マクラーレンは、2025年9月10日、750Sの日本限定スペシャルモデルである750S JC96を発表した。これは1996年に全日本GT選手権(JGTC)でドライバーズチャンピオンに輝いたマクラーレンF1 GTRにオマージュを捧げたモデルとなる。日本においてマクラーレンは、その個性とサーキット生まれのパフォーマンスで人気を集め、ラグジュアリー・スーパーカー・ブランドとしての地位を確立した。750S JC96は、こうした日本におけるマクラーレンのレガシーを記念し、チャンピオンのカーナンバー61にちなんで、61台のみ販売される。
また750S JC96には特別な車台番号が付与され、それには車名に由来する「096」と、シリアルナンバーを表す「001」から「061」までの数字が含まれる。シリアルナンバーは、状況が許す限りにおいてカスタマーが任意に選ぶこともできる。このマクラーレン初の日本限定リミテッド・エディションである750S JC96は、1996年のJGTCに出走したチームゴウのF1 GTRにインスピレーションを受けたユニークなペイントに加えて、F1 GTRを思わせるインテリア装備と、新しい15スポークのウルトラ・ライトウェイト鍛造アロイホイールを備える点で、ほかのモデルとは一線を画す。クーペかスパイダーを選択できるが、750Sのオープンバージョンに750S MSOハイ・ダウンフォース・キット(HDK)が装備されるのは、全世界でもこのモデルが初めてとなる。
マクラーレンとチームゴウのタッグで参戦したF1 GTRは、ロケット・ピンクとターマック・グレーを組み合わせた、特徴的な「タイガー・ストライプ」のデザインだった。750S JC96では、このリバリー(外装デザイン)に基づくペイントが全車に施される。専用ディテールがあしらわれるのは、フロント・スプリッター、リア・ウィングのエンドプレート、ドアミラー・ケーシング。ディテールのカラーには、メンフィス・レッド、チタニアム・シルバー、アイス・ホワイト、グラファイト・グレーがある。この4色は、オーナーが選べる750Sの幅広いボディカラーとマッチするよう、慎重に選ばれた。なおオーナーは、MSOビスポークのペイント・プログラムを利用して、ユニークなペイントを探すこともできる。
極めてエクスクルーシブなJC96トリビュート・リバリーは、あのユニークなタイガー・ストライプのディテールを車体全体に施したもの。MSOによって手作業でペイントされるフル・リバリーであり、たった4台のカスタマーカーだけに提供されるペイントとなる。
マクラーレン・オートモーティブ最高コマーシャル責任者のヘンリク・ウィルヘルムスマイヤー氏は、以下のように述べている。
「750S JC96は、日本のマクラーレン・ファンの皆様へのラブレターです。日本のお客様はサーキット生まれのパフォーマンスを求めますが、オーダーメードのパーソナライゼーションやディテールへのこだわりでも妥協せず、真にその方らしいマクラーレンを作り上げています。750S JC96はこうした需要にぴったり合致しています。さらに、750S JC96 Spiderを選択された場合、ベンチマーク破りのコンバーチブル・スーパーカーによる衝撃を味わえるだけでなく、MSO HDKによるサーキット・パフォーマンスの強化も初めて可能になりました」
さらに750S JC96の大きな特徴は、750S用のMSOハイ・ダウンフォース・キット(HDK)を装備する点。これが750S Spiderにも提供されるのは全世界で初めてのこととなる。マクラーレン初のハイ・ダウンフォース・キットはかつてF1 LMのために開発され、その後さらに進化して、1996年仕様のF1 GTRに装備された。これをインスピレーションとする750S JC96のHDKは、一連のコンポーネントが協調して働き、空力パフォーマンスを強化する。
また改良型フロント・バンパーには拡大されたデュアル・エレメント・スプリッターを装着し、一体型エンドプレートを持つレイズド・アクティブ・リア・スポイラーと、ルーバード・アンダーウィング・パネルも装備される。総じて、HDKによってダウンフォースはベースモデル比で10%増大し、サーキット・パフォーマンスが強化されます。
サーキットレジェンドからの影響は、750S JC96でデビューする新ホイールにも見られる。このデザインは、新ウルトラ・ライトウェイト「デルタ」15スポーク鍛造アロイホイールで初めて採用される。F1 GTRの後期仕様、正確には、あのアイコニックなレーシングカーの中でも伝説の「ロングテール」バージョンで使用されたレース用ホイールに影響を受けている。そこに、赤いマクラーレン・ロゴをあしらったF1ゴールドのブレーキ・キャリパーが組み合わされる。また、中央出しのステンレススチール・スポーツ・エグゾーストのナチュラル・チタン仕上げも、GTRのコンポーネントにちなんだものとなる。
マクラーレンF1 GTRのレガシーは、750S JC96専用インテリアのインスピレーションにもなった。3種類のデザインのフル・アルカンターラから選べる「パフォーマンス」仕様のインテリアは、独特のユニークな装備が揃い、1996年仕様のF1 GTRの魂を感じさせる専用デザインとなる。F1を彷彿とさせるペダル・セット、ドライブ・セレクト・スイッチ、ユニークな記念プレートは、すべてゴールドで仕上げられ、ヘッドレストとアームレストには特別に作られたJC96のロゴがあしらわれる。こうしたディテールは、61台すべてに装備される。
そして750S JC96専用のオプションには、MSOによるJC96トリビュート・リバリーのほか、JC96エクステリア・ディテール、HDK&アンダーボディ、前後ルーバー・カーボン・ファイバー・パック、750S JC96専用サイド・バッジ、リア・ウィング表面のJC96のロゴがある。750S JC96のすべてのオーナーは、MSOの丁寧なパーソナライゼーション・サービスによって、それぞれの希望に添った仕様を作り上げることができる。いっそう個性的な表現が可能なMSOビスポークのオプションとして、MSOインテリア・リバリー・テーマ・パックがある。
これは、ステアリングホイールの12時ペイントマーカーおよびパドル、エクステンデッド・カーボン・ファイバー・ドア・シル、インテリア・ドア・アップリケにJC96の特徴であるタイガー・ストライプのリバリー・パターンをあしらい、ビスポーク・ペインテッド・ビークル・キーが付属。加えてMSOは、デルタ15スポーク・ウルトラ・ライトウェイト鍛造アロイホイール用のF1 GTRインスパイアード・ビスポーク・ペインテッド・センターキャップと、ビスポーク・ペインテッド・ブレーキ・キャリパーも提供する。
フロントのラゲッジ・コンパートメントには、サーキットにおけるマクラーレンのレガシーを記念するマクラーレン・トラック・レコード・プレートがオプションで装着される。このチタン製プレートは、ロードカーのマクラーレンF1で最初に採用されたコンセプトを直接のインスピレーションとしている。そこには、マクラーレンの歴史における名高い選手権制覇やレース優勝と、それを成し遂げたアイコニックなマシンが記されている。
750S JC96は、標準でピレリP-ZEROタイヤを装備し、オプションには、さらに高いパフォーマンスを誇るピレリP-ZERO Corsaと、サーキット志向のピレリP-ZERO Trofeo Rが用意されている。3種類とも、タイヤのエクスクルーシブ・パートナーであるピレリとマクラーレンによって開発された。またピレリP-ZERO Winterタイヤもマクラーレンの正規販売代理店にて用意される。
これまで750Sは、ベンチマークを打ち破るスーパーカー・パフォーマンスとドライバーとの一体感で、数々の賞を獲得してきた。ミッドマウントの4リッターM840T型ツインターボV8エンジンは最高出力750PSを発生。軽量なカーボン・ファイバー製ストラクチャーのモノケージIIと、プロアクティブ・シャシー・コントロールIIIサスペンション・システムによって、750Sは同クラスで最も軽量かつ俊敏なモデルとなっている。
関連情報:https://cars.mclaren.com/jp-ja/mclaren-750s-jc96-special-edition
構成/土屋嘉久