2028年までにオール・エレクトリックのグローバルブランドを目指しているスポーツカーブランドのロータス。ハイパーSUVの「エレトレ」を発売してから約1年経った2024年8月22日、ハイパーGTの「エメヤ」をローンチした。
BEV(電気自動車)のハイパーGTである「エメヤ」は、車両本体価格1634万6000円の「エメヤ」をはじめ、1793万円の「エメヤS」。そしてフラッグシップモデルで車両本体価格2268万円の「エメヤR」の3モデルを設定し、2024年末からデリバリーが開始される。
ロータス「エメヤ」はドライバーのためにデザインされた、ロータス初のBEV GT(グランドツアラー)。ロータスのデザインとエンジニアリングのDNA。そして最新、最先端のテクノロジーが融合され、BEVの新たなベンチマークとなるだけでなく、ドライバーに究極のドライビングパッケージを提供する。
ボディサイズは、全長5,139mm×全幅2,005mm(ドアミラー除く)×全高1,467mm(22インチホイール装着車)で、ホールベースは3,069mm。アルミモノコックのシャシーに加えて、ボディもアルミニウムとカーボンファイバーを多用し、車両重量はエントリーグレードの「エメヤ」で2,405kg、フラッグシップモデルの「エメヤR」で2,500kgと重量増を抑えている。(車両重量はドライバー75kgを引いた数字)
前後に搭載している2つのモーターは、「エメヤ」と「エメヤS」は、最高出力612ps、最大トルク710Nmを発生する「エメヤ450」。またフラッグシップモデルの「エメヤR」には、最高出力918ps、最大トルク985Nmを発生する「エメヤ675」を搭載する。
サーキットなど苛酷な走行条件下でも高い再現性と持続性を可能とした、冷却性能を備えた新しい高性能ツイン・レイヤーバッテリーを採用。このバッテリーは、中国CATL製のリチウムイオンバッテリーで、総電圧は800V、総電力量は102kwhとなっている。満充電時の走行可能距離は、WLTPモードで、「エメヤ」と「エメヤS」は500~610km。「エメヤR」は435~485kmというロングレンジとともに、フラッグシップモデルの「エメヤR」は、最高速度256km/h、0-100km/h加速は2.8秒というハイパフォーマンスを実現している。
400kW(600A対応)の急速充電器を使用すると、わずか14分で10%から80%からまで、充電することが可能で、現在購入できるBEVのなかでも最速の充電が可能だ。日本の急速充電器ではここまでの高出力は現在のところないが、高出力の急速充電器の性能を余すことなく使える。
ドライバーは走行状況に応じて、車高、エアサスペンションの硬さ、加速レスポンス、シート形状などをレンジ、ツアー、スポーツ、インディビデュアル、トラックという最大5つの走行モードから選択可能。そして高度なオンボードセンサーを備えた電子制御エアサスペンションシステムは、路面状況の変化に反応し、車両のセットアップを自動的に調整してくれる。
またブレーキシステムには軽量カーボン・セラミック・ブレーキを採用。バネ下重量と制動距離を低減するだけでなく、ダイナミックなハンドリングに貢献するとともに、コンポーネントの寿命を2倍に延ばしている。
街乗りからサーキット走行までオールインワンの「エメヤ」はスポーツカーのパフォーマンスと日常のユーテリティを両立している。外観デザインは、アクティブ・フロント・グリルをはじめ、リア・ディフューザー、リア・スポイラーなどによるアクティブ・エアロダナミクス性能により、抗力係数0.21Cd、そして150kgを超えるダウンフォースを実現。これらすべてが低重心のボディとの相乗効果で、走行時の安定性を向上させ、ロータスらしい優れた乗り心地とハンドリングを両立している。
その一方でリアゲート内には、最大509Lのトランクスペースを確保。さらにフロントには31Lのトランクスペースがあり、充電機器を収納可能だ。さらにインテリアでは、ドライバーと直感的にコミュニケーションするアンビエント照明をはじめ、すべてのシートにマッサージモードを設定。さらに、センサーにより、車両が壊れる恐れがある場合は、開閉できないパワー・アシスト・ドアを採用するなど高いホスピタリティが特徴だ。
安全装備では、1秒間に最大30回処理することが可能な2つのNVIDIA DRIVE Orinシステムオンチップを採用。34個の最新鋭サラウンドセンサーが360°全方位で見守る。さらに、4つのLiDAR、18のレーダー、7つの8mpカメラそして5つの2mpカメラにより、暗い場所や悪天候でも自車の周囲半径200mまでの障害物をあらゆる方向でスキャンし、安全性を確保する。
今回登壇した、アジア・中東地域リージョナルディレクター、ダン・バルマ氏は「2023年は年間のロータスの販売台数を更新したと発表。そしてNYのナスダックにも株式を上場した」と話し、ロータスブランドが順調な成長を遂げていることを強調した。
また、日本&台湾のヘッドオブセールスである寺嶋正一氏は、「ロータス・エメヤは、ほかのどのモデルとも共通な部分がないまったくのオリジナルモデル。これまでのBEVとは異なり街乗りからサーキット走行まで1台でこなせる欲張りなモデルで、ライバルはポルシェ・タイカン」と話してくれた。
そしてアジア・中東地域ヘッドオブマーケティングPRのラムジ・アタット氏は、「今ロータスは活気付いており、コリン・チャップマンの根幹とレガシーに真摯でありながら、最新のテクノロジーと最高の素材、76年にわたるロータスのドライビングダイナミクスの経験で、ドライバーオリエンテッドをモットーとしていく。このエメヤは非常に速いだけでなく、ロータすらしさを備えている。」と語った。
スポーツカーブランドのロータスが作ったハイパーGTの「エメヤ」。ロータスらしい乗り心地とハンドリングは健在なのかどうか。今からステアリングを握る日が待ち遠しい。
■ 関連情報
https://www.lotuscars.com/ja-JP/emeya/
取材・文/萩原文博