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2024.08.28

新型「レンジローバー」にみるラグジュアリーSUVの真価

SUVとラグジュアリーを結びつけた第一人者、それが「レンジローバー」だ。英国の四輪駆動車ブランドの老舗であるランドローバー社が、それまで培ってきた優れた悪路走破性に、類い稀なる快適性を加えたことで世界のセレブリティたちを魅了。1970年の初代モデルの登場以来、「レンジローバー」はその高いパフォーマンスを絶え間なく磨き続けている。

高級SUVは今や、どのブランドにとっても欠かせない存在だ。アウトドアのカジュアルなシーンはもちろん、エグゼクティブが集うフォーマルな場でも泥臭さを感じさせず、その上品な佇まいで場の雰囲気に馴染むオールマイティーさを持つ。また、その万能性の高さは商品としての人気にも直結しており、企業の健全な経営にも寄与する。そんなラグジュアリーSUVの分野を切り拓いたのが「レンジローバー」と言っても過言ではない。

「レンジローバー」の由来

英国のローバー社が開発した“大地のローバー”=「ランドローバー」は、もともと英国の上流階級に愛されたクロスカントリーヴィークルで、その高い悪路走破性が特徴だった。領地を巡る際やハンティングの足として重宝された「ランドローバー」は、やがてローバー社から独立して四輪駆動車専門のブランドとしての地位を確立するに至った。ちなみに、最初の(クルマとしての)ランドローバーは「ディフェンダー」の祖先といえば親近感を抱く人も多いだろう。

そんな「ランドローバー」を社交界で活用するセレブリティが現れ、またいっぽうではオンロードでも快適なクロスカントリービークルの開発を目指していたエンジニアの志が合致して生まれたのが「レンジローバー」というモデルである。初代モデルは1970年に登場し、オンロードとオフロードの両面で高い走行性能と快適性を両立させた。その後、世界一過酷と言われるラリーレイド〝パリ-ダカール・ラリー〟の第1回大会で優勝。さらには英国王室にも愛用され続けていることでも広く知られるようになった。つまり「レンジローバー」は名実ともに四輪駆動車の王者に上り詰めたと言える。

デビューから現在に至るまで、企業としての紆余曲折はあったものの、「レンジローバー」の高級SUVとしてのキャラクターやブランドイメージは変わることなく、代を重ねるごとにその上品な造りと走りが磨き上げられ、ラグジュアリー性能はさらに向上している。当初は四駆の定番とも言えるラダーフレームの基本骨格で構成されていた「レンジローバー」は、2013年の4代目からはアルミモノコックを採用し、軽量かつ高剛性を実現。2022年に登場した5代目の現行型ではさらに空力性能を高め、より洗練されたモデルとなっている。

電動パワートレインが前提の設計

しかし、現行モデルの最大の変化は、車体構造が電動パワートレインの搭載を前提に設計されている点だ。「レンジローバー」はそれ以前からハイブリッドやプラグイン・ハイブリッドモデルを提供しているが、新型ではその性能がさらに向上している。今回の試乗車はプラグイン・ハイブリッドモデルで、特に上質さを追求した「SV」という特別仕様だ。「SV」とは、スペシャル・ヴィークル・オペレーションズ部門が手掛けたモデルで、内外装のトリム素材やカラー、フィニッシュなどをオーナーの好みに応じてカスタマイズできる仕様である。これはラグジュアリーブランドのクルマならではの楽しみ方のひとつと言えるだろう。

「レンジローバー」を目の当たりにすると、実にクリーンで上質な仕立てが際立っていることがわかる。エクステリアは余計な装飾が一切なく、ボディパネルやガラスが面一に処理され、現代的な四輪駆動車であることを強く意識させる。リアオーバーハング下部のスッと切り上がった造形は悪路での路面とボディの干渉を防ぐ工夫。

また、ドアは渡河時に車内への水の侵入を防ぐためにボディサイド下端までカバーされており、乗り降りの際にサイドシルの汚れがズボンにつかないように設計されている。これらはすべて歴代「レンジローバー」に受け継がれてきた独自の意匠だ。

大きなドアを開けて運転席に座ると、見晴らしの良さと開放感が広がり、心地よさが感じられる。このゆったりとした感覚は「レンジローバー」でのドライブの楽しさを象徴するものであり、その美点である。

プラグイン・ハイブリッドがもたらした功績

先述のようにこの「レンジローバー」は外部充電も可能な大容量バッテリーを積んだプラグイン・ハイブリッドモデルゆえ、比較的長く電動走行ができるのが特徴だ。通常のハイブリッド車では、エンジン駆動モード、電気駆動モード、そしてハイブリッドモードの3つが設定されているが、「レンジローバーPHEV」ではデフォルトがEVモードとなっており、積極的に電力を使用する設計となっている。

そのため、この「レンジローバー」の巨体が音もなく静かに動き出すのはちょっとした驚きであり、その上質な振る舞いに感動すら覚える。車両重量はほぼ3トンにもかかわらず、その力強さとリニアな走りがモーター駆動ならではのもので、非常に操りやすい。また、電動走行の航続距離は公称値で111.0km、実測でも80kmとされ、普段の近場の移動であればほとんどガソリンを使わずに済むだろう。

3L直6エンジンが始動した際も、その上質さは変わらず、音や振動が見事に遮断されているため、不快さを感じることはない。パワー、燃費性能、そしてコンフォート性能のすべてにおいて、このプラグイン・ハイブリッドモデルは「レンジローバー」の持つ上質さをさらに一段高いレベルに引き上げていることは間違いない。しかし、フル電動仕様の「レンジローバー」の発表がまもなくとの声も聞こえている。その時「レンジローバー」はさらにどのような上質さを見せてくれるのか、そしてどんな新しい世界を見せてくれるだろうか。その登場が今から楽しみでならない。

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■関連情報
https://www.landrover.co.jp/range-rover/range-rover/sv.html

文/桐畑恒治 撮影/望月浩彦 

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