ロータスのフル電動ハイパーGT「Emeya(エメヤ)」が、マレーシアのセパン・インターナショナル・サーキット(SIC)において、電気自動車の性能基準を塗り替えた。最上位モデルである「エメヤR」が記録した2分20秒317というラップタイムは、同サーキットで公表されているEVラップとして史上最速となる。この記録は、市販仕様の標準車両によって達成されたものであり、ショールームから乗り出したそのままの状態でのエメヤの卓越した性能を証明するものとなる。
全長5.543kmのグランプリ・サーキットを、2026年初頭に樹立された従来の公表EVベンチマークより7秒以上速く走破したこの快挙は、電動化の時代においてもワールドクラスのエンジニアリング、卓越したビークルダイナミクス、そして妥協なきドライバーとの一体感を追求するロータスの姿勢を改めて印象づけた。同イベントは、ロータスにとってSICでの2度目の公式タイムアタックであり、東南アジアにおける初のフル電動パフォーマンス・プログラムとなる。マレーシアは同地域におけるロータスの重要市場のひとつであり、ブランドのモータースポーツ・ヘリテージ、エンジニアリング哲学、そしてパフォーマンスDNAを示す最適な舞台として選ばれた。
このアジアで最も過酷なサーキットのひとつとして知られるSICは、長い高速ストレートと、高速・低速コーナーが入り混じるテクニカルなレイアウトを併せ持つ。加速性能、ブレーキ性能、空力効率、シャシーバランスのすべてが等しく問われる、ロータスのエンジニアリング哲学を試すには理想的な舞台。
今回のタイムアタック・プログラムは、ロータス・グループのビークルダイナミクス・エンジニアが統括。車両セットアップおよび実走行において、ロータスがグローバルな車両開発プログラム全体で用いるのと同じエンジニアリング原則が貫かれた。記録ラップを担当したのは、GTレーシングドライバーのダニエル・ルー選手。限界域におけるエメヤRのパワー、精度、そして揺るぎない安心感の卓越したバランスを見事に引き出した。
SICにおけるロータスのパフォーマンス・ヘリテージは、2025年にマレーシアのモータースポーツ界を代表するテンク・ジャン・レイ選手のドライブにより、エミーラが2分27秒932を記録したことに始まる。それから1年、エメヤRが再びベンチマークを更新したことは、ロータスが伝統的に培ってきた乗り味、ハンドリング、そしてドライバー中心のエンジニアリングを、次世代のフル電動パフォーマンスへと見事に昇華させたことを物語っている。ロータス、シャシー&ビークルダイナミクス担当シニアディレクター、チョン・ヨクメン氏は、以下のように話している。
「ロータスにとって、サーキットは常に究極の実証の場です。すべてのロータスは、ただひとつの目的 ― For The Drivers(ドライバーのために) ― のもとに設計されています。シャシーのチューニングやステアリングフィールから、空力、パワーデリバリーに至るまで、私たちが下すすべてのエンジニアリング上の判断は、確かな安心感、精緻さ、そして心を躍らせるドライビング体験を実現するために向けられています。エメヤは、その哲学を電動化の時代へと受け継いでいます。75年以上にわたりロータスを定義してきたDNAと、まったく同じ思想のもとに開発されました。この記録は単なるラップタイム以上のものです。私たちのエンジニアリング哲学の正しさを裏付け、電動化がロータスのドライビング体験を損なうのではなく、むしろ高めるものであることを証明しています」
この快挙は、電動化がもたらす可能性を積極的に取り込みながらも、ロータスのパフォーマンスDNAに忠実であり続ける車づくりへの、同ブランドのコミットメントをさらに示すものとなる。すべてのロータスと同様、エメヤ・ハイパーGTもまた、何よりもまず「For The Drivers」の思想のもとに生み出された1台。胸を高鳴らせるパフォーマンスと卓越した洗練性を兼ね備えた最上位モデルのエメヤRは、905PSの最高出力と985Nmの最大トルクを発生し、0-100km/h加速をわずか2.8秒で駆け抜ける。息をのむような直線性能に加え、クラス最高水準の乗り心地、正確無比なステアリング、先進のアクティブ・エアロダイナミクス、そして最先端のシャシー技術を融合させている。さらにエメヤを特徴づけるのが、空気を車体の中へ、下へ、そして周囲へと流す「ポロシティ(porosity/多孔性)」の空力哲学。効率、安定性、ダウンフォースを最大化するこの思想は、ハイパーカー「エヴァイヤ」で初めて導入され、ロータスが数十年にわたり培ってきたモータースポーツの知見によって磨き上げられた。この哲学が、公道でもサーキットでも際立つエメヤの卓越した運動性能に大きく寄与している。
今回のSICでの記録は、エメヤ・ハイパーGTが世界をリードする電動パフォーマンスカーの一角を占めることを裏付けるとともに、75年以上にわたるモータースポーツとエンジニアリングの知見を次世代の電動パフォーマンスへと昇華させ続けるロータスの歩みを、そして「For The Drivers」のクルマづくりへの揺るぎない信念を、改めて示すものとなった。
関連情報:https://www.lotuscars.com/ja-JP/emeya
構成/土屋嘉久