ローマンテーラリングの象徴であるブリオーニは2024年9月23日、アブルッツォ州ペンネにテーラリング学校「スクォーラ・ディ・アルタ・サルトリア・ナザレノ・フォンティコリ (Scuola di Alta Sartoria Nazareno Fonticoli)」を開校した。記念式典には、ペンネ村長、地域機関、ブリオーニ財団の理事会メンバー、そして同校の教職員や学生が出席。また、この式典を通じて、ブリオーニ財団の正式な設立も発表された。
式典では、ジルベルト・ペトルッチ村長が、ブリオーニのCEOであるメディ・ベナバジ氏にペンネの名誉村民権を授与した。これは、この学校がペンネやアブルッツォ州、さらにイタリア全土において大きな意義を持つだけでなく、ブリオーニが地域のクラフツマンシップの継承と発展に長年貢献してきた功績を称えるものだ。次世代のテーラーを育成するという使命は、メゾンの継続的な他の取り組みとも密接に連携している。
また、60年以上にわたりペンネで培われてきた職人技と卓越したテーラリング技術を今後も守り続けるという姿勢を体現しており、併せてブリオーニのアイデンティティの基盤となるものだ。ちなみに「ナザレノ・フォンティコリ」はマスターテーラーであり、ビジネスパートナーのガエタノ・サヴィーニと共にブリオーニを創設した人物でもある。
ベナバジCEOは式典のスピーチで次のように述べている。
「本校の再開は、イタリアのクラフツマンシップを支援・保護するためにブリオーニが長年取り組んできた活動をさらに推進するものです。これらの取り組みは、伝統と職人技、そしてスローラグジュアリーの精神のもと、製品づくりにとどまらない技術や価値を次世代に継承したいという強い思いから生まれています。私たちが追求するすべての活動は、現代ファッションのスピードに抗い、メゾンの基本理念を尊重・遵守することを目指しています」
入学した生徒たちは、ブリオーニのマスターテーラーや技術講師の指導のもと、カリキュラムに沿って学習を進めていく。この2年制コースは年間1300時間で構成されており、卒業生はイタリア最高峰の職人技に触れながら、他にない高度な技術を習得できるプログラムが用意されている。
また、ブリオーニの「スローラグジュアリー」というマニフェストに基づいた指導も行なわれる。この理念は同社のビジネスモデルに反映され、すべての事業分野でスローラグジュアリーへの取り組みに注力している。貴重な素材や技術、コレクションを生み出す職人たちの価値も同様に重要視される。また式典のスピーチの中で、ベナバジCEOは、初年度の16名の生徒全員に入学金の85%を負担する奨学金が授与されることを発表した。さらに、1年目の中間試験および2年目の最終試験に合格した場合は、入学金全額が奨学金で支給され、費用が返還されることも併せて発表された。
「スクォーラ・ディ・アルタ・サルトリア・ナザレノ・フォンティコリ」の新設に加え、ブリオーニは以前からブリオーニ財団を通じて、研修や地域発展を支援するさまざまな取り組みを行なっている。
その一環として、アルタガンマの「アダプト・ア・スクール」プログラムにおいて、ペンネのIIS「ルカ・ダ・ペンネ – マリオ・デイ・フィオリ・イン・ペンネ(Luca da Penne – Mario dei Fiori in Penne)」やロゼート・デッリ・アブルッツィのIIS「ヴィンチェンツォ・モレッティ(Vincenzo Moretti)」と協力してきた。
また、新たなキャリアを目指す若者や成人を対象とした、コンフィンデュストリア・アブルッツォ・メディオ・アドリアティコ(Confindustria Abruzzo Medio Adriatico)との連携による、テーラリング・オペレーター養成コースも実施している。さらに、11月19日から開始される「メンズウェアデザイン」のレベルI アカデミック修士課程において、アカデミア・コスチューム・エ・モーダ(Accademia Costume e Moda)と提携して、ブリオーニのアトリエでの集中的な研修を含むプログラムを提供。10名の奨学金も寄付している。