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2025.04.01

最高速度345km/h!世界最速のフロントエンジン・コンバーチブル、アストンマーティン「ヴァンキッシュ ヴォランテ」の全貌

アストンマーティンは、2025年3月25日、待望の新型モデル「Vanquish Volante(ヴァンキッシュ ヴォランテ)」を発表した。なお、このヴァンキッシュ ヴォランテは、台数限定の販売となり、2025年第3四半期に最初の納車を予定している。

このヴァンキッシュ ヴォランテは、アストンマーティン史上、最も速く、最もパワフルなオープントップシリーズの量産モデルであり、クーペモデルと並んで、現在販売中の量産モデルの中でも最速、最強のフロントエンジン車となる。これほど優れた性能と、スタイリッシュなルックスながらも芯のあるフォルムを併せ持つクルマはほかにない。搭載されるアストンマーティンの新型5.2リッターV12エンジンは、最高出力835PS、最大トルク1000Nm、最高速度345km/h(214mph)を発揮。

新型ヴァンキッシュ ヴォランテの設計は、人々に愛されてきたコンバーチブルならではのスタイルと感覚に訴える刺激をすべて引き出し、そのデザインに従来の制限や妥協は一切ない。クーペと変わらぬ美しさを持ち、車体重量の増加は最小限に抑え、素晴らしいデザインを実現したヴァンキッシュ ヴォランテは、フラッグシップ・モデルにのみ与えられるにふさわしい車名である。

さらに新型ヴァンキッシュ ヴォランテは、60年にわたるモデルの系譜の最高傑作。アストンマーティンが初めてヴォランテの名を冠したのは1965年。この年にShort Chassis Volante(ショートシャシー ヴォランテ)というモデルを限定台数で製作。このクルマは、その先代モデルのDB5ヴォランテと後継モデルのDB6ヴォランテの両方のデザインを取り入れている。完璧なまでに美しいこの車は、その後のアストンマーティン「ヴォランテ」モデルの方向性を決定づけた。また、最も生産台数の少ないモデルのひとつとして知られ、1年間の生産台数はわずか37台だった。

アストンマーティンの最高経営責任者(CEO)であるエイドリアン・ホールマーク氏は、次のように述べている。

「アストンマーティンのヴォランテは、60年にわたり、エレガントでスポーティなオープンカー・ドライビングの芸術を定義してきました。この哲学を、ヴァンキッシュ ヴォランテは見事なルックスと、現在販売されているどのフロントエンジン車の量産モデルよりもパワフルで卓越したV12エンジンを搭載した姿でまったく新しいレベルへと昇華させている。アストンマーティンでは、この伝統を正しく継承していることを誇りに思うと同時に、ヴァンキッシュ ヴォランテが示す前例のないパフォーマンスと同じく、未来にしっかりと目を向けています」

ヴァンキッシュ ヴォランテの特徴となるのが、アストンマーティンの新型ツインターボチャージャーを搭載した5.2リッターV12エンジン。名高いアストンマーティンのウイングをまとった最初のV12エンジンは、2000年モデルのDB7ヴァンテージ クーペとDB7ヴァンテージ ヴォランテの両方で搭載。以来25年、アストンマーティンを象徴するV12エンジンの最高出力は426PSから835PSへとほぼ倍増し、同様に最大トルクも543Nmから1000Nmへと大幅に向上している。

ヴァンキッシュが搭載する最新のV12エンジンは、わずか2500rpmで最大トルクを発生。これは先代モデルの必要としたエンジン回転数のちょうど半分で、2500-5000rpmで最大トルク1000Nmを維持しながら、最高速度は345km/h(214mph)に達する。これほど大幅に性能が向上したにもかかわらず、ヴァンキッシュ ヴォランテの車両総重量はわずか95kgの増加にとどまった。パワーウェイトレシオは1トンあたり313hpから416hpに向上しており、まったく新しいレベルの性能に達している。

パワーは、最適な重量配分を考慮してリアアクスル内に配置したZF製8速ギアボックスが後輪に伝達、ヴァンキッシュ クーペと同じ電子制御リアデファレンシャル(E-diff)が組み込まれている。E-diffではフルオープンから100%ロックまで135ミリ秒で移行でき、これまでにない対応域と性能を実現。最新の電子制御スタビリティ プログラム(ESP)テクノロジーと組み合わせることで、動的性能が大幅に向上、低中速のコーナリングでの敏捷性が向上すると同時に、オーバーステア時や高速でのレーン変更時の制御も強化される。

動的特性にとって極めて重要な要素であるE-diffは、タイトなコーナーではステアリングの動きに対してより強い旋回で応えて車を「縮め」ながら、高速でカーブを駆け抜けるときには確実な安定性と落ち着きをもたらす。ヴァンキッシュ ヴォランテにもスーパーカーレベルのドライビング・ダイナミクスを提供したいという思いと、フラッグシップに求められる上質な乗り心地と軽快な操作性を両立させたいという思いから、アストンマーティンの量産モデルで採用されている洗練されたシャシーシステムの装着のすべてが義務づけられた。

アストンマーティンのビークルパフォーマンス・アンド・アトリビューツ担当取締役であるサイモン・ニュートン氏は、以下のように語っている。

「ヴァンキッシュ ヴォランテがクーペと同じクラストップレベルの性能を発揮できるよう、エンジニアリング部門は当初からクーペとヴォランテの両方を同時に開発し、ルーフを取り外した場合の性能への影響に対して妥協をすることなく、ヴァンキッシュ クーペの動的性能と個性を維持することができた。ボディ構造の最適化と独自のシャシーチューニングを組み合わせたことで、ヴァンキッシュ ヴォランテはクーペと同様に、驚異的な性能と能力だけでなく、ルーフを開けて走るオープンエア・ドライビングという新たな楽しみでも関心の的となるはずです」

もちろん、ヴァンキッシュ ヴォランテには重量配分を考慮して設計された独自の特注サスペンションチューニングが施されているが、そのポテンシャルを最大限に引き出す秘訣は、新しいビルシュタインDTXダンパーにある。このダンパーが、各ドライブモード内で卓越したレベルのホイール制御を可能とし、個々のモード間では従来以上にはるかに大きな差別化も図ることができる。

そしてGTモードでは、ヴァンキッシュ ヴォランテは路面からの衝撃を吸収する設定で、最高のグランツーリスモの特徴である、快適な長距離走行を提供。一方、Sport モードとSport+モードでは、新しい動的特性の設定を追加、より俊敏なレスポンスとよりタイトなボディコントロールに段階的に変化させることができる。また、ヴァンキッシュ ヴォランテは、クーペの最新のトラクションコントロールとスタビリティコントロールシステムを継承し、ドライバーに対する運転支援強化と最大限の安全確保を目的に設計され、独自のチューニングを施した新しいESPシステムを搭載。システムは段階調節可能なダイナミックコントロールとシームレスに統合、インテリジェントなコントローラーやソフトウェアモデルを使用して最先端のアルゴリズムが最適なグリップレベルを予測しながら急な介入を避けると同時に、車両が不安定になる瞬間にも反応。事前設定のESPモード(「On」「Track」「Off」「Wet」)があり、すべてのモードはセンターコンソールのESPボタンで選択できる。

さらにヴァンキッシュ ヴォランテの圧倒的なパワーを支えるカーボンセラミック・ブレーキ(CCB)システムを標準装備しており、フラッグシップにふさわしい制動力を提供。重量は従来の鉄製ディスクより27kg軽く、寿命と耐フェード性が向上している。また、トルク・ベクタリングでブレーキバランスを後方にシフトすることで、コーナー進入時の安定性を高めることができる。

またクルマの性能が発揮されるのは、クルマと路面をつなぐタイヤがあってこそ。アストンマーティンのエンジニアは、戦略的タイヤパートナーであるピレリと協力し、専用の特別設計した新しいピレリP ZEROを開発。これは、ヴァンキッシュの厳格な性能目標のもと、サマータイヤ(P ZERO PZ4)とウィンタータイヤ(P ZERO Winter 2)のいずれにも性能を発揮するよう最適化されたものとなる。

なおシャシーとダイナミックシステムを支えるのは接合アルミニウム構造となる。ピンポイントで、反応性の高いダイナミクスを実現するため、アンダーボディは剛性を強化する部材によって、従来のフラッグシップ・コンバーチブルに比べ横剛性を75%向上させ、クーペのボディに相応しい構造性能を維持している。両車を同時にデザインすることで、自動車デザイン上の複雑な課題のひとつを達成した。それは、重量増加を最小限に抑えながらルーフ完全格納型のコンバーチブルを作り上げ、同時に最大限のねじれ剛性を保持し、ルーフを上げた状態でもトノカバーに格納した状態でも、時代を超越したデザインを維持すること。

ヴァンキッシュ ヴォランテは、クーペの持つ現代的なエレガンスさ、引き締まった体躯、広々としたたたずまい、流れるような曲線を継承している。F1にインスパイアされた特徴的なサーモルーバーのディテールは、ボンネットのドラマチックな傾斜にも受け継がれ、冷却機能も備えている。ホイールベースを80mm拡大したことによって、ヴァンキッシュ ヴォランテのアイコニックなフロントエンジン、キャブ後方の美観を際立たせている。リアに急角度で上昇するカムテールは、まるでリアに浮かんでいるように見えるようなデザインで、一目でそれとわかる「シールド」の上に位置している。

そして軽量なKフォールドルーフは14秒で開き、16秒で閉じることができ、時速50km/h(31マイル)以下であれば、センターコンソールのエレガントなメタルスイッチで開閉操作が可能。さらに、ルーフの開閉は半径2メートル以内であればスマートキーで遠隔操作が可能となっている。特筆すべきは、ヴァンキッシュ クーペに直接匹敵するレベルの断熱性。格納時のスタック高さはわずか260mmとクラストップレベルであり、遮音性を高めたファブリックルーフは、シームレスに流れるボディのラインを損なうことなく、シート後方のトノー下に格納することができる。クーペと同様に、ヴァンキッシュ ヴォランテもフロントバンパー、フェンダー、グリルのデザインを一新し、より主張の強いデザイン特性と高いロード・プレゼンスを実現。従来の水平翼を備えたグリルは表面積が13%拡張し、835PSのエンジンの冷却を促す。さらに新しいアウターバンパーベントはノーズ周りの空気を導き、冷却用の空気をフロントホイールアーチに誘導してブレーキの冷却を促進してくれる。

マトリックスLEDヘッドライトには、一体型のデイタイムランニングライト(DRL)と共に新しいライトシグネチャーを表現。ライトには、ヘッドライト内部にアストンマーティンのワードマークなどの細かいディテールを施し、特徴的なサイド・ストレーキには赤い「V12」のモチーフをあしらっている。フレームレス・ドアミラーは、より小型で滑らかなデザインでヴァンキッシュ ヴォランテの空力特性を向上させると同時に、電波を受信して飛び出す格納式ドアハンドルでサイドプロファイルの流れるようなラインを維持している。

アストンマーティンのエグゼクティブ・バイスプレジデント兼チーフ・クリエイティブ・オフィサーであるマレク・ライヒマン氏は、次のように話している。

「真のフラッグシップのヴォランテを創り上げる機会はめったにありません。アストンマーティンブランドの核となるDNAを維持することは常に課題としてあり、優れたプロポーションとドラマ性を実現するためにはクーペともにヴォランテを創造することが極めて重要でした。ヴァンキッシュ ヴォランテはまさにその点を体現していて、アストンマーティンの名を冠したクルマの中で最も息をのむほど美しいクルマのひとつであるだけでなく、クーペと同様、予想を遥かに超えフラッグシップ・モデルの絶大なパフォーマンスと意図された指名を捉えています。高貴な美しさと道路上での存在感を真に体現する傑出したインテリアデザインで、ヴォランテはルーフシステムのエレガントなパッケージングに一切の妥協を許さないつくりとなっています。アストンマーティンのデザイン部門とエンジニアリング部門のコラボレーションにより、当社のコアモデル・ポートフォリオの中で至宝ともいうべきモデルが誕生しました」

なおヴァンキッシュ ヴォランテの新しく開発したステンレススチール製エキゾーストシステムは、独特な形状の見事なクアッドテールパイプを配置している。ルーフを格納すると、乗員をヴァンキッシュの血統の代名詞である増幅する周波数と共鳴するV12の咆哮が包む。ヴァンキッシュ ヴォランテでは、究極のサウンドを求める人のために、オプションでチタン製エキゾーストシステムも用意。このオプションでは、小型マフラーでより明確で大音量の魅力的なV12サウンドを実現しながら、10.5kgの軽量化を果たしている。

関連情報:https://www.astonmartin.com/ja/models/vanquish-volante

構成/土屋嘉久

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