キャデラック・レーシングは、IMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップのプログラムを、2025年シーズンの開幕からグランド・ツーリング・プロトタイプ(GTP)のファクトリーカー3台体制に拡大することを発表した。
今回の発表でキャデラック・レーシングは、IMSA GTPチャンピオンであるアクション・エクスプレス・レーシングとともに、ウェイン・テイラー・レーシングの復帰を歓迎し、専用設計のキャデラック5.5L DOHC V8エンジンを搭載した3台の「キャデラックVシリーズ.R」をレースに投入する。なお、ドライバーについては後日発表する予定としている。
なお、GM社長のマーク・ロイス氏は、次のように語っている。
「キャデラック・レーシングは、2025年IMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップにおいて、マシンを3台に拡大してファクトリープログラムを展開できることをとてもうれしく思っています。ウェイン・テイラー・レーシングとアクション・エクスプレス・レーシングの数十年にもわたるレースの実績と技術の知見を結集し、サーキットでの継続的な成功を期待しています」
GMモータースポーツとウェイン・テイラー氏との戦績は、南アフリカ出身のテイラー氏が、シボレーエンジンを搭載したGTPレーシングカーで、GMのファクトリー・ドライバーとしてアメリカで初めてレースに参戦した1990年にまで遡る。これまでテイラー氏は、ドライバーおよびチームオーナーとして、シボレーやキャデラックをはじめとした数々のGMブランドで成功を収めてきた。
かつてのキャデラックとの提携期間(2017~2020年)において、ウェイン・テイラー・レーシングは、ロレックス・デイトナ24時間レースで3回(2017年、2019年、2020年)、プチ・ル・マンでは2回(2018年、2020年)、さらにセブリング12時間レース(2017年)でも優勝を飾った。2017年にはキャデラック「Dpi」で前人未到の5連勝を達成し、IMSAウェザーテック・ドライバーズおよびマニュファクチャラーズチャンピオンシップを制覇した。
2020年のIMSAシーズン以来、キャデラックでのレースを休止していたチーム代表のウェイン・テイラー氏は、以下のように述べている。
「キャデラック・ファミリーに戻ることができてとてもうれしいです。長年GMとチームを組んで、多くの勝利とチャンピオンシップを経験し、素晴らしい関係を築き上げてきました。私たちが構築したこのグローバルプログラムは、これ以上ないほどスリリングなものです。エキサイティングな展開が待っていて、今後数カ月の間に私たちのビジネス関係について話し合うことを楽しみにしています」
このキャデラック・ウェイン・テイラー・レーシングは、2025年のIMSAシーズンに2台の「キャデラックVシリーズ.R」でエントリーする予定となっている。
一方、アクション・エクスプレス・レーシングは、キャデラック・レーシングとともに2023年のGTPチーム/ドライバー・チャンピオンおよびIMSAミシュラン耐久カップ・チーム/ドライバー・チャンピオンに輝き、2025年は、キャデラック・ウェーレンとして参戦。IMSAの最高峰クラスでは「ウェーレン・キャデラックVシリーズ.R/31号車」でレースを続ける。
アクション・エクスプレス・レーシングは2012年からIMSAでGMと提携を結んでおり、当初は「コルベットDP」と「シボレー5.5L V8エンジン」、2017年からはキャデラック・レーシングの「Dpi」と「GTP」プログラムで活動している。
チーム・マネージャーのゲイリー・ネルソン氏は、次のように話している。
「アクション・エクスプレス・レーシングのスタッフ全員が、キャデラックが象徴的なブランドのドライバーとして再び私たちを選んでくれたことに大変感激しています。私はモータースポーツでのすべてのキャリアを通じて、GMと緊密に仕事をしてきましたが、いつもキャデラックでともに働く人々に感銘を受けてきました。アメリカ最高峰のスポーツカーレースで勝利とチャンピオンを目指して競うことに興奮しています」
キャデラック・レーシングは、2005年以降、9つのマニュファクチャラーチャンピオンシップを獲得し、2017年以降、IMSAプロトタイプ競技での30勝を含む合計69回のスポーツカーチャンピオンシップで勝利を達成。IMSAミシュラン耐久カップ・マニュファクチャラーチャンピオンを5回獲得している。
「キャデラックVシリーズ.R」は、キャデラックの第3世代のプロトタイプ・レーシングカーであり、ブランド初のハイブリッド電動レーシングカーとなる。キャデラック・デザイン、キャデラック・レーシングそしてシャシー・コンストラクターのダラーラによって共同開発され、バーティカル・ライティングやフローティング・ブレードといった「キャデラックVシリーズ」市販車の主要デザイン要素が随所に取り入れられている。
インディアナポリスに本拠を置くウェイン・テイラー・レーシングは、アンドレッティ・グローバルの一員。2つのチャンピオンシップ・チームのリソースや技術を結集して、IMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップおよび北米ランボルギーニ・スーパートロフェオ・シリーズのトップクラスに参戦している。
2010年に設立されたノースカロライナ州デンバーを拠点とするこのチームは、IMSA競技において他の追随を許さない記録を残しており、2014年、2015年、2016年、2018年、2021年、2023年のIMSAウェザーテック・スポーツカー・チームおよびドライバー・チャンピオンシップを獲得し、2014年、2015年、2016年、2017年、2018年、2019年、2023年の北米耐久選手権のタイトルを手にしている。
関連情報:https://www.cadillacjapan.com/
構成/土屋嘉久