2025年シーズンからF1グランプリの公式タイムキーパーに復帰を果たしたタグ・ホイヤー。これまでレースやサーキットの名を冠したウォッチを次々と生み出し、モータースポーツと最も深く関わってきた時計ブランドだ。これまでの歴史に触れながら、両者の深い結びつきを紐解いていこう。
圧倒的なパワーとともに、官能的なエグゾーストを奏でるエンジン。サーキットでのレーシングマシンのスピードへの情熱はいつの時代も私達を熱狂させてきた。そうしたモータースポーツの最高峰であるF1に今年は注目が集まる。スイスの高級時計ブランドのタグ・ホイヤーが、今シーズンから公式タイムキーパーとして復帰し、看板モデルの名前の由来ともなったF1モナコグランプリ史上初のタイトルパートナーにもなったからだ。同社とモータースポーツとの結びつきは深く、長らく計時技術で支え、ともに歩んできた。
世界初のダッシュボード搭載クロノグラフ、100分の1秒を計測できる初のストップウォッチなど、タグ・ホイヤー(当時の名はホイヤー)は高精度計時によってモータースポーツシーンの初期から関わってきた。’50年代にF1が黎明期を迎えると、モータースポーツでの使用を想定したクロノグラフ腕時計の製造を決意。1969年には世界初の自動巻きクロノグラフ・ムーブメントを開発し、それを搭載したモデルにはF1サーキットとして名高い「モナコ」の名を授けた。
’70年代にマシンの最高速度が時速300kmに達すると、人による計時では追いつけなくなる。そこで当時F1フェラーリチームの計時を担当していた同社は電子計時システムを開発。精度はサーキットが使用していた計時機器をはるかに凌ぎ、フェラーリチームの抗議で予選タイムが書き換えられることがあったほどだ。その後、さらなる技術革新で大規模なコンピューターシステムを開発し、F1の公式計時を’92年から12年間務めることとなる。
「タグ・ホイヤーは長年モータースポーツで計時を担当してきた経験から、人が自分を超えていく能力には限界はないという哲学を学びました。そのDNAがあるから我々の時計には、テクノロジーを超えたエモーショナルなものが宿るのです」と、アントワーヌ・パンCEOは語る。
「モナコ」や「カレラ」には、F1とともにタグ・ホイヤーの輝かしい歴史が刻まれている。そうした時計を身に着けて自分の人生の一部として同化させれば、F1観戦にも、さらなる熱狂が生まれるに違いない。
タグ・ホイヤー モナコ クロノグラフ ストップウォッチ
1969年に世界初の角型自動巻きクロノグラフとして誕生したモナコ。その大胆なプロポーションは残しつつ、1960~70年代のストップウォッチをオマージュしてミニッツトラックを強調した2トーン文字盤が登場。ケースはマットなブラックDLCコーティングで精悍に仕上げた。自動巻き。チタンケース。ケースサイズ39mm。¥1,474,000。
タグ・ホイヤー カレラ デイデイト
先代の汎用ムーブメントに代えて、新型の自社製キャリバーを搭載することで、約80時間パワーリザーブ、5年間の延長保証などスペックを向上させた3針モデル。コマが簡単に取り外しできるブレスレットが新たに採用され、サイズ調整も容易になった。自動巻き。ステンレススティールケース。ケース径41mm。¥605,000。
LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー 電話:03-5635-7030
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Writer: Katsumi Takahashi Editor: Atsuyuki Kamiyama