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2025.02.04

10年ぶりの刷新!プレミアムミニバンの最前線を走るメルセデス・ベンツ「Vクラス」

欧州と日本で異なるミニバンの進化

 ミニバンといえば、もともとレジャー志向の強いアメリカで人気を博してきたカテゴリーだ。その流れは日本にも波及し、特に1970年代後半からはRV(レジャービークル)の一種として地位を確立。アウトドアブームの後押しもあり、軽自動車から大型タイプまで、さまざまなミニバンが登場してきた。日本のミニバンは、その空間を最大限に活用した多彩なシートアレンジや、優れたインテリアの使い勝手によって、もはや“お家芸”といえるほどの発展を遂げている。

 一方、自動車の先駆的市場である欧州におけるミニバンは、異なる進化をたどってきた。欧州ではコマーシャル(パネル)バンとして商用に使われるケースが大半を占め、アメリカや日本ほど一般家庭のライフスタイルに根付いた存在ではなかった。そのため、欧州製ミニバンが日本市場にあまり参入しなかったのは、競争の激しいこの市場で勝機を見出せなかったからかもしれない。しかし、そんな中で奮闘を続けてきたモデルがある。それがメルセデス・ベンツVクラスだ。

 Vクラスの初代モデルが本国でデビューしたのは1996年。すでに30年近い歴史を刻んできたピープルムーバーである。このモデルも他の欧州製ミニバンと同様に、商用車をベースに快適装備を充実させた乗用仕様が用意された。初代は角張ったボディが特徴で、スペース効率に優れるFWD(前輪駆動)を採用。堅牢な作りでハードな使用にも耐えうる一方、飾り気のないシンプルな仕立てのため、実用・快適性では日本やアメリカのライバルに一歩譲る部分があった。

 その方向性が大きく変わったのは2代目からだ。駆動方式をメルセデス伝統のFR(フロントエンジン後輪駆動)に変更し、スクエアなフォルムを維持しながらも、ボディ各所の角を丸めることで柔らかい印象を演出。さらに快適装備も充実し、乗用ミニバンとしての魅力を高めた。現行型となる3代目は2014年に登場。基本設計を踏襲しつつ、経済性や環境性能、安全性の向上が図られた。それから10年の間に小変更が繰り返されてきたが、最も大掛かりな改良が施されたのが昨年のこと。今回試乗したのがそのビッグマイナーチェンジモデルである。

さらに豪奢に、快適に

 最大のトピックは、ひと目でわかるエクステリアデザインの刷新だ。フロントグリルは最新のメルセデスデザインを採用し、大型グリルで存在感を強調。全モデルにマルチビームLEDヘッドライトを搭載したほか、伝統的な横桟グリルとスリーポインテッドスターのボンネットマスコットの組み合わせも用意され、往年のファンには嬉しい仕様となっている。

インテリアも大幅にブラッシュアップされた。コクピット周りには12.3インチのワイドモニターをメーター用とメディア用に配置し、「ハイ、メルセデス」でお馴染みの対話型ボイスコントロールを備えた「MBUX」も最新バージョンが標準装備された。

今回試乗したのは、ゴールドのボディカラーが目を引く「V220d EXCLUSIVE long Platinum Suite」だ。見た目もネーミングもゴージャスな一台で、新しいVクラスの中でも特に販売の中心と目されるモデルである。ちなみにVクラスには全長4895mmの標準ボディ、同5140mmのロング、同5370mmのエクストラロングの3タイプが設定されており、全車共通で2+2+3席の7名乗車仕様。パワートレインも2L直列4気筒ディーゼルターボ+9速ATの組み合わせで統一されている。

メルセデスらしい走りの優位性

しかし、標準ボディ車とロングボディ以上には決定的な違いがある。標準ボディには可変ダンパー付きアジリティコントロールサスペンションが採用される一方、ロングボディ以上には“AIRMATIC”エアサスペンションが標準装備される点だ。これは従来型との大きな違いであり、エクステリア以上に走行性能の向上を実感できるポイントである。

実際、Vクラスは従来型から既にしっかりした乗り味を持っていたが、多人数乗車を前提とした足回りは少々硬めのセッティングゆえに、1~2名乗車時には突き上げ感を感じることがあった。しかし、新型のエアサスペンション仕様ではその弱点が解消され、乗り心地が大きく向上している。さらに、足回りの剛性が高まったことで、車体の安定性が向上。高速道路はもちろん、街乗りやワインディングロードでも扱いやすさが際立つ。これにより、同乗者が快適な移動を楽しめるだけでなく、ドライバーも安心して運転できる。ここは何より、アウトバーンで鍛えられたメルセデス製ピープルムーバーならではの強みといえる。

そんなドライバビリティの高さを持ちつつ、装備の充実度を高め、さらなる商品力向上を果たしたのが新型Vクラスだ。特に試乗した「EXCLUSIVE long Platinum Suite」は、まさに飛行機のビジネスクラスのような快適なシートに身を委ねながら、安心感のある移動が楽しめる一台。ファミリーカーとしてはもちろん、ビジネスパーソンズ・エクスプレスにも適した、抜群の完成度を誇るモデルである。

■関連情報
https://www.mercedes-benz.co.jp/passengercars/models/van/v-class/overview.html

文/桐畑恒治 撮影/望月浩彦

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