ベントレーは、ブランド第4モデルとなる、初の完全電気自動車「トルカル」の全貌を公開した。
「107年にわたり、ベントレーは圧倒的な完成度を誇るクルマであり続けてきました。余裕あるパフォーマンス、卓越した快適性、最高峰の天然素材を用いた繊細な英国クラフツマンシップ、そして魂を揺さぶるサウンド。新型トルカルは、あらゆる重要な領域において異次元のベンチマークを打ち立てるモデルです」
これはベントレーの会長兼CEOであるフランク=シュテファン・ヴァリザー氏によって語られた、同社の長い歴史において最も重要な新モデルのローンチの際の言葉。
このトルカルは、何よりもまずベントレーであり、デザイン、技術、クラフツマンシップ、素材、そしてサステナビリティのあらゆる側面において、パワートレインの種類を問わず、将来のベントレーの規範(テンプレート)となる1台。
デザインディレクターのロビン・ペイジ氏率いるクルーのインハウス・デザインチームは、ベントレーのDNAに深く根ざしながら、力強く大胆な新デザインと、低重心で流麗なフォルムを兼ね備えたSUVを生み出した。
「ベントレーをデザインする際、私たちは人が造形物をどのように認識するかを意識します。人は車の全体像を一瞬ですべて捉えるわけではありません。視覚と理解には階層が存在し、私たちはそれを4つの『リード(見え方の順序)』という概念で説明しています」とロビン氏は語る。
第1のリードはプロポーション。トルカルのロングホイールベース、ショートオーバーハング、そして堂々としたフロントフェイスは力強いスタンスを生み出し、ベントレーのデザイン指針である「アップライト・エレガンス(堂々とした品格)」を体現。「エンドレス・ボンネット(どこまでも伸びやかに続くボンネット)」の原則と相まって、伸びやかな全長、圧倒的な存在感、そして一目でそれとわかるベントレーの個性を強調している。
第2のリードは、車両のグラフィック要素に着目し、特にフロントフェイスを通じてアイデンティティと表情を確立。コンチネンタルTをはじめとするベントレーの象徴的な名車の面影が、先進のライティング技術と特徴的なイルミネーテッド・ダイヤモンドグリルによって再解釈されている。
そのリアにおいてはクリーンで無駄のないグラフィックが、コンセプトカー「EXP 15」で初めて導入されたデザイン原則「プレスティージアス・シールド(威厳ある盾)」を体現している。
第3のリードは、サーフェス(面の表現)。造形の美しさやボリューム感、そして車の周囲を移動する中で光と影が魅せる豊かな表情を表現している。トルカルでは無駄なラインを削ぎ落とし、面とプロポーションそのもので独自の世界観と個性を描き出している。
その特徴が最も象徴的に現れているのが、ボリュームのあるリアハッチ(リアフェンダーの張り出し)。キャビン後方を絞り込むことでリアホイールまわりに躍動感を与え、デザインチームが「レスティング・ビースト(佇む野獣)」と呼ぶ、静かな造形の中に満ちる圧倒的なパワーと躍動感を描き出している。
なお、Sモデルのスポーティなキャラクターは、エクステリアにも反映されている。ブラックライン・スペシフィケーションによるグロスブラックのマトリックスグリルやブラック仕上げのベントレーウイングバッジ、Belugaブラックのドアミラーキャップとサイドシルエクステンションを採用。ダークティントのフルLEDマトリックスヘッドランプやテールランプ、ダーク仕上げのスポーツエキゾースト用テールパイプなどが、精悍で力強い存在感を演出している。
第4のリードは、ディテール。車へ近づくにつれて、クラフツマンシップのさらなる奥深さが姿を現す。ダイヤモンドパターンはトルカル全体を貫く一貫したデザインテーマとして取り入れられており、ある部分では鮮明な造形として、またある部分では立体的な面やテクスチャー、繊細な模様として表現されている。
このデザインの哲学はインテリアにも息づいている。ダッシュボードはベントレーを象徴する「翼」をモチーフにデザインされ、シンメトリー(左右対称)が生み出す力強さと調和を表現。さらに、ダイナミックかつ洗練された面構成が、レザーやウール、ヴェニア、アルミニウムといった本物の素材が誇る質感を余すことなく引き立てていり。
繊細なローレット加工を施したダイヤルや、新たな解釈を加えたブルズアイ(丸型)エアベントは、クラフツマンシップとテクノロジーの「魔法のような融合」というベントレーの伝統を象徴している。センターコンソールやステアリングホイールには、あえて物理スイッチを残すことで、触れて操作する機能に心地よい触感と確かな操作感をもたらしている。
さらにトルカルのシートは、完全な新設計で、さまざまなテクノロジーを搭載している。標準シートには、16ウェイ調整機能、シートヒーター、ベンチレーション、調整式サイドボルスター、新開発のリラクゼーション機能を備えている。
オプションとして、革新的な最新テクノロジーである「ポスチュラル・アジャスト(姿勢自動調整)」および「スマート・シート・クライメート」システムを用意。シート形状を常に微調整して体圧分散を細かく変化させるとともに、ヒーターとベンチレーションを自動制御してキャビン内の乗客の体温を最適な設定温度に保つことで、長距離移動時の快適性を飛躍的に高める。さらに、専用の「ウェルネス・シート・スペシフィケーション」を選択すると、リラクゼーション範囲が背もたれ(スクワブ)から座面(クッション)にまで拡大し、背中や肩だけでなく脚部まで優しく解きほぐしくれる。なお、リアの3人乗りシートには、ベントレー初となる電動格納システムが導入された。
そしてローンチ時には、多様な仕上げが用意された5種類のホイールデザインをラインアップ。コアモデルには21インチホイールが、Sモデルには10ツインスポークデザインの22インチホイールが標準装備となる。さらに、空力性能を追求した専用デザインを含む3種類の22インチホイールがオプションで選択可能。タイヤは21インチ・22インチともにサマーおよびウインター用のトレッド/コンパウンドを用意するほか、22インチのオールシーズンタイヤもラインアップされている。
なおトルカルは、昨年お披露目された現代的な新デザインのベントレー・エンブレムをまとう、初のモデルでもある。
ベントレー初の完全電気パワートレインを搭載するトルカルは、余裕あるパワーと精密さを兼ね備え、どの時代のベントレーオーナーにとっても馴染み深いパフォーマンスを提供する。
最高出力888PS、ベントレー史上最高の最大トルク1,350Nmを発揮し、0-100km/h加速2.9秒を達成。圧倒的なスペックでありながら、走りは常に意のままに操れるリニアで洗練されたフィーリングを保つ。これ以上の過激な加速はラグジュアリーな快適性を損なうという知見のもと、R&Dチームはこの絶妙なパフォーマンスレベルを追求した。
そして同車両は、強力な永久磁石同期モーターを1対搭載している。いずれもドライサンプ構造を採用し、オイルは永久封入されている。フロントモーターにはオープンデファレンシャルを備える一方、リアモーターには、各出力軸に多板クラッチを備えたロッキングデファレンシャルを採用している。高電圧バッテリーは、192個のリチウムイオン・ポーチセルを直列接続した構成で、公称電圧は800V、ネット容量は113kWh。バッテリーには、約16万kmまたは10年間の保証が付帯している。
またフルアクティブ・サスペンションは、ベントレーとして初めて採用された。2バルブ式アダプティブダンパーと組み合わせることで、魔法の絨毯のような乗り心地を実現するとともに、各ドライビングモードに応じたシャシーセッティングを選択できる。各ダンパーは、路面やドライバーからの入力に反応して、瞬時かつ個別に上下させることが可能で、優れた乗り心地とボディコントロールを実現。このシステムは、アンチロールバーを必要とせず、反応するダンパーによってアンチロールトルクを無段階に調整する。
さらに、電子制御式オールホイールステアリングを標準装備。最大5度のリアステアリング角により、最小回転直径を11.1mまで縮小し、俊敏性をさらに高めている。
ブレーキには、420mmのフロントディスクと370mmのリアディスクを備えたスチール製ブレーキシステムを採用している。オプションで、カーボン・シリコン・カーバイド(CSiC)セラミックブレーキシステムへのアップグレードも可能。こちらは440mmのフロントディスクと410mmのリアディスクを組み合わせており、フロントディスクは他のベントレーと並んで世界最大となる。どちらのブレーキシステムも、ブラック、レッド、グレーのキャリパーを選択でき、さらにマリナーでは、3色の追加カラーも用意されている。
トルカルは、リラックスした長距離移動、俊敏で刺激的なハンドリング、そしてオフロードでの安定した走行性能まで、幅広い能力を備えている。フライングスパーと同等の快適性を持ちながら、コンチネンタルGTスピードと同等のダイナミックな走行性能を実現。その幅広い特性により、さまざまなキャラクターを楽しむことができる。
関連情報:https://www.bentleymotors.com/jp/ja/bentley-culture/torcal.html
構成/土屋嘉久