アウディジャパンは、プレミアムアッパーミディアムセグメントの究極のスポーツグレード「RS 6 Avant GT」を発表した。日本での限定販売10台(ミトスブラックメタリック5台、クロノスグレーメタリック5台)のうち、クロノスグレーメタリック5台のオンライン販売を2024年10月3日より開始した。なお、ミトスブラックメタリック5台については、今秋以降、順次販売予定としている。
この限定モデル「RS 6 Avant GT」のアイディアは、2020年にquattro誕生40周年を記念した、ネッカーズルム工場の研修生グループによるプロジェクト「RS 6 GTO concept」に遡る。アウディの各部門で働いていた12人の研修生が、Audi Designのサポートを受けて、6か月間このプロジェクトに取り組み、1989年に登場した伝説的な「90 quattro IMSA GTO」レースカーからインスピレーションを得て「RS 6 GTO concept」を製作。今回の限定モデル「RS 6 Avant GT」は、この「RS 6 GTO concept」を進化させた、世界限定660台の「RS 6 Avant」のトップ オブ トップモデルとなる。
「RS 6 Avant GT」に搭載される4.0リッターV型8気筒TFSIツインターボエンジンは、最高出力463kW(630PS)、最大トルク850Nmを発揮。0-100km/h加速は3.3秒の俊足を誇る。一方、48Vマイルドハイブリッドやエンジンの低負荷時に8つのシリンダーのうち4つのシリンダーを休止させるシリンダーオンデマンド(cod) を8速ティプトロニックと組み合わせることにより、高性能と高効率を両立。そのエンジンサウンドは、RSスポーツエキゾーストシステムによりトップモデルとしての存在感を主張する。
さらに「RS 6 Avant GT」は、スピードリミッターにより制限される最高速度は305km/hまで高められている。この究極のハイパフォーマンスに対応して、ブレーキにはレッドキャリパーによるセラミックブレーキシステムを搭載。駆動方式はアウディの代名詞でもあるquattro四輪駆動となる。
セルフロッキング センターディファレンシャルは、エンジンの駆動力を通常フロント40%:リヤ60%の比率でリヤアクスル寄りに分配。路面状況に合わせて、より多くのトルクを自動的に適切なアクスルに伝える。最大70%をフロントアクスルに、あるいは最大85%をリヤアクスルに配分することでドライビングダイナミクスが向上し、卓越したトラクションと優れた加速を実現。このモデル専用チューニングのリヤスポーツディファレンシャルは、理想的なトルク配分を計算して、リヤホイールにアグレッシブかつ可変的に分配することで、コーナリングのハンドリング限界で、アンダーステアを軽減することができる。
また、究極のスポーツグレードにふさわしく、「RS 6 Avant GT」専用のライトウェイトなアジャスタブルコイルオーバーサスペンションを初めて採用した。このサスペンションは、「RS 6 Avant」と比較して車高を10mm低くしながら、優れたダイナミクスと快適性を完璧に融合している。より高いスプリングレート、3段階に調整可能なダンパー、より硬いスタビライザー(フロントで30%、リヤで80%硬め)により、ボディのロールが減少し、ドライビングの楽しさが大幅に強化されている。
そして今回の限定モデル「RS 6 Avant GT」は、「RS 6 Avant performance」をベースにシリーズの頂点に君臨するモデルにふさわしく、内外装に数多くの特長的な装備を採用している。エクステリアでは、ハイグロスブラックのシングルフレームグリルとエアインテークがワイド&ローの印象を高め、フロントエプロンの垂直ブレードやバンパーに統合された力強いフロントスプリッター等がシャープな外観を強調している。
また、「RS 6 Avant」史上初めてルーフレールを廃止することにより、よりフラットでスポーティなシルエットを実現した。さらに、RS 6 GT専用エクステリアである軽量化にも寄与するカーボン製のボンネット/バンパー/フェンダー、リヤディフューザー、印象的なパススルー 、モータースポーツからヒントを得たルーフエッジスポイラー(ダブルウイング)、そして、GTロゴが付くAudi Sportによるブラックメタリックポリッシュトの6アームデザイン10.5J x 22インチホイール等が、一見して「RS 6 Avant」のシリーズトップモデルであることを主張している。
なお、この限定モデルでは、カーボンパネルの多用等によりベースモデル「RS 6 Avant performance」と比較して40kgの軽量化を実現。専用ホイールに装着される285/30R22のハイパフォーマンスタイヤContinental Sport Contact 7は、乾いた路面と濡れた路面の両方で優れたグリップを提供すると同時に、高速でコーナリングする際のアンダーステアを抑制し、あらゆる速度域でより正確なハンドリングを実現するとともに、100km/hから停止するまでの制動距離を最大2m短縮する。
一方インテリアは、スポーティさを強調。身体をしっかりとホールドする機能性と上質なマテリアルが醸し出す質感が両立する、ダイナミカとレザーによるコンビネーションのRS 6 GTロゴ付きRSバケットシート、RS 6 GTデザインパッケージ、ディープブラックダイナミカのデコラティブパネル、フラットボトム ステアリングホイール等を特別装備として採用し、センターコンソールには限定モデルの証としてシリアルナンバー(製造番号)が刻印されている。さらに専用のドアエントリーライト、フロアマット、レッドのシートベルトが、この特別なモデルの利便性ならびに所有する満足度を高めている。
限定モデル「RS 6 Avant GT」は、そのベースとなった「RS 6 Avant performance」と異なり、ネッカーズルムの生産ラインのあと、ベーリンガーホフ工場でも組み立てが行われる。ネッカーズルムでボディの製造および塗装工程が終了した660台のモデルは、「R8」、「e-tron GT quattro」、「RS e-tron GT」といったハイパフォーマンスモデルが少量生産されるベーリンガーホフ工場へと送られる。
ネッカーズルム生産拠点の近くに位置するこの柔軟性の高いベーリンガーホフ拠点は、グループ内でもユニークな存在で、「RS 6 Avant GT」の仕上げ工程に最適な条件が整っている。最終組み立て工程は、この特別な限定モデルのために設置された3か所のステーションで、7人の経験豊富な従業員によって行われる。各車両は、そこで丸一日かけて作業が行われ、すべてのGT専用装備は、世界限定660台の「RS 6 Avant GT」のために手作業で取り付けられる。これには、カーボンボンネット/フェンダー、ロッカーパネル、ダブルウイング、フロントおよびリヤエプロン、アジャスタブルコイルオーバーサスペンション等が含まれる。
そして、このベーリンガーホフでは、ネットカーボンニュートラルな方法で生産が行われている。再生可能エネルギーによるグリーン電力と熱を使用しており、ベーリンガーホフのカーボンニュートラルの達成は、アウディブランドおよびネッカーズルム拠点の両方にとって重要な節目となった。再生可能エネルギーだけでは回避できないCO2排出量は、認定された環境プロジェクトのカーボンクレジットを使用して相殺される。このようにしてアウディは、完全に持続可能な生産を実現するための環境プログラム「Mission:Zero」を大きく前進させている。
関連情報:https://www.audi.co.jp/jp/web/ja/special_offer/limited_edition/rs-6-avant-gt.html
構成/土屋嘉久