2024年は雨に見舞われたが、2025年はイタリアのトスカーナ地方を彷彿とさせる澄み渡った青空の下、「大阪イタリアンカーフェスタ2025」が開催された。このイベントは、ABARTH HOUSEが主催するイタリア車のオーナーズミーティングで、参加車両は主催者の愛車であるアバルトをはじめ、フィアット、アルファロメオ、ランチア、アウトビアンキといったイタリアの大衆車が中心に集まるのが特徴だ。
当日、200台近くのイタリア車が集合したが、そのうち、6割ぐらいがアバルト、残りの3割がアルファロメオで、ランチアとフィアットを合わせて1割ぐらいの構成だった。台数では、アバルトが圧倒的だったが、存在感を示していたのは創業115年を迎えるアルファロメオだ。1960年代の「ジュリア」から2010年代の「ジュリエッタ」まで、各時代を代表するモデルが揃っていたが、1990年代に一世を風靡した「155」や「156」の姿は見えない。
アルファロメオのオーナーたちに聞いてみると、この世代のクルマは旧い世代と比べてパーツの入手が難しくて維持していくのが難しいという。中古車の購入を検討している方はこのあたりの注意が必要だ。
イタリアといえば、ファッションも世界の最先端を走り、デザイナーが注目される国だ。今回、イベントに集まったイタリア車も著名なデザイナーたちが手がけたクルマばかり。WRCでも活躍したランチア「デルタ」は、ジョルジェット・ジウジアーロが率いるイタルデザインの作品だ。
他にも、アルファロメオ「スパイダー」はピニンファリーナ、「SZ/RZ」はザガート、「モントリオール」はベルトーネだ。著名なデザイナーたちが手がけたクルマは、時代を超えてもその輝きは色褪せることはなく、圧倒的な存在感を醸し出している。
また、こうした著名なデザイナーたちの手がけたクルマのデザインは、現在の新車と比べてみても、いたってシンプルであることが共通点だ。無駄なラインなどを極限まで減らしているからこそ、造形美が引き立つということを主張しているかのようだ。そして、太陽の強い日差しもクルマの美しさを引き立てることに一役買っている。
今年のイベントにはスペシャルゲストとして、歌手の酒井法子さんが登場。「夢冒険」や「碧いうさぎ」など往年のヒット曲を大人のアレンジで披露。時間の経過を感じさせないイタリア車の美しさと、酒井法子さんの美声でイベントは大いに盛り上がった。
取材・文/萩原文博