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2025.07.19

カモフラージュされたポルシェのフル電動SUV「カイエン」のパフォーマンスと実用性は?

ポルシェが、新型カイエンのテストを世界中で本格化している。2つめのフル電動SUVの微調整の一環として、ポルシェは市販車に近いプロトタイプで情報を収集するためのテストを実施。それと同時に、新型カイエンのハイレベルな実用性の一端が披露された。ポルシェカイエンは、20年以上前からユニークな多用途性が特徴であった。この特徴をベースとして、フル電動化される新型では、これまで以上にパフォーマンス、実用性、長距離走行時の快適性、オフロード性能を磨いている。新しいカイエンの市場導入はまだ先のことだが、イギリスでの動画制作の一環として、ポルシェはこのモデルの走りを公開した。

ポルシェの次のフル電動SUVは、歴史ある場所において高いパフォーマンスを秘めていることを示した。舞台となったのは、1905年から続く世界屈指の伝統あるモータースポーツイベント、シェルズリー・ウォルシュ・ヒルクライム。ほぼ市販車に近いこのプロトタイプは、撮影プロジェクトに参加すると同時に、このイギリスのヒルクライム選手権に出場する車に混ざり姿を見せた。

カモフラージュされたフル電動カイエンを運転したのは、タグ・ホイヤーポルシェフォーミュラEチームのシミュレーター兼開発ドライバー、ガブリエラ・ジルコヴァ選手。ジルコヴァ選手は、幅わずか3.5メートル、勾配最大16.7パーセント、全長1,000ヤード(914メートル)のアスファルトの丘を登った。そして1回目の挑戦で、それまでのSUVによる記録を4秒以上も更新した。

ガブリエラ・ジルコヴァ選手は、次のように話している。

「難しいコースで、ミスは許されませんでした。ランオフゾーンがなく、ほとんど修正の余地がなかったのです。しかし、アクティブサスペンションのおかげで、新しいカイエンは非常に優れた安定性と正確性を発揮します。それで、どんなときでも完全に自信をもって走ることができました」

フル電動のカイエンには、将来のポルシェSUV向けに開発されたポルシェアクティブライドが装備されている。このアクティブシャシーは、ダイナミックなスタイルでブレーキング、ステアリング操作、加速時でも、たえずボディを水平に維持する。またホイール荷重をバランスよく配分することで、路面との完璧なつながりを実現する。

カイエンの開発責任者、ミヒャエル・シェッツレ氏は、次のように語っている。

「この新しいカイエンでは、ポルシェアクティブライドによって、ドライビングダイナミクス重視から乗り心地重視までの幅が大幅に拡大しています」

実は、シェルズリー・ウォルシュでは、31.28秒という記録に加え、もうひとつの数字も話題を呼んだ。スタートラインよりも60ヤード(18.3メートル)先にある最初の計測地点を通過したのは、わずか1.94秒後のことだったからだ。このイベントでこれほどの偉業を達成したのは、この目的のために特別に製造されたスリックタイヤを装着したシングルシーターのレーシングカーだけだったことを踏まえると、従来型のサマータイヤを装着したポルシェの新しいフル電動SUVの加速性能がどれほど優れているかを示している。

現在、新型カイエンはまだ市場導入前の最終調整段階にあるが、シェッツレ氏は「この記録破りの車の駆動力と装備は、すでに生産レベルに達しています」と述べている。

ポルシェは、イギリスでフル電動カイエンの優れた性能だけでなく、日常での使用にも適していることを初めて明らかにした。イギリスのテレビ司会者リチャード・ハモンド氏は、撮影の一環として、このカモフラージュされたプロトタイプを使用して、ヘレフォードにある自分の工房からガレージまで、重量2トンを超える100年以上前のクラシックカーを運んだのだった。このときトレーラーを合わせた合計重量は、約3トンに達していたが、ハモンド氏によると、新しいカイエンは難なくこの仕事をこなしたという。

さらにポルシェのフル電動カイエンは、ボディ、ドライブ、高電圧システムの熱管理などに関して、非常に堅牢な設計となっている。そのため、このSUVは、構成によっては最大3.5トンの牽引能力を備えた世界初の電気自動車のひとつとして、現行の内燃エンジン搭載のカイエンと同様、関連する認可を受けるための要件をすべて満たしている。

また、シェッツレ氏は、次のように話している。

「カイエンの高い実用性は、これまでずっとお客様から高い評価をいただいてきました。そこで、新型モデルの開発でも、一切の妥協はしたくありませんでした」

「今後10年以上、ポルシェのお客様は、パワフルで効率的な内燃エンジンモデルやハイブリッドモデルもご利用いただくことができ、ポルシェでも多大な費用をかけて現行世代のモデルの開発を継続していきます。しかし、イギリスで公に披露されたほどの性能レベルを達成できるのは、電動化によってこそ可能なのです。フル電動カイエンは、日常の使い勝手や実用性の点で妥協することなく、新しい基準を打ち立てることでしょう」とシェッツレは、語っている。シェルズリー・ウォルシュで新記録を樹立したポルシェのSUVは、再びイギリスで公の場に姿を現す予定となっている。2025年7月10日~13日に開催されるグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで、ひときわ目立つカモフラージュを施したプロトタイプが展示される。

関連情報:https://www.porsche.com/japan/jp/

構成/土屋嘉久

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