世界最高峰の英国インターナショナルスクール『North London Collegiate School Kobe(NLCS Kobe)』から、2028年に六甲山・国立公園(兵庫県神戸市灘区)に新設する校舎のイメージパースと設計コンセプトが公開された。新校舎を手がけるのは、世界的建築家のミケーレ・デ・ルッキ氏が主宰するAMDL CIRCLE。NLCS Kobeは2025年に六甲アイランドのAsia One Center(神戸市東灘区)にて小中学校を開校。2028年、六甲山に校舎を新設して中高一貫のボーディングスクールを開校する予定だ。プリスクール・小学部についても2028年から2030年までの間での校舎移転が計画されている。設計コンセプトは「森と共存する校舎」、六甲山の頂上、森の中に佇むボーディングスクール
神戸・六甲山の豊かな緑、瀬戸内海の美しい海岸線、そして四季折々の自然は、子供たちの学びを豊かにし、創造力と探究心を育む絶好の環境だ。子供たちや教職員のウェルビーイングにとって“学ぶ環境”は極めて重要であり、この六甲山の自然は学びの場のウェルビーイングに大きく寄与すると考えられる。新校舎は、平和で自然な環境で生徒の教育体験を向上させるとともに、持続可能性とデザインの先駆者となるように設計される。
校舎の設計を担うのは、現代イタリアを代表する建築家のミケーレ・デ・ルッキ氏のスタジオ「AMDL CIRCLE」。ミケーレ氏とAMDL CIRCLEは、1929年開業の六甲山ホテルの歴史を引き継いで2019年にリニューアルした「六甲山サイレンスリゾート」を手がけるほか、住宅・オフィスから工業用建造物・文化施設に至るまで、世界各国の重要な建築プロジェクトに携わっている。
ドイツ銀行ビルやドイツ鉄道、イタリア郵便局などを代表作として持つミケーレ氏が、最も関わりたかったと話すのが教育現場。「森と共存する校舎」をテーマに、木や川や池といった自然の体系をできるだけ壊さずに3つの校舎のほか、体育館、講堂とシアタールーム、女子寄宿舎、男子寄宿舎と7つの建物が建設される予定だ。 新校舎が建つ場所は、神戸港と神戸市を見下ろす、樹木が生い茂る丘陵地帯に位置。密集した都市とはまったく異なる雰囲気を醸し出し、学校の生徒たちに学習に取り組むためのユニークな自然環境を提供する。
<1:自然と美しさ>
自然とその美しさを理解し、私たちの周りのすべてのものへの敬意を育むのに役立つ建築と環境をつくること。
<2:健康とマインドフルネス>
人間の幸福の基盤となる健康的で調和のとれた環境、そして私たちの思考と学習の質を支える空間。
<3:帰属意識とコミュニティ意識>
知識の交換を促すだけでなく、社会的交流を増やして個人的な関係を築き、対立を減らしてコミュニティ意識を生み出す教育キャンパスの創造。
<4:創造文化とのつながり>
すべての創造活動とその表現を結び付け、サポートする環境。そこから人生、芸術、自然をより深く理解することができる。 また、床はその木本来の色を活かした寄木細工、壁は自然をイメージするナチュラルカラーを採用するなど、この場所にふさわしい室内空間に仕上げられる。
六甲山という自然豊かな場所では、子供も教師も建物も自然と共存します。六甲山から景色を眺めるように物事を俯瞰で見ることを体感し、自分の問題や自分の世界に閉じこもるのではなく、客観的に見ることを学んでほしいです。そうすることで、人種の違いや性格の違いなど、世の中にあるさまざまな問題を超えて、遠くを見据える価値観が無意識のうちに備わっていくと思っています。また、子供たちが集まって遊べる場所やおしゃべりを楽しめる場所をつくり、「人間は一人では生きていけない」ということを感じてもらいたいです。こうした場所を通じて子供たちは社会性を育み、協力することの大切さを学んでいくと考えています。
NLCS Kobeは、建築や学ぶ環境にこだわるだけでなく、「日本の歴史や文化についてフェアに理解を深め、日本の独自性を活かして世界に貢献できる力を育むこと」を目的に、日本の伝統文化や六甲山の自然を活かした教育など日本独自のカリキュラムも採用される。基本的にはNLCSの教師が主導するが、時には専門家の方を招いて子供たちが質問をしながら実際に体験できるような、“本物”に触れる学びを展開していくという。