コロナ禍で「三密」を回避しながら楽しめる娯楽として、人気が再燃したゴルフ。これまでのゴルフブームと違うのは、若い世代や女性にもプレー人口が増加したことだと言われています。「@DIME」でも、実はゴルフ関連グッズやウェアの記事は、コンスタントに読まれるジャンル。ブームだけではなく、ライフワークとして多くの人が楽しんでいるのでしょう。
ゴルファーの裾野が広がったことで、ゴルフウェアの取扱いを扱うメーカーも増えました。スポーツブランドはもとより、ファッションブランドも10数年前から参入していますが、今やしまむらやワークマンまでもがゴルフウェアを展開。価格、機能、デザインなどプレーヤー自身に合うウェアが選び放題です。
そんな中、2023年8月にデサントジャパンは、デサントブランドより新しくプレミアムスポーツウェア「PRO」シリーズの発売を発表しました。「PRO GOLF」カテゴリのゴルフ用ダウンジャケットは、なんと定価17万6000円。同シリーズのダウンパンツは11万円です。
高級ゴルフブランドのウェアもせいぜい数万円。それを大きく上回る、10万円超えゴルフウェアを発売した意図はどこにあるのか? その価格に見合う価値があるのか? デサントジャパン デサントマーケティング部門カテゴリーマーケティング2課 片山雄貴さんに話を聞きに行きました。
本題に入る前に、デサントがどんな企業かおさらいしておきましょう。デサントは1935年に創業した、スポーツウェアや用品の製造・販売を行うメーカーです。創業初期に、日本初のプロスキーヤーをアドバイザーとして招き、本格的なスキーウェアを製造するメーカーとして開花。ちなみに「デサント(DESCENTE)」はフランス語で「滑降」を意味する言葉です。
プロのチームにスキーウェアを提供すると同時に、技術開発を推し進めたデサントは、革新的な技術を取り入れたウェアを次々と生み出していきます。
2008年には、デサントの縫製工場の中でも、特に高い縫製技術を誇る岩手県の水沢工場の技術をいかし、スポーツウェアで培った機能を詰め込みつつファッション性の高い、タウンユースしたくなるダウンジャケット「水沢ダウン」を発売。
そのスマートなルックスとともに、当時の既存ダウンジャケットの弱点であった「水に弱い」という点を、独自の加工により克服し、雨や雪でも着られる機能性が大ヒット。それまで「高級ダウンジャケット」といえば海外ブランドのものが主流でしたが、国産の高級ダウンジャケットとして今なお人気を誇っています。
この「水沢ダウン」のヒットをきっかけに、現在デサントは従来からの本格スポーツウェアと、スポーツウェアの技術を生かしたタウンユースウェア「デサント オルテライン」の2軸を展開しています。
今回発表した「PRO」シリーズは、本格スポーツウェア軸の上位ラインとして登場しました。このシリーズを新しくつくった理由として「ブランドの認知拡大と価値を高めたいからだ」と片山さんは言います。
「デサントは“アスリートの課題解決を起点に、着る人の心と体のベストパフォーマンスをデザインするウエア”をコンセプトに、機能美が凝縮されたウェアづくりを創業当初から一貫して行っています。
しかしまだまだ世の中の人にブランドの認知が弱いと思っていて、水沢ダウンしか知らないとか、人によっては水沢ダウンがデサントの商品であることを知らない人もいる。デサントの原点である“ものづくり”をもっと知ってもらいたい、もっと広めたいという想いで“PRO”シリーズを始めました」(片山さん)
「PRO」シリーズの2023年秋冬コレクションは、「PRO SKI」「PRO GOLF」「PRO TRAINING」の3つのカテゴリーで構成。いずれのウェアにも2018年にデサントが開発した、1枚の生地の中で部位ごとに違う機能を持たせる素材開発技術「Schematech(R)」が採用されています。
ファーストコレクションは主に黒で統一され、デサントというブランドの粋を集めたシリーズとしてふさわしい、高級感を醸し出しています。