディファレンシャルも装備される。また両モデルとも、後輪を最大5度操舵するリアアクスルステアリングを装備することができる。さらに、ポルシェアクティブライドも初めてフラッグシップモデルに採用された。ポルシェのスポーツセダンではお馴染みで、カイエンに新たに採用されたアクティブサスペンションシステムは、ボディの動きをほぼ完全に補正し、卓越した安定性、ダイナミクス、快適性を保証する。
新型カイエンの心臓部には、両面冷却による最適な熱管理が行われる新開発の113kWh高電圧バッテリーが搭載されている。その結果、航続距離(複合WLTP)はカイエン・エレクトリックで最大642km、カイエン・ターボ・エレクトリックで最大623kmとなる。800V技術により390kWの直流充電が可能で、特定の条件下では最大400kWで充電することができる。SoC(充電状態)は、16分以内に10%から80%まで増加させることが可能で、10分以内に325km(カイエン・エレクトリック)/315km(カイエン・ターボ・エレクトリック)の航続距離のエネルギーを追加することができる。新型カイエンの開発で最も重視されたのは、この強力な充電性能だった。また新しいカイエンは、最大11kWで充電するインダクティブ充電をオプションでサポートする最初のポルシェでもある。ワイヤレス充電に必要なのは、ユーザーがフロアプレートの上に駐車することだけ。その後、自動的に充電が開始される。
新型カイエンは、ポルシェブランドの特徴的なプロポーションと、明確に開発されたデザイン言語を兼ね備えている。スタイル・ポルシェの責任者であるミヒャエル・マウアー氏は、以下のように語っている。
「新しいカイエンは、紛れもなくポルシェであり、紛れもなくカイエンです。ポルシェは、実績のあるデザインの特徴をベースに、このSUVの独自性を維持しました。その結果、カイエンを未来へと導くモダンなデザインコンセプトが生まれました」
ハイライトとしては、スリムなマトリックスLEDヘッドライトを備えた低いボンネットが挙げられる。これは車両の幅を強調し、すべての照明機能をひとつのモジュールに統合。力強い輪郭を描くフェンダーは、象徴的ななだらかな傾斜のルーフラインを表すフライラインと同様に、他のポルシェでもお馴染みのデザイン。
サイドビューの特徴は、フレームレスドアとドア表面の印象的な凹みです。立体的なデザインのサイドスカートはボルカニックグレーメタリックで塗装され、カイエン・ターボ・エレクトリックではハイグロスブラックで塗装されている。ツートンカラーのコンセプトは、車のスポーティーなプロポーションを強調し、モデル専用のホイールアーチトリムはオフロード特性を強調する。さらに特徴的な3Dルックとアニメーショングラフィックが施されたライトストリップやイルミネーテッド“Porsche”ロゴなど、リアの印象的なディテールがモダンなデザイン言語を引き立てている。カイエン・ターボ・エレクトリックは、専用カラーであるターボナイトの数多くのコントラストエレメントが特徴。これには、ポルシェクレスト、軽合金製ホイールの表面、サイドウインドウトリムなどが含まれる。ターボナイトの繊細なアクセントがライトストリップと“Porsche”ロゴを引き立てる。
アプローチアングルと堅牢性に関する特別なリクエストには、オフロードパッケージが応える。ジオメトリーを変更したフロントセクションは、荒れた未舗装路、特に急な上り坂や下り坂、難しい地形でも安全に走行できるようサポート。また新型カイエンは、空気抵抗係数が0.25であるため、このクラスではトップクラスの空力性能を備えており、航続距離とエネルギー消費の面でメリットをもたらす。ポルシェアクティブエアロダイナミクス(PAA)システムは、走行状況や速度に応じて車の空力特性を正確に調整し、効率的な制御戦略とともに、ダウンフォースを増加させることでポルシェブランドに期待されるドライビングダイナミクスに貢献。
アクティブエアロダイナミクスエレメントには、ノーズの可動式冷却エアフラップ、アダプティブルーフスポイラー、ターボ後部の革新的なアクティブエアロブレードなどがある。横方向のティアオフエッジを延長して流動特性を改善し、特に高速走行時の航続距離の向上を実現。その他の空力対策としては、フロントボディのエアカーテン、ほぼ完全に密閉されたアンダーボディ、専用エアロホイール、リアのディフューザーなどがある。
カイエン・エレクトリックは、内燃エンジンモデルより55mm長く、全長4,985mm、全幅1,980mm、全高1,674mm。その差はホイールベース(3,023mm)で最も大きく、13cm近く伸びたことで後席の足元スペースがこれまで以上に広くなり、後席の乗員も快適に過ごすことができる。リアシートは電動調整式が標準装備され、コンフォートポジションからカーゴポジションまでフレキシブルに調整することができる。ラゲッジコンパートメントの容量は、781~1,588リッターで、さらに90リッターのフロントラゲッジコンパートメントを備える。さらにニューモデルの利便性は、装備に応じて最大3.5トンのけん引性能によっても強調されている。
そして新たに導入されたムードモードは、インテリアを気分や状況に合わせた体験空間に変える。選択したプログラムに応じて、シートポジション、ライティングムード、エアコン、サウンドプロファイル、ディスプレイの外観が変化。電動で切り替え可能な液晶フォイルによる可変ライトコントロールを備えたスライディングパノラミックルーフは、開放感のある空間を提供。もうひとつのハイライトが新しいパネルヒーターで、シートだけでなく、アームレストやドアパネルなど広い面積の接触面も暖めてくれる。また、コミュニケーションライト(車に乗り込む乗客を歓迎し、充電プロセスなどのさまざまな車両状態を視覚化するアニメーテッドライトストリップ)などの拡張アンビエントライティングも充実している。
新しいフル電動モデルほど、包括的かつ個別にカスタマイズ可能なカイエンはかつてなかった。13色の標準カラー、20~22インチの9種類のホイールデザイン、12種類のインテリアの組み合わせ、最大5種類のインテリアパッケージ、最大5種類のアクセントパッケージから選ぶことができる。ポルシェエクスクルーシブマニュファクチャー、ペイントトゥサンプルによるエクステリアカラーレンジの拡大やSonderwunschプログラムにより、オーナーは多数のオプションから完全なワンオフモデルまで、個人的な希望に応じてカイエンをカスタマイズすることができる。
カイエンのフル電動化は、既存のドライブトレインの選択肢を補完するものであり、内燃システムとハイブリッドドライブシステムは、今後も世界中で並行して提供される。セールス/マーケティング担当取締役のマティアス・ベッカー氏は、次のように話している。
「お客様に感動を与えることはポルシェにとって最優先事項です。カイエンの電動化によって、ポルシェは将来の基準となる新たなレベルの性能に到達します。同時に、効率的な内燃エンジンとハイブリッドドライブを搭載したカイエンの開発を、次の10年に向けても続けていきます。この戦略は、ポルシェのすべてのモデルポートフォリオに適用されます。将来的には我々が展開するすべてのセグメントにおいて、お客様はフル電動や内燃エンジンのパワートレインから選択できるようになります」
関連情報:https://www.porsche.com/japan/jp/models/cayenne/cayenne-electric-models/cayenne-electric/
構
成/土屋嘉久