アウディは、フラッグシップモデルである「A4」シリーズの新世代モデルとなる新型「A5」シリーズを発表した。なおアウディでは、モデルレンジの拡大に伴い、2024年よりモデルネームを再構築して、電動モデルと内燃エンジンモデルの名称を数字によって区別。今後は、偶数は電動モデル、奇数は内燃エンジン搭載モデルを表すことになるという。
今回のA5シリーズは、初代A4の発売から30年、最新世代のシャープなデザイン言語による、プレミアムなプロポーションが特徴となっている。セダンとAvantの両ボディスタイルは、Audi Designの哲学であるスポーティな本質を完璧に体現。さらにインテリアの新しいデザイン言語によって、広々とした空間を生み出され、デジタルステージにはディスプレイを配置。新しい操作コンセプトを導入し、車両とのインタラクションを向上している。また部分的に電動化された内燃エンジンは効率的で、刺激的なSモデルもラインアップしている。
アウディは、モデルレンジの拡大に伴い、2024年よりモデルネームを再構築。電動モデルと内燃エンジンモデルを名称の数字によって区別しており、今後、偶数は電動モデルを、奇数は内燃エンジン搭載モデルを表すことになる。最新世代のデビューにより、長年のベストセラーモデルであるA4は、A5と名前を変えてドイツのネッカーズルムで生産されA5およびS5、A5 AvantおよびS5 Avantの4つの新しいバリエーションで提供。これらのバージョンは、プレミアムプラットフォームコンバッション(PPC)を採用する初めてのモデルとなる。
AUDI AG CEOゲルノート デルナー氏は、次のように語っている。
「全電動ポートフォリオの拡大と並行して、効率的な内燃エンジンを搭載した新世代のモデルを導入します。A5シリーズは、そのアスレチックなデザイン、全く新しいインテリア、そして将来性のある電子アーキテクチャーを備えた最初のモデルとなります。高度なMHEV plusテクノロジーにより、部分的な電動走行が可能となり、さらに効率的な運転が実現します」
完全に再設計されたA5シリーズは、一目で見ただけでわかるように、力強く洗練されたデザインとなっている。長いホイールベース、大きなホイール、低くスポーティなボディを備えた新たなプロポーションは、進化したダイナミズムとプレミアムな基準を体現。セダンでは、スポーティでコンパクトに見えるグリーンハウスが後部に向かって大きく弧を描き、クーペのように浅いリヤウィンドウにシームレスに流れ込み、視覚的に短いテールゲートに際立つスポイラーリップまで続く。
そして新しいリヤハッチは、デザインと機能性をしっかりと共存させており、リヤウィンドウとともに開き、開口部は十分なスペースが取られラゲッジルームへ容易にアクセスできるようになっている。これがアウディの全く新しいセダンのコンセプトとなる。さらにAvantは、ダイナミックで引き締まったルーフラインがシームレスに統合されたルーフスポイラーに融合し、スポーティでフラットなリヤウィンドウを覆う。鋭く傾斜するDピラーは、A5 Avantのダイナミックなサイドビューを強調している。
またフロント部分は、幅広となりこれまでになくフラットなプロポーションのシングルフレームと、立体的なハニカム構造が特徴。細く精密に描かれたヘッドライトと相まって、A5のフェイスを形づくるよう印象的で鋭い表情を与えている。さらにバンパーに統合された「ソフトノーズ」は、ボンネットとフロントエンドを一体化させている。
前後のホイールのショルダー部分から力強く突き出たブリスターは、Ur-quattro(ウア クワトロ:初代quattro)を彷彿させる、Audi Design DNAの重要な要素となる。際立つ特徴的なリヤは、スポーティでエモーショナルなデザインと知的なテクノロジーを融合させている。彫刻的なデザインと立体的に配置された連続したライトストリップが組み合わさることで、新型A5のリヤは存在感と視覚的なダイナミズムを獲得。ベースモデルのリヤビューでは、ダークディフューザーを備えたクリアでモダンなデザインのバンパーと、高品質の長方形のイグゾーストパイプがさらなる特徴となる。
そしてA5シリーズでは、フロントにLED技術を用いたデジタルデイタイムランニングライトを、リヤに第2世代のデジタルOLEDリヤライトを装備する。各デジタルOLEDパネルに約60のセグメントがあり、A5のリヤのディスプレイの役割を高めている。そのため車両間通信(car-to-x communication)も可能になり、新しいコミュニケーションライト等によって道路上の安全性向上に貢献。
車両のロック解除時や退出時のダイナミックな照明効果は、アウディライトDNAの一部として動きの美学を反映している。さらにアクティブデジタルライトシグネチャーも同様に、新しい生き生きとした感覚を伝えている。このヘッドライトとリヤライトは、三次元にデザインされ、オプションでデジタルライトシグネチャーを提供し、物理的な世界とデジタルの世界を融合させる。
新型A5のインテリアデザインには、4つの特徴がある。まずインテリアには、ヒューマン セントリック デザイン(人間中心のデザイン)が採用されており、ユーザーのニーズを一貫して配慮した設計になっている。その次の特徴は、デジタルステージで、Audi MMIディスプレイがドライバーと助手席から鮮明に見えるように配置されていること。
3つ目の特徴は、マテリアル ドリブン デザイン(素材に基づくデザイン)で、A5シリーズは広々とした空間感覚と高い快適性を実現している。そして4つ目は、視覚的な明快さ。インテリアのレイアウトがクリアで操作が簡単であり、どんな状況でも全体を把握しやすい設計になっている。加えて、オプションで「ダイナミックインタラクションライト」があり、A5と乗員とのインタラクション(対話)をサポートする。
そしてA5シリーズの新しい操作コンセプトは、E3電子アーキテクチャーにより、車両とのインタラクションを向上させこと。新モデルでは、顧客のデジタルエコシステムにシームレスに統合され、パーソナルなコネクティビティ体験を提供。スリムで独立したAudi MMIパノラマディスプレイは、曲線的なデザインでOLED技術を使用している。これは、11.9インチ表示スクリーンのAudiバーチャルコックピットと、14.5インチのMMIタッチディスプレイで構成されている。
さらに助手席のデジタルステージを補完するために、アウディはダッシュボードデザインに完璧に統合された10.9インチMMI助手席ディスプレイをオプションで提供。新しいA5は、先代モデルと比較してさらに進化した、設定可能なヘッドアップディスプレイを備えている。ドライバーがヘッドアップディスプレイを介して、車両およびインフォテインメント機能を制御することができるオプションが初めてついた。
A5シリーズの効率的なエンジンは、一般的なエントリーモデルから快適な長距離、ダイナミックなスポーツモデルまで幅広くカバー。エンジン、トランスミッション、電動化のレベル、およびドライブトレインの種類は、ユーザーの期待値に合わせて設定されている。
エントリーモデルのエンジンは、2.0 TFSIで110kW(150PS)を発揮。オプションにより、同じ2.0 TFSIエンジンの150kW(204PS)仕様も選択可能となっている。このTFSIエンジンは、可変タービンジオメトリー(VTG)付きのターボチャージャーを装備し、部分負荷で極めて燃費効率の良い改良型燃焼プロセスを採用。VTG技術により、ガソリンエンジンでも低回転域で、トルクの俊敏な立ち上がりが可能となっている。ターボ付き4気筒エンジンは、デュアルクラッチギアボックスと組み合わせて提供される。なお110kW仕様は前輪駆動モデルとして、150kW仕様は前輪駆動またはquattro ultraを選択することができる。
2.0 TDI 150kW(204PS)エンジンは、MHEV plusテクノロジーによりA5に新しい基準を設定。EA288 evo世代のこの2リットルエンジンは、シリンダープレッシャーセンサー、排気ガス制御システムTwinDosing(ツインドージング)、およびスムーズなエンジン回転を可能にする2本のバランスシャフトという、先代モデルから最適化された燃焼技術を継承。1,750から3,250rpmの間に400Nmのトルクを発揮する。
この2.0 TDIは、デュアルクラッチギアボックスと前輪駆動、またはquattro ultraを選択できる。より高い効率と快適性を追求し、エンジンは新しい48ボルトMHEV plusシステムを使用して部分的に電動化されている。電動ドライブトレインコンポーネントは、高い回生能力によりCO2排出量を削減。さらにTDIの快適性は、スムーズなエンジン始動をかなえる48ボルトスタータージェネレーターによってさらに向上し、発進時のレスポンスに優れ、目覚ましい俊敏性を発揮する。
そしてS5は、270kW(367PS)を発揮する、最適化された燃焼プロセスを備えた3.0リットルV6 TFSIエンジンを搭載するスポーツカーとなる。今回、初めて可変タービンジオメトリー(VTG)付きターボチャージャーとMHEV plusテクノロジーを備える。さらにS5のアップデートされたSトロニック デュアルクラッチトランスミッションは、より高いトルクに対応できるように設計されており、フロントアクスルの重量を減らし軽快感を高める。
新しい48ボルトMHEV plusシステムによる部分的な電動化は、電動ドライブコンポーネントと高い回生性能によるCO2排出量の削減をもたらす。それはS4 TDI(先代モデル)と比較して、最大14g/kmのCO2排出量を削減する。また、その素早いダイナミックなトルクの立ち上がりは、S5のスポーティさを際立たせる。トルクベクタリングを備えたquattroスポーツディファレンシャルの標準装備と、調整可能な全輪駆動クラッチとの組み合わせにより、横方向のダイナミクスが最高レベルに調整されている。
48ボルトのオンボードエレクトリカルシステムに基づく新しいMHEV plusシステムは、内燃エンジンをサポートし、CO2排出量を削減しながら性能を向上させる。パワートレインジェネレーター(PTG)は、部分的な電動走行を可能にし燃料消費の削減に寄与する。
この新しいMHEV plusシステムは、従来のMHEVシステムと比較して、A5モデルシリーズにCO2排出量と燃料消費に大幅な利点をもたらす。2.0 TDI(150kW、前輪駆動/quattro)では、最大10g/kmまたは0.38l/100 kmの削減、そしてV6 3.0 TFSI(270kW、quattro)では最大17g/kmまたは0.74l/100 kmの削減が可能(WLTP走行サイクルにおいて)。
さらにPTGは、内燃エンジンの出力に最大18kW(24PS)の電力を追加することもできる。減速時には、PTGが最大25kWのエネルギーを回生。その結果、限定的に電気だけでの走行が可能になる。しかもエアコンの使用状況下では、車両が信号待ちで停止し内燃エンジンがオフになっているときでも、空調システムを作動することができる。
そして統合型ブレーキ制御システム(iBRS)は、ブレーキペダルとブレーキの油圧システムを完全に切り離す。MHEV plusシステムが搭載されたモデルでは、回生ブレーキのみで減速させることが可能で、油圧ブレーキを使用する必要なく、初期の減速は回生ブレーキでのみ行われる。ブレーキペダルをさらに踏み込むと油圧ブレーキが作動するが、ブレーキの感触は変わらない。
関連情報:https://www.audi.co.jp/jp/web/ja.html
構成/土屋嘉久