マクラーレンは、初のF1世界チャンピオン獲得から50年の節目を迎え、アメリカで開催される2024年モントレー・カーウィークで、これまでのレースヒストリーを中心に、F1の技術が現在のスーパーカーにどんなインスピレーションを与えているかを示す展示を行なう。その舞台となるのが、8月16日開催の「ザ・クエイル・モータースポーツ・ギャザリング」。

マクラーレンの歴史に刻まれたフィッティパルディのF1マシン「M23」

1974年、ブラジル人ドライバーのエマーソン・フィッティパルディが、当時の最年少記録で、マクラーレン初のF1世界ドライバーズ・チャンピオンとなった。同時に、チームは初のコンストラクターズ・チャンピオンも獲得し、マクラーレンの歴史に刻まれた金字塔となった。

この2つの栄冠によって、マクラーレンチームの存在意義が究極の形で立証された。チームは最高峰での勝利を目指して誕生し、1970年6月に創設者ブルース・マクラーレンが悲劇的な死を遂げてから4年後に、その悲願を達成。その後、マクラーレンは、F1でドライバーズ・タイトルを12回、コンストラクターズ・タイトルを8回獲得し、F1はもとより国際的なモータースポーツの幅広いカテゴリーで、エリート集団としての地位を確立してきた。

1974年シーズン、フィッティパルディは、3勝を遂げてチャンピオンに輝いた。チームメートのデニー・ハルムは、ブルースと同じニュージーランド人で、F1だけでなくマクラーレンが5年にわたって圧倒的強さで連覇したCan-Amでもブルースと組んだドライバーで、1974年シーズンは開幕戦のアルゼンチンGPで優勝した。この2人によって、マクラーレンはコンストラクターズ・タイトルも獲得。

「ザ・クエイル・モータースポーツ・ギャザリング」では、これを記念して1974年にタイトルを獲得したフィッティパルディのF1マシンMcLaren M23を展示。このM23は、その後も進化を続け、1977年シーズン半ばまでF1選手権に出場した。その間に合計16勝を挙げただけでなく、1976年にはジェームズ・ハントと共に2度目のドライバーズ・タイトルをもたらす。M23は、マクラーレンのF1デザインの中でも特に大きな成功を収め、豊かなレース・ヘリテージの土台を築いたマシンであった。

また、マクラーレンのサーキットで鍛え上げられたモデルとしてのDNAと、スーパーカーのクラフツマンシップが交錯した例として、6台のみ製作された3-7-59のテーマを施された750Sも、M23とともに展示。なお、この2023年11月に発表された3-7-59のテーマは、マクラーレンによるモータースポーツの3つの優勝を記念するもので、1974年インディ500、1984年モナコGP、1995年ル・マン24時間でのレースナンバーをアートワークで施したものとなる。

今年、マクラーレンは、アイルトン・セナがこの世を去ってから30年の節目に、その驚くべきレガシーを称える2つのスペシャルマシンをモナコGPで披露した。F1では、ワンオフのカラーリングを施したMCL38でランド・ノリス選手とオスカー・ピアストリ選手が出走し、マクラーレン・オートモーティブは、これに合わせてセナ・センプレ・カラーを施したマクラーレン セナを発表した。

この唯一無二の1台は、マクラーレン・スペシャル・オペレーションズ（MSO）の専門のエキスパートが手作業でペイントしたアートワークによって、セナのコース上での業績と魅力的な人柄にオマージュを捧げている。会場では、北米に初上陸となるこの1台と並んで、セナがレースで使用した2台のF1マシンも展示される。

そして2025年には、新選手権のマクラーレン・トロフィー・アメリカが始まる。この選手権は全10戦で、公道モデルを専用開発したマクラーレン・レーシングカーで争われる。3月に開幕し、インディアナポリス・モーター・スピードウェイやサーキット・オブ・ジ・アメリカズでも開催。アマチュアGTドライバーとプロを目指すドライバーが出走できるインクルーシブなシリーズで、激しい戦いが期待される。「ザ・クエイル・モータースポーツ・ギャザリング」では、この胸踊るシリーズの内容についても披露される。

マクラーレン・オートモーティブCEOマイケル・ライターズ氏は、以下のように話す。

「初の世界チャンピオン獲得から50年となりますが、私たちはマクラーレンが誇る長いレースの歴史から今も刺激を受け続けています。現在は、F1、GTレース、インディカー、Formula E、エクストリームE、そしてバーチャルのレースに参戦しており、私たちが生み出すスーパーカーはすべて、こうしたレース・ヘリテージとつながっています。これをさらに拡大し、2025年にマクラーレン・トロフィー・アメリカを創設することも、サーキットでさらに歴史を積み重ねようという私たちのコミットメントの証しにほかなりません」

関連情報：https://cars.mclaren.com/jp-ja

構成／土屋嘉久