モータースポーツの最高峰であるF1にも参戦している、英国のプレミアムスポーツカーブランド・アストンマーティンは、2025年3月25日(現地時間)ゲイドンにおいて、最もパワフルなオープントップモデルの新型モデルである「ヴァンキッシュ ヴォランテ」を発表した。そして、翌3月26日、東京・青山にあるブランドセンターにおいて、日本のメディア向けにも公開された。
発表会の冒頭、アストンマーティン APAC リージョナルプレジデント グレゴリー・アダムス氏は「ヴァンキッシュ ヴォランテは、昨日イギリスで発表されたばかりですが、実車を日本に持ってきました。それだけ日本の市場は大切です。新しいクルマがあれば出来るだけ早く、あるいは発表前にも皆さんにお見せしたいと思っています」とアストンマーティンにとって日本市場が重要である点について説明した。
今回、日本初公開された「ヴァンキッシュ ヴォランテ」は、1965年に「ヴォランテ」という名を冠したモデルが登場して60年の節目に当たり、ヴォランテ60周年を記念するモデルとして登場した。「ヴァンキッシュ ヴォランテ」は、クーペと同時にデザインされることで、ルーフを挙げた状態でもトノカバーに格納した状態でも時代を超越したデザインを維持できる。同時に重量増加を最小限に抑えながらルーフ完全格納型コンバーチブルを実現させている。
軽量なKフィールドルーフはボタン操作ひとつで、14秒で開き、16秒で閉じることが可能。また時速50km/h以下であれば、走行中でも開閉できる。さらに、ルーフの開閉は半径2m以内であればスマートキーによる遠隔操作も可能だ。注目なのは断熱性でクーペに匹敵するレベルを達成している。「ヴァンキッシュ ヴォランテ」のシャシーには接合アルミニウム構造を採用。アンダーボディは剛性を強化する部材により、従来のフラッグシップ コンバーチブルに比べて75%向上。クーペボディに相応する構造性能をキープしている。
このクルマに搭載されている5.2L V12ツインターボエンジンは、最高出力835ps、最大トルク1000Nmを発生。組み合わされるトランスミッションは8速ATで、最高速度345km/h、0-100km/h加速はわずか3.4秒という高いパフォーマンスを発揮する。
サスペンションにはFRレイアウトの「ヴァンキッシュ ヴォランテ」の重量配分を考慮したチューニングが施されているが、そのポテンシャルを最大限引き出すのが、新しいビルシュタインDTXダンパーだ。
このダンパーが、各ドライブモード内で卓越したレベルのホイール制御を可能として、それぞれのモード間では従来以上の大きな差別化を図ることに成功している。GTモードでは路面からの衝撃を吸収し最高のグランツーリスモ体験ができる。その一方でスポーツ、スポーツ+モードでは新しい動的特性の設定を追加し、より俊敏なレスポンスとよりタイトなボディコントロールに変化させることができる。最高出力835psという「ヴァンキッシュ ヴォランテ」の圧倒的なパワーを支えるため、カーボンセラミックブレーキシステムを標準装備。重量は従来の鉄製ディスクより27kgも軽量化され、耐久性、耐フェード性も向上している。
そして、タイヤは F1でもコラボレーションしているピレリと協力し「ヴァンキッシュ ヴォランテ」専用の特別設計されたピレリ「P ZERO」を開発。サマータイヤは「P ZERO PZ4」、冬用タイヤは「P ZERO Winter 2」が指定タイヤとなっている。車両解説を行なったヘッド・オブ・Q・スペシャルプロジェクトセールスのサム・ベネッツ氏は新型「ヴァンキッシュ ヴォランテ」について「世界最速、フロントエンジンの最もパワフルなコンバーチブルカー」であり、「ヴァンキッシュ ヴォランテ」はダイナミックなクーペの走りを損なわないことが重視されたことから、インテリジェントな構造強化や特別なシャシーチューニングを施すことで、重量の増加が最小限に抑えられている。」と話した。
さらに「クーペとヴォランテは、まったく同じ走りが体験できるように目指して開発が行なわれました。ヴォランテを開発するにあたってなんの妥協もありません。それは両方の車両に妥協することなく、ドライビングエクスペリエンスを確実に持たせたかったからです」と続けた。
アストンマーティン自ら「世界最速のフロントエンジン・コンバーチブル」と認める、新型「ヴァンキッシュ ヴォランテ」。車両本体価格は非公開となっている。
■関連情報
https://www.astonmartin.com/ja/models/vanquish-volante
取材・文/萩原文博