都会と自然。これらが絶妙に交錯し、独自の魅力を形成しているスポットが日本には数多くある。そのひとつが港町・神戸。そんな街にはあらゆるフィールドで輝く「ジープ ・ラングラー」がよく似合う。
都会と自然。これらが絶妙に交錯し、独自の魅力を形成しているスポットが日本には数多くある。そのひとつが港町・神戸。そんな街にはあらゆるフィールドで輝く「ジープ ・ラングラー」がよく似合う。
開港から150年以上の歴史を持つ神戸。この都市は、決して広くないエリアに街、山、海が凝縮され、港町らしい異国情緒を漂わせながら独自の文化を育んで、多くの人を惹きつけてきた。それは、アメリカを代表する本格派クロスカントリーヴィークルの〝ジープ 〟にも同じことが言える。本流モデルたる「ラングラー」は、アメリカの様々なフィールドで育ち、そこで培った類稀なる高い悪路走破性を軸に、強い個性を誇示している。その「ラングラー」が2024年型に生まれ変わったのを機に、異なるシチュエーションが一気に楽しめる神戸で、新型の魅力を確かめた。
ショートトリップの起点は、神戸の象徴的スポット、メリケンパークの一角に建つ老舗高級ホテルだ。隣接する神戸ポートタワーと並んで、旅人の寄港を促すかのような存在感がある。エントランスは高級ホテルらしい豪奢な設えが目を引くが、そこにタフな「ラングラー」を置いても違和感はない。そのゴージャスさに負けない存在感を放つのは、何よりクルマ自体が高い走破性を持った四駆のフォーマリティを備えているからだろう。さらに言えば「ラングラー」がこのJL型となって初めての大きな改良を受け、洗練度が増したからかもしれない。
独特のスクエアなフォルムはそのままに、ジープの元祖たる1941年登場の〝ウィリス〟から受け継がれてきたスロットグリルが凝縮されたデザインに改められ、その周囲のカラーコーディネートも変更されている。これにより、顔つきに精悍さが増したようにも見える。
旧居留地を往くラングラー。その軽快なフットワークも人気のひとつで、走りの良さはそのままにインフォテインメント機能や安全装備が充実したのが今回のトピック。そのうえで実質的な車両価格が下がっているのも注目のポイントだ。
運転席に着くとその見晴らしのよさに改めて感心する。今回の改良では前席に電動調整機構が追加され、乗員にマッチするポジションが簡単に得られるようになったから、特にドライバーは運転しやすく感じるだろう。ボディの四隅は見やすく、重すぎず軽すぎないステアリングの操作感のおかげで、旧居留地や南京町、三宮といった神戸の代表的スポットが点在する街中でも取り回しが容易だ。それはやはり悪路での扱いやすさを狙った仕立てが奏功した結果。この素性の良さが長年にわたって強い支持を集める理由であり、今回の改良によってさらに熟成したことで、「ラングラー」の人気は一層強固なものとなるだろう。
神戸を代表するスポット、メリケンパークの一角にそびえる「ホテルオークラ神戸」は、隣接する神戸ポートタワーと並ぶ街のランドマーク的存在。老舗高級ホテルらしい格式高く上質な設えのゲストルームと、隅々まで行き届いたサービスが長旅の疲れをすっかり癒してくれる。客室からの山側、海側の夜景も一見の価値あり。
街中で「ラングラー」の扱いやすさを体感しながら次に向かったのは六甲山。山頂はもちろん、その道中の素晴らしい景色の移ろいも神戸の見どころのひとつだ。また一方で坂道の多さと急勾配はクルマのパフォーマンスの見せどころでもある。実際、神戸の海側を東西に貫く国道2号線から六甲の尾根づたいの道までの直線距離はおよそ6kmで、その高低差1000m近くを一気に駆け上がるのだから勾配がきついのは当然だが、そんな急坂を「ラングラー」は余裕をもってクリアしてくれた。
それはラインナップを通して採用される2ℓ直列4気筒ターボエンジンが低回転域から十分なパワーを漲らせ、副変速機を備える4WDシステムがその力を無駄なく路面に伝えてくれるから。これもまた悪路での確実な踏破力を見据えた設計やセッティングの賜物といえる。普段は使う機会も少ないが、「ラングラー」なら必要に応じて後2輪駆動や、全輪直結での4輪駆動など、路面状況にあわせた駆動方式の切り替えも可能だ。
さらに言えば街中で光った「ラングラー」の素直なステアリングフィールは、右に左にと切り返しの多い表六甲のワインディングロードでも有効で、その大きさを感じさせないハンドリングの良さは本格オフローダーとは思えないほど。軽快なフットワークも楽しめたおかげで、目的地のグランピング施設「ネイチャーライブ六甲」までの道のりはあっという間だった。狭い砂利道のアプローチも難なくクリアして、特別にコテージ前にパーク。そこで撮影に臨んだが、「ラングラー 」がさらに頼もしく見えたのは決して目の錯覚ではないはずだ。
食体験にこだわったグランピング施設として誕生したのが「ネイチャーライブ六甲」だ。全5棟のスカイコテージのテラスでは特製グリルと兵庫の食材を用いたアテンド付きディナー体験ができ、アウトドアならではの滋味溢れる食事を堪能。そのスカイコテージ・ハンモックテラスで独特の浮遊感を味わいながら、抜群の眺望を楽しむことも忘れないでほしい。(※写真では特別な許可を得てコテージ前に駐車しています)
目の前を遮るもののない六甲山頂のグランピング施設からの眺めは抜群。実はそれも「ラングラー」で叶うのはご存じだろうか。〝フリーダムトップ〟と呼ばれる独自のルーフ機構は、前席頭上のパネルを簡単に外せ、特殊工具を使えば後席から荷室部分まで一体となったルーフユニットが取り外せて、オープンカー状態にすることが可能なのである。これこそ、エンタエテインメントの国のクルマらしさと言えるだろう。
燦々と降り注ぐ太陽光を浴び、青々とした山の緑を感じながらのこの季節のドライブは最高の一言に尽きる。ならばと、さらに気持ち良さを求めて西に針路を取ることにした。六甲山上からの眺めは、人の手によって造られた港湾の景色が大半を占めるが、ほんの少し足をのばせば、百人一首にも詠まれる須磨の海岸や淡路島が目と鼻の先に広がり、古からの自然の海を感じられるのだ。実際、阪神高速3号神戸線を西進し、明石海峡大橋を渡った瞬間、潮の香りが強くなった海風が車内に満ち、視界に広がる絶景が日常から解き放たれた感覚を与えてくれた。街中はもちろん「ラングラー」と自然の相性は抜群なのである。
昼食にと立ち寄ったのは、淡路島の中央に位置する洲本市の「地魚料理 海山」。ここは地元産の海鮮や野菜が楽しめると評判の料理店で、素材の新鮮さを追い求めるだけでなく、独自の熟成方法を用いるなどしてそれぞれの旨味が最大限に引き出された逸品が提供される。この日も大将の父君が近くで獲ってきた雲丹や鮑など堪能。それぞれの料理法などを伺いながらの食事もエンタテインメントのひとつであり、遠方からも美食家が訪れる理由がよくわかる。
ほんの少し足を伸ばしだけでまったく異なる表情を見せる神戸エリアのドライブは楽しみに満ち溢れている。それはやはり今回の相棒となってくれた「ラングラー」のオン/オフを問わないパフォーマンスやエンタテインメント性の高さがそれぞれのシチュエーションにマッチし、乗る人の喜びを一層押し上げてくれるからだ。それは日々の生活に置き換えても同じことが言えるだろう。つまり、より深く人生を楽しみたい人にとって、「ジープ ・ラングラー」は是非ともそばにいてほしい相棒なのである。
淡路島の中央、東は大阪湾、西は播磨撫に面する洲本市で、地元食材を用いた料理を提供するのが「地魚料理 海山」。地元で生まれ育ち、九州や神戸で研鑽を積んだ料理人の山家孝介氏が腕を振るう海鮮料理は、大将の父君自らが近くの由良港で獲ってくる素材そのものを生かした一品から、独創性に溢れる料理方法を用いたものまで、バラエティに富んでいて味わう人を飽きさせない。